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その呼び方に、私はオリバーを感じました。
「シャルロット!!今助けるから!!」
急に……どうしたと言うのでしょう。
私は、戸惑いました。
そして彼の周りにいる騎士達も、同じように戸惑っているのが、空気で分かりました。
彼は、私を捕まえた人でした。
私の家族を殺した人でした。
何故そんな人が、この場で私の名を呼び、助けようとするのか。
ほとんどの人は、きっと理解できなかったことでしょう。
そして私もまた………。
とは言いましても。
私は、彼へ話しかけたくても、話しかけられません。
魔女である私と繋がりがあると、周囲に思われれば殺される。
私はそれを知っていましたから。
それを目にしていましたから。
他でもない、彼によって。
それなのに。
彼は、どんどん私の方に近づいてきて、あっという間に私の目の前までやってきました。
そして、私をくくりつけていた縄を……シャリー達を斬りつけた剣で斬り、シャリー達を殺したその手で、地面へと落ちそうになった私を抱えたのです。
「シャルロット……!」
「どうして……?」
私は、たまらずに口を開いてしまいました。
「ごめんシャルロット……ごめん……」
彼は、私の問いには答えず、ただ謝罪をするだけでした。
彼が何に対して謝罪をしているのかは……本当のところは分かりません。
ただ、彼の表情からは、彼がとても苦しんでいることだけは……伝わってきました。
痛いほどに。
そのまま彼は、私を抱えて走ると、近くに止めてあった誰のか分からない馬に飛び乗り、そのまま走りました。
「あの2人を追え!」
「魔女を逃すな!」
「あいつも殺せ!!」
そう叫ぶ、群衆の声があっという間に小さくなっていきました。
それから彼はそのまま私を、あの泉の近くまで連れて行きました。
正確に言えば、そこまでしか、彼は私を連れてくることはできませんでした。
何故なら、すでに彼の体には、私を助ける時につけられたであろう、大きくて深い、新しい傷ができていたから。