橙桃です。本人様とは関係ありません。
地雷だよって方、通報される方は見ないようにしてください。
桃side
ふんわりと香ってきた小麦の匂い。
今日の朝ごはんはパンかな
お腹がきゅるるとなったと同時に目を開ける。
リビングに向かうとジェルが出かける用意をしていた。
桃「じぇる…?」
橙「あっ!さとみおはよ〜俺今日朝からシフト入ってしもたから、お留守番宜しくな。お昼はジェルくん特製お弁当があるからそれ食べてな!あ、あと今は外に出たら駄目やで?迷子になったら大変やからな」
桃「…分かった」
ジェルの話を聞きながらロールパンを口にする。
ほんのりとバターが染み込んでいてとても美味しい。
橙「www、さとみは美味しそうに食べるなぁw」
桃「?そう?」
橙「そうそう…あっ時間や、それじゃあもう行くな!夕方には帰るから!」
桃「うん、……………いってらっしゃい」
橙「!!!…うん!行ってきます!」
ドアが閉まり、外から鍵をかける音が部屋中に響く。
思えばここに来てから毎日ずっとジェルといたから1人になるのは随分久しぶりな気がする。
お金なんて働かなくなって俺が怪物でも出して奪っちゃうのに。そう考えてもこの世界では怪物を出すことの出来ない俺はただの無能だ。
何しようかな…この間ジェルが買ってくれたゲームやろうかな。
あとは……
桃「……てれび」
こっちの世界に来て最初はとても驚いた目の前の黒い板。りもこんを使うとこの板の中に人が現れて話し始める。
あっちの世界ではまず自分の時間さえ貰えていなかったからこんな物が存在するなんて知らなかった。プ○キュアたちは知ってたのかな…。
俺はてれびの前にあるソファに座ってりもこんの『電源』ボタンを押す。
今は何やってるのかな。確か昨日は『おわらい』だったっけ。ジェルが笑ってるから俺も一緒になって笑ったんだよな。
そうぼんやりと考えていると番組表を見つめていると1つの番組に目を疑った。
桃「プ○、キュア……」
橙side
いくら馴れていると言っても、久しぶりのバイトだから割とキツかったなぁ
今はお昼過ぎ。さとみはお弁当食べてくれたかな。
愛を教えるということで早起きをして作った弁当。さとみは喜んでくれただろうか。
まるでオカンみたいやなぁなんて表情筋が緩む。
モ「お〜ジェル。なんか良い事でもあったか〜?ニヤニヤしやがって」
橙「ふふwまぁな」
モ「おっ?遂に彼女か?いいなぁお前モテそうだもんなぁ」
橙「…彼女ではないけど」
モ「?そうなのか?」
橙「うん…でも、強いて言えば家族かなぁw」
モ「ふーん、お前が幸せそうで何よりだよ」
橙「なんやねんそれw」
橙「ただいまぁ、さとみ、帰りにたい焼き屋さん見つけたから買ってきたで〜一緒に食べ……」
バイトが終わり、たい焼きを買ってきて幸せな気分で帰ってきたが家は静まり返っていた。
寝ているのか…?とさとみの部屋や自分の部屋、リビング、風呂、トイレ、キッチン…何処を探してもさとみの姿が見当たらなかった。
待てよ……俺、今鍵を開けずに入ったよな…
ということは………
橙「ハァハァッ、さとみッ…何処行ったん…!」
さとみが中から鍵を開けて外に出たのだろう。
家を飛び出して走り回る。
リビングで見つけたがお弁当も食べていなかったのできっと昼前から外に……
俺にとっては見慣れた街並みだがさとみにとっては迷路みたいなものだ。
それに…もし事故に巻き込まれたら
想像もしたくない。
探し回ってどれくらい経っただろうか。
夕日もすっかり顔を隠して街灯がつき始める。
朝からのバイトでの疲れが溜って流石に苦しくなってきた。
橙「どこッ…さとみ、…さとみッ」
もう随分探し回った。
こんなに探しても居ないなんて。
さとみがこの世界で向かう場所なんて………
橙「…あ」
橙「さとみッ…!!!!」
桃「ッ…!!じぇる…」
俺が唯一探していなかった場所、バイトの帰り道にある柳の並木道。
さとみと初めて出会った場所
きっと入れ違いにでもなったのだろう。迷路のような道を歩み続けたに違いない。
俺は走った勢いのままさとみを抱きしめた。
橙「よかったッ…無事で、ポロポロッ」
桃「へ…?じぇる?」
橙「心配したんやからなッ……」
桃「…ごめんなさい」
そっと抱きしめ返してくれたさとみの体温に安心した。
橙「…で、なんで外に出たん?危ないやろ」
桃「……、じぇる、俺ね…帰らなくちゃいけないんだ」
橙「え…?」
桃「今日ね、朝プ○キュアがやっててね…それで分かったんだけど……俺ね、操られてたんだって」
橙「…それは…悪い奴に?」
さとみは静かに頷いて視線を落とす。
桃「俺がいた闇の王国は、もともと『いちごの国』だったんだって。でも、そのいちごの国が悪い奴らに襲われたとき、俺は操られて…ッ」
橙「そっか…」
桃「あのね、じぇる…俺…
いちごの国の王子なんだ」
橙「……それってつまり」
桃「……うん、俺が自分の国を自分で壊した」
橙「そん、な…」
桃「だからッ!!!……俺は、帰らなくちゃいけないんだ……」
さとみはそう小さな声で呟くと、俺の胸に顔を埋めた。
消えてしまいそうな声。
きっと罪悪感でいっぱいなのだろう。
辛いよな。苦しいよな。自分のせいだってたくさん自分を責めて。でも人間はそうやって自分を責め過ぎて本当の自分を見失いそうになってしまう。
だから、俺に今出来る事は
心からさとみに寄り添ってあげること。
橙「……さとみ、家に帰ろう」
桃「?!何言ってんだよッ!俺はッ元の世界に帰らなくちゃいけないんだぞ?!」
橙「でも、帰る方法は分からんのやろ?」
桃「そう…だけど…、」
橙「考えすぎてもだめ。さとみの分、今はプ○キュアが頑張ってくれてるんや。ゆっくり帰る方法を探そう。俺が手伝うから、な?」
桃「…ッうん…」
さとみは涙でぐしゃぐしゃだったが微笑んでくれた。
橙「まったく〜お弁当食べて欲しかったのに〜」
桃「あ゛…そうだった楽しみにしてたのに忘れてた…」
橙「まぁまぁw今日はしゃーないからなwただし!明日からはしっかりと食べること!分かった?」
桃「、w…はーい」
手を繋いでゆっくりと歩く。
歩幅をできるだけ合わせるように。
桃「ねぇ…じぇる?」
橙「ん?」
桃「じぇると一緒にいると心がほわほわするし…でもきゅんってなって、どきどきするの。これはなんていう感情?」
橙「それは…『好き』じゃないかなぁ」
桃「す、き……?」
橙「うん…さとみが俺といる時に家族とか、友達とか、恋人とか………沢山の意味があるけれど、俺にとっての『大切な存在になりたい』って思ったときに出る感情…かな」
桃「………」
橙「?さとみ?どした?」
俺が振り返ると、さとみは真っ赤な顔をしてこちらを見つめてきた。
桃「なん、か…よく分からないけど、恥ずかしい…//」
橙「え、//」
手で顔を隠そうとするさとみを見ているとなんとも言えない感情になる。
なんとなく気づいていた。
俺のこの感情
何気ない笑顔にきゅんってしたり
ゲームに夢中になっている姿がかわいく見えたり
今思うとそれはもう確実だった。
俺はさとみに恋をしているんだ。
橙「ふふっwかわええな、さとみ」
桃「はぁ?!///」
ゆっくり、ゆっくりでいいんだ。
さとみが元の世界に帰ることも
俺がこの気持ちをさとみに伝えることも
俺たちが一緒にいる限り、きっと出来ることなのだから。
橙「月が綺麗やなぁ」
桃「……、?…うん、そう、…だね…」
桃「………」
どうも〜!!!
久しぶりにあげられましたぁ!
存在を忘れてたとかではなく、他の作品の方が優先順位が高くてなかなかこちらの連載を進められてませんでした!!
さぁ!今回の話で結構動いたのではないでしょうか!
さとみくんの元の世界での衝撃の事実…
そしてとうとうジェルくんが自分の思いに気づき…
そしてそして、最後のさとみくんは何を思っていたのか……。
まだまだ続きます!!
ぜひ、待っていてくださいね!!!
コメント
10件
続き待ってます
わぁぁぁぁ!好き! あとなんかシリアス味あるのにプ〇キュアが出てきて不思議な気持ちになりますw
おぉ!まじかよ…操られてたんかよ… 続き楽しみ!