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涼は何度か瞬きした。


顔を胸に押し付けられてるせいで少し息苦しい。しかしそれ以外にも理由はある。

准の一言が全身の熱を高め、冷静な思考を奪う。


傍にいてくれ、なんて。下手したら告白……じゃないか?


そう思い至った途端、これ以上なく恥ずかしくなった。もうこの場から消えてしまいたいぐらい。

でも無理だ。それができたら、とっくの昔に彼らの前から消えていたはずだ。……俺は。

「遅い、なんてことないです」

結局、俺も創さんに依存していた。そして彼から逃げるように、准さんに依存していたんだ。


「上手く言えないけど、俺はもう、貴方にたくさん助けてもらいました。准さんと一緒に過ごした時間は楽しくて、暖かくて、……幸せだった」

「そっか。……そうなんだ」


それ以上、彼は何も言わず。

俺も何も返せなかったけど、また強くぎゅっと抱き締められた。


「本当は、貴方のことが大好きです」


ずっと押し殺していた、本当の気持ち。

これからも隠し通さなければいけなかった言葉を取り逃してしまった。

どこまでいっても弱くて卑怯で、不安定な人間。そんな俺の手を掴んでくれた、初めての人。

この人に逢えて良かった。そして本当に、


「ごめんなさい……准さん……っ!」


言葉にできない感情が溢れて、前に屈んだ。自分じゃもうどうすることもできない、強い想い。


涼は准の腕の中で泣き続けた。

本当は恨んでたこと、大事なことを黙ってたこと。彼に逢いに来てしまったこと全てを、泣きながら謝った。


その間ずっと、優しい掌が離れることはなかった。

知らないものを色々教えてくれる掌だ。この温もりは、出逢わなければ一生知らなかったかもしれない。




ファナティック・フレンド

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