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野々さくら
990
#ラブコメ
猫塚ルイ

752
それから数日後
「りゅう、今日5時間で終わるし、デート行かね?」
昼休み、じりじりと太陽が照りつける屋上。
圭ちゃんは飲み干した牛乳パックを片手に
まるで「今日の晩飯何にする?」くらいの軽いトーンで言ってきた。
「デート?!行く!どこ行くの?!」
俺は持っていた購買のパンを落としそうになりながら、思わず飛びつくように食いついてしまった。
心臓が跳ね上がり、声が上ずっていくのが自分でもよく分かる。
「んな焦るなよ、まだ決めてねぇから」
圭ちゃんは、俺のあまりの食い気味な態度にクスリと喉を鳴らして笑うと
大きな手のひらで俺の頭を軽くぽんっと叩いた。
その仕草一つで、髪の毛の隙間から熱が染み込んでくるみたいだ。
「あ…ごめん、つい……テンション上がっちゃった」
「いや、そうやって分かりやすく喜んでくれるのは嬉しいけどさ…りゅうはどこか行きたいとことかあんの?」
不意に、圭ちゃんが少しだけ視線を外しながら、ぶっきらぼうに尋ねてくる。
「嬉しい」なんてストレートな言葉、普段の圭ちゃんからは滅多に聞けない。
それだけで胸の奥がじんわりと温かくなる。
「え、俺?特に……あっ!」
「ん?」
「最近、学校の近くに新しくオープンしたカフェがあるんだよ!」
思い出し、俺は制服のスラックスのポケットからスマートフォンを滑り込ませるように取り出した。
液晶画面を明るくし、ホーム画面にあるお馴染みのX(旧Twitter)のアイコンをタップする。
昨日の夜、ベッドの中で何度も見返して
密かに「行きたいな」とブックマークしておいた、公式マーク付きのカフェのポストを
圭ちゃんの目の前に差し出した。
「そこでこれ、イチゴフェアやってるって昨日SNSで見かけたんだよ……!」
「また甘いもんかよ。お前、よく飽きねぇな…」
「逆に、圭ちゃんが甘い物嫌いすぎじゃない……?」
呆れたように眉を寄せる圭ちゃんに、俺は少しだけ唇を尖らせる。
「あのな、あんな脳みそ溶けそうな甘ったるいもん喜んで食える方がおかしいんだよ。あんなんただの毒だろ、毒。見てるだけでも余裕で吐き気してくるわ」
「極端すぎるよ!多分それ、ネットの掲示板とかで言ったら秒で大炎上するよ、圭ちゃん」
「俺は見る専だから問題なし」
フン、と鼻で笑う圭ちゃんの横顔を見ながら
俺はスマートフォンの画面をさらにスクロールした。
「と、とにかく話を元に戻すけど!これ、カップル割引ってのもやってるんだって」
「……あ?それ、男同士でカップル認定されんのかよ」