テラーノベル
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観光地を周って遊んでから帰路につき、途中寄ったパーキングエリア。
そこで、意外な人に出くわした。
「あれ…もしかして」
紺色の髪に目元の泣きぼくろ…
女性と一緒にいる、来栖川玲だった。
「どうした?トイレが済んだら車に乗れよ」
響がそばに来てそう言いながら、私の視線の先を追った。
「栗栖川玲…?」
見上げれば、眉間にシワを寄せる響。
…なんか文句でも言いにいきそうで、とっさに響の腕を取ってしまった。
「あ…玲と蘭子じゃん…」
そこへやってきた優菜ちゃんが、響の視線を辿って言った。
「優菜ちゃん、玲のこと知ってるんだっけ…?」
玲は私が引っ越したのと入れ替わりに越してきたと聞いた。
「知ってるよ。琴音が引っ越したあと近所に越してきたから」
いや…あの女性のことも…?
私の視線で質問を読み取ってくれた優菜ちゃん。
「蘭子は、緑川コーヒーの令嬢。確か、玲の実家の会社とは…敵対関係じゃなかった?」
優菜ちゃんに視線を向けられた響。
「あぁ…確かそのはずだ」
敵対関係にある会社の令嬢と、親しげに頬を寄せる玲を見て、腑に落ちない顔の優菜ちゃんと響。
こんな時、さすがに2人とも、御曹司とお嬢様だな…と思う。
お金持ちって、大きい会社の動向に詳しいし、情報通なんだよね。
何もわからないのは、私と真莉ちゃんだけ、なんて思ってたけど…。
そこでふと思い出した。
そういえば真莉ちゃんだって、お父さんは専門学校まで運営する社長だ。
わ…。なんか私以外、すごい人ばっかり…!
結局、玲には声をかけないまま、私たちはパーキングを後にした。
思えばこの時から、響は少し考えるような表情を見せていた。
多分今見た玲のこと…。
帰ったら、どうしたのか聞いてみよう。
そう思ってたのに…
「え…?お母さんが?」
車の中で着信が入って、出てみると弟が、母が倒れたというので焦る。
よくよく聞いてみれば、風邪を引いて熱を出したということで…少しホッとして着信を切った。
「おばさんか?熱が高いって?」
響が心配そうに聞いてくれた。
「うん…お父さんが仕事でいないみたいみたいだから、今日は実家に帰らなきゃ…」
一瞬…残念そうな雰囲気を纏う響。
「そっか。じゃ…何か栄養になりそうなもの、持ってたほうがいいだろ」
「俺は適当におろしてもらえればいいですよ」
「あ…私も!」
私が早く実家に向かえるようにと、真理ちゃんと優菜ちゃんの申し出に甘えることにする。
東京に着いて、2人を近くの駅で降ろすと、響がスーパーマーケットの駐車場に車を停めた。
「具合いが悪い時は、贅沢なものよりシンプルなものがいいだろ?」
響なら一瞬で、贅沢なご馳走を準備して持たせてくれるだろうけど…でもその通り。
今はスポーツドリンクとかりんごとか、熱冷ましのシートなんかの方がありがたい。
選んだものをカードで決済してくれて、すぐに実家まで送り届けてくれた。
「ありがとう。帰れるようになったら電話する」
「…ちょっと待て」
車から降りようとした私の腕を引いて、一瞬で抱きしめられた。
「まずは…俺にも充電させろ」
フワっと髪をどけられて、肩のあたりに顔を埋められる。
首筋に触れる唇…。
「み…見えちゃうよ。通りすがりの人に…」
「大丈夫。ちゃんと考えて車を停めた」
言われて前を見てみれば…確かにアパートの駐車場の塀に向けて停めてある…
首筋から移ってくる唇を受け止めると、当たり前みたいに侵入してくる舌に弄ばれて…。
「帰れるまで、連絡するから」
深いキスのわりに、あっさり離されて…私が寂しぃ…。
「うん。わかった…」
バイバイと手を振り、アパートに入るまで動き出さなかった車は、ドアを閉めたあと走り出して。
私はキッチンの窓からそれを見送ってしまった。
…………
母は私が看病をはじめると、幸いにもどんどん良くなっていった。
その間、響とは電話で話したり、メッセージを送りあっていたけれど、なんだかとても忙しいみたい。
帰ってからこんなに忙しくなるなら、温泉なんて行かなければよかったのに…とさえ思う。
「ちょっと、オンライン繋げて」
そんなある日の電話中、急にそんなことを言われて焦る。
「えっお風呂上がりだしヤダ」
「なんだそれ。顔見せろって言ってんの。URL送ったから早く繋げろ」
有無を言わせないドS俺様御曹司め…!
ちょっと鏡で姿を確認して…
仕方なく繋ぐと…パソコン画面に映る響が…
濡れ髪上半身裸でめちゃくちゃ色っぽい…
「あの…やっぱ切っていい?」
「は?なんで?」
だって…私なんて、響の半分も色気ないよ…同じお風呂上がりなのに、どうしてこうも違うのか…。
画面の響、パソコンの向こうにある何かを取ろうとしてるのか、上半身がドアップで映し出された。
なんというか…見てはいけないような気になり、画面を直視できない。
「なに顔そむけてんの?もしかして俺のおっぱい映って照れてる?」
「うるさい!変態なこと言うなら切るんだから!」
「顔赤いよ?かわい〜」
その後も、おっぱい映したんだからお前も見せろとか、ドスケベ発言を繰り返してくるから、恥ずかしくてブッチ切ってやった。
「ありがとな。琴音の顔を見れたから、明日も頑張れる」
なんてメッセージが来て、ギャップにキュン…
「うん。頑張ってね」
すごくすごく迷って、ハートマークのスタンプも送ってみる。
「明日は玲に会ってくる」
玲…?
なに?急に話が変わった?
なんて思ってたら、ハートマーク付きのやたら甘いスタンプとおやすみって文字が送信される。
玲、という名前より…こんなに甘いスタンプが響の携帯に入ってたことの方が、この時の私にはずっと重要で、玲のことなんてすぐ忘れてしまった。
コメント
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俺様✨エロ様♥️響様✨(⁄ฅ⁄⁄ฅ⁄⁄)ひゃん♡ でも琴音ちゃんも満更でもないご・よ・う・す(ฅฅ*)♡