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_エピローグ_
都会の人混みの中を歩いていたら、すれ違いざま誰かに肩がぶつかってしまった。 慌てて振り返る。ぶつかってしまった相手は小柄な少年だった。「あ、ごめ_」謝罪の言葉を出す。 しかし途中で切れてしまった。その代わり、別の言葉が出た。「その怪我・・・」そこから先は言葉にできなかった。
「え?ああ、これ?」彼は俯いていた頭をあげ、私の目を見た。 ボロボロだった。 私が言った「怪我」は、彼の腕についた青紫色のアザだった。 彼の顔にも、それと似たものがついている。 皮膚が裂けて血が出ているところもあった。彼は目を逸らした。「大丈夫です」
「そうには見えないけど、」私はそう言った。「ちょっと痛いくらいだから」彼は小さく早口で言った。「えっ、あ、ちょっと待って!」
そのまま彼の手を引いて近くの噴水のへりに座らせる。私は背負っていたリュックサックを下ろし、整頓された中から自分の掌くらいある絆創膏を取り出した。 タオルと保冷剤も。 保冷剤をタオルに包んで、それを彼の腕にある大きなアザにあてる。 「ちょっとはこれでマシになると思う」出血したところに消毒液をかけ、上から絆創膏をはる。 彼は「ありがとう」と言ってくれた。私は笑った。
「大丈夫だよ!ぶつかったのは私だし!」「そうです、か?」言い終えたあと、彼は長い前髪の下から私を黙って見つめた。じっ、と。
「ん?どうしたの?」「あ、いや・・・」彼が口をもごもごさせる。「どこかで、あなたに似た人をこうやって手当てした気がしたので」
今度は視線を逸らした。 そのままごめんなさい、と小さく言った。そんな姿を見ていると、どこか懐かしさを感じた。
「・・・私も、あなたに手当てしてもらった気がする。」