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「ん~…♪」
立ち寄ったレストランで出された料理はどれも美味しく、つい表情が緩んでしまう。
「美味そうに食うのう」
「えぇ、美味しいんで。ここのコックは腕がいいですね」
…………つい言葉を返したが、今俺に話しかけたの誰?
声が聞こえてきた方を見ると、そこには短く刈り込んだ白髪の短髪に、口周りに髭を蓄えた老人がいた。でも、老人と表現するにはあまりにも筋骨隆々で、背丈も高い。
「が……が……ガープ…さん!?」
「おぉ、やっぱり知っておったか」
「る、ルフィから、話は聞いてたんで……」
俺は冷や汗を流しながらもそう答えた。
今俺の目の前にいる人物は海軍の英雄と呼ばれる男。モンキー・D・ガープ中将である。ガープさんは俺の向かい側に座った。そして店員を呼び止め、注文をした。
なんでいる……って思うのは違うか。ルフィに会いに来たんだろうな。その帰りか? 近くに海兵がちらほらいるし……。でもなんで俺に声をかけてきたんだ? 接点なんてないはずだが……。
そんなことを考えていると、彼は唐突に口を開いた。
「ルフィとよくつるんどるようで、一目見ておきたくてな」
「そ、そうですか……」
俺が苦笑いを浮かべると、彼は豪快な笑い声を上げた。
「あ、あの、ガープさんはどうして俺に話しかけてきたんですか…?」
「ん? いやなに、聞いておきたいことがあってな」
「聞いておきたいこと、ですか」
俺がそう聞き返すと、彼は俺をじっと見つめてくる。
「お前さんも海賊になりたいと思っておるのか?」
「………まさか。俺はそういうのにはなるつもりはありませんよ。海賊を否定するわけではありませんけどね」
「なら、海軍になる気はあるか?」
「それもなんとも…。俺は気ままな旅人でいたい、というか」
俺は肩をすくめて苦笑いを浮かべた。すると、彼の目が鋭く光る。え……なんか怒らせた? 怖いんだけど……。
「はっはっはっは!! やっぱり思った通り、面白いやつじゃ!」
「ありがとうございます…?」
「どうじゃ? わしと一緒に海軍本部に来ないか?」
「えっ!? いやだから、俺は海軍になる気は……」
「なに、ただの客人として招くだけじゃ。最も、お前さんの気が変わればすぐに海兵として働けるよう手配するがな。がははは!」
な、なんだよ、びっくりした。すぐさま海兵としてガープさんに扱かれるのかと……。ちょっと安心。
「海軍本部……。ちょっと気になります」
「よし! 決まりだな!!」
「うぇえ!? まだ行くとは言っていませんが!?」
「気になるんじゃろ? だったら行けばいいんじゃよ。なぁに、悪いようにはせんわい」
「は、離れるならルフィに言わないと」
「もうそれっぽいことは言っておる」
……つまり俺が海軍に行くことは確定だったということですか???