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紫×桃
〈あの日の約束〉
昔かららんとは家族ぐるみで仲がよかった。 ずっと一緒にいてそれが当たり前だときっと お互いそう思っていた
ある日、急遽父親の仕事の都合で海外へ行くことが決まった
日本を旅立つ最後の日、
「いるま、ほんとに行くの、、?」
「今更行かないとかねぇだろw」
「、、、そっかぁ、そうだよね、ッ」
寂しそうに笑うらんを見て
隠そうと思っていた気持ちが溢れて
ちゅッ…
気が付いたららんにキスをしていた
「ッは…///」
「、、、すきッ」
驚いたような照れたような顔をして俺を見つめてるらんの目には大粒の涙が溜まっていた
「、、ばかッ、なんで今言うんだよッ」(泣
顔を赤くしながら俺の胸元をポカポカと叩いてくるらんの頭に手をのせ
「絶対に帰ってくるだからそれまで待ってろ」
「、、、絶対ね、」
そう言って恥ずかしそうに微笑うらんを残して俺は日本を離れた
そんなことから6年が経った
あの時らんと交わした約束を果たしに行く
もうこれ以上、寂しい思いをさせたくなかった
らんの家に向かう途中、小さい頃にらんとよく遊んだ公園の前を通りかかった
遊具は全て新しくなっていてあの頃の懐かしさは感じられないけど思い出が蘇ってくる
「いるま、、ちゃん?」
呼ばれた方を向くとそこにいたのは
「、えっ!やっぱいるまちゃんだ!すちだよ覚えてる?中学の頃の、」
「うぉっ!すち!久しぶり!」
中学の頃、仲のよかったすち
「帰国したの?」
「おう、今かららんの家行こうと思って」
「、、ッ!ってことはらんらん、、に会いに行くんだよね?」
らんの名前を出した途端にすちの表情が曇った
「、、ッどうかしたか?」
嫌な予感がして冷や汗が出てくる
「どうせなら一緒に行こう、、」
そう言ってすちは歩き出した
少しすると懐かしい景色に包まれた
「らんらんはここにはいないんだよ、、」
らんの家の前で立ち止まる俺にすちは言った
理解できていない俺の手をひいてすちはまた歩き出した
ついた先はここらへんで一番大きな病院
何の迷いもなく歩くすちを追いながら嫌な考えが頭をよぎる
やがてすちが止まったのはひとつの病室の前
ドアを開けた先には
会いたかった彼がいた、、
はずなのに喜びなんてものは感じられなかった
俺が目にしたのはベットに横たわり点滴につながれたひどく弱ったらんの姿だった
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
ものごころついたときから隣にはいつも当たり前にいるまがいた。それでも別れというものは突然で
最後は笑顔で見送ろうと思っていたはずなのに我慢できなくて
「絶対に帰ってくるだからそれまで待ってろ」
その言葉を信じて待っていた
いるまが帰ってきたとき隣にいられるようにたくさん働いた
俺が入社してしまったのは世間一般的に言うブラック企業で
まわりの社員が辞めてくなかいるまに見合う人になるため頑張った
長時間労働、低賃金、上司からのハラスメントの数々、寝る時間は3時間あればいい方だし、水しか口にしない日もあった、そのうち少しの階段が辛くなり、身体が思うように動かなくなった
そんな俺にいつ以来なのかもわからない休日が来た。いるまは今どうしているのだろう
連絡先もどこに行ったのかも詳しくは知らない俺にはいるまに会う方法がなくただ信じて待つことしかできなかった
会社から家に帰る途中、中学の幼馴染に会った
「すち!久しぶり!」そう言ったはずなのに舌がまわらなくて 自分でも驚いた
「らんらん?!大丈夫?顔色わるぃ#€÷々〆」
すちの声が何を言ってるのかわからなくなって視界が歪んで遠のいていくのがわかった
𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄 𓐄
「らんらんね、過労働による脳梗塞で倒れちゃったんだ」
過、労働、、脳、、梗、塞、、
すちの言ってることがわかるはずなのに頭がまらない
その後、すちは俺がいない間の話をしてくれた
「いるまちゃんが海外に行ってすぐらんらんの親が離婚したらしくてね、らんらん学費が大変だからって行きたかった大学諦めて就職したんだって、、、就職した先がたまたまブラック企業だったらしくて、、」
らんが倒れたのは3日前らしくもう少し早く帰って来れたららんはこんなことにならなかったのに、と自分をものすごく恨んだ
ベットで横になっているらんの目の下には色の濃い隈があってみたことのないほどに痩せていた
俺はらんが目覚めることをただただ願うことしかできなかった
らんが倒れて1ヶ月が経った頃、らんが意識を取り戻した
「、らん、、らんッ!、」
すぐにお医者さんを呼んでらんは検査してもらった
お医者さんは教えてくれた
脳梗塞による後遺症で下半身麻痺になってしまったこと、完全に治る見込みはないと言うこと、一生、車椅子生活になると、
それでもらんはめげなかった
「、ッでも、リハビリを続けたら少しはよくなるんですよねっ、、!」
そんならんをみて俺は隣で支えてやると決めた
”治る見込みはない”そう告げられた日の夜、
らんの病室から啜り泣く声が聞こえたのには気づいていないふりをした
きっと、俺が行ってしまえば無理にでも笑おうとしてしまうから
それからは毎日同じことの繰り返し、
リハビリをしてご飯を食べてまたリハビリをして、
2年後、らんは退院した
リハビリを続けた結果、手すりを使えば歩けるようになり、笑うことも増えた
「ほんとにッ、お世話になりましたッ、、」(泣
「退院おめでとう!」
「よく頑張ったねっ!」
泣き虫なところは昔から変わってないらん
「今までありがとうございました、」
俺もあいさつをしてらんの車椅子を押す
花束を抱えたらんは涙でぐちゃぐちゃになった顔で笑っていた
2人きりで桜の木の前に並ぶ
「約束、、おぼえてる、、?」
「そりゃあ、俺が言ったし」
らんはこちらを向いて嬉しそうに言った
「守ったよ、俺、いるまのことだけ考えて 待ってた」
「うん」
「いるまは忘れちゃってるのかもって、、
不安でッ、」
少しずつ涙声に変わってゆく
「音沙汰ないから怖かったッ、、でもッ、信じて待ったよッ、、! 」
「うん、あの日の約束、覚えててくれて、守ってくれてありがと、」
そう言ってらんの額にきすをする
「うんッ、//」
「もう、一生離れないでッ 」(泣
「らんと俺の約束な、」
ちゅッ…♡
「ん、////」
口付けを交わして2人だけの新しい約束をした
「離れたら俺死ぬから」
「うわ、メンヘラでたw」
「これはメンヘラじゃねぇよっ!」