テラーノベル
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ないこの日!!
ってことでくっそ短い誕生日小説?書きます!
『祝え、俺の誕生日!~祝う側が一番大変~』
朝。
目が覚めて、まずスマホを見た。通知ゼロ。LINEもゼロ。Twitter(の裏垢)も静寂。
「おい……今日、俺の誕生日なんだけど?」
ないこは起き抜けの声でそうつぶやいた。
枕元に置いたぬいぐるみ(名前:さめ子)の尻尾を引っ張って八つ当たりする。
「なんで誰も祝ってくれないんだよ! 昨日まろに言ったじゃん、“明日、俺の誕生日”って!!」
その瞬間、スマホがバイブで震えた。
通知:「【まろ】お前んち来てええか?」
──なんだ、やっとか。俺の誕生日にふさわしいやつ、来たな。
『いいけど、玄関開いてねぇから』
『ドア蹴ったら開くやろ』
『壊すな!』
そして10分後。
「おじゃましまーす」と言いつつ、全身タイツ姿のまろが玄関から侵入してきた。
「……は?」
「お誕生日やろ?サプライズや!今日は俺が“エンタメ”になるっちゅーてな!」
「なんで全身タイツ!? それ俺が望んだサプライズじゃない!」
まろは得意げにポーズを決める。タイツは金色、目がチカチカする。
「今日はな、“ないこを一日笑顔にするプロジェクト2025”を決行すんねん!」
「正式名称いらないから着替えて!怖い!」
「じゃあ第1弾!“ないこくんの生い立ちを歌にしてみた”披露タイムや!」
「聞きたくねえよ!」
しかし、まろはギター(なぜかウクレレサイズ)を取り出し、熱唱を始める。
🎵ないこは生まれた ピンクの髪~
すくすく育って 俺って呼んだ~
でも最近ちょっとツンツンして~
俺のLINE、既読スルー~🎵
「なんで俺の“既読スルー”が歌詞に入ってんだよ!!」
部屋中に響き渡るまろの歌声。
ないこは頭を抱え、もふぞうに顔をうずめた。
「誕生日って、もっとこう……感動とか、ケーキとか、プレゼントとか……」
「ケーキあるで?」
「ほんとかよ?」
「俺の手作りや」
「危険な匂いしかしない!!」
その瞬間、まろが冷蔵庫から取り出した“ケーキらしき物体”を見て、ないこの思考が停止した。
「……なにこれ?」
「うまい棒100本をグルーガンで固めた“うま棒タワー”や!!」
「ケーキどころか武器じゃねぇか!!」
ないこは思わずツッコミを入れた。まろはうま棒タワーを抱えながらにっこり笑う。
「味は選りすぐりのコーンポタージュやで」
「俺がコーンポタージュ好きだって言ったけど、これは限度超えてるだろ!!」
「せやけど、お前“ケーキあんま好きちゃう”言うてたやん?」
「確かに言ったけど!」
「ほらな?じゃあこの“革命的バースデー菓子”を……」
「食わん!!!」
ふたりのやり取りは続いた。
その後、第2弾イベントとして「目隠しクイズ」なるものが始まり、
目隠しされたないこの口に「タバスコ入りプリン」や「ぬるい炭酸」などが次々と投入され、
「俺の胃袋が誕生日を拒絶してる!!!!」と叫ぶはめになった。
そして夕方。
騒動に騒動を重ね、ようやく一段落。
金色タイツを脱いだまろは、真面目な顔でリュックから小さな包みを取り出した。
「……これ、ほんまのプレゼント」
「え、マジで?」
「アホみたいな企画ばっかやったけど……これだけは、ちゃんと渡したかってん」
中を開けると、手編みのブレスレットが入っていた。
糸はちょっと不揃い。でも、それが逆に味を出していた。
「お前の誕生日、俺は絶対忘れへんから。来年も、再来年も。だからその……今日が笑える日になったらええなって思ったんや」
ないこはちょっとだけ黙って、それから口を開いた。
「……お前さ、最初からそれだけくれればよかったんじゃないの?」
「は?全身タイツがなかったら、ここまでの盛り上がりは出ぇへんやろ!」
「盛り上がってたのはお前だけだろ!!」
そして夜。
ないこはまろが帰ったあと、ブレスレットをそっと腕につけた。
サイズはちょっときつかった。でも、あったかかった。
「……ま、悪くねぇ誕生日だったな」
さめ子の尻尾を引っ張りながら、ないこはそう呟いた。
その顔には、満足そうな笑みが浮かんでいた。
※あとがき(?):
翌日、ないこの家の前には「うま棒タワーを片付けてください」というメモと共に、町内会からの注意書きが貼られていた。
「“巨大で不審な物体”が深夜に倒れた」との苦情付きで――。
謎の展開でしたね
それでは!
コメント
7件
までぃかよw うまい棒タワー...美味しそう...
まさかの最後がw 天才すぎるんだけど!?