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#オリジナル
芽花林檎
213
89
#マフィア
らむらむ
497
機動隊の大型車両が路地の入り口を封鎖し
サーチライトの強烈な光が、煤けた壁を真っ白に焼き付ける。
「ターゲットを確認、抵抗する者は容赦するな!」
拡声器から響く声は、もはや市民を守る警察のそれではない。
中臣代議士が飼い慣らした、国家という名の巨大な暴力だ。
「クソが……俺たちまで使い捨てかよ!」
大門が吐き捨て、機動隊の盾に向けて銃弾を叩き込んだ。
だが、特殊素材の防弾盾には傷一つ付かない。
逆に、機動隊側の容赦ないガス弾が路地に撃ち込まれ、視界が白い煙に覆われる。
「黒嵜、こっちだ!」
志摩が俺の腕を掴み、崩れかけた民家の隙間へと引きずり込んだ。
「大門たちはどうする!」
「放っておけ!奴らには奴らの落とし前がある。俺たちが守るべきは、その封筒だ!」
煙の中で、大門たちの悲鳴と怒号が聞こえる。
かつて肩を並べて戦った兄弟分たちが、国家の「掃除」によって呆気なく潰されていく。
俺の胸の奥で、どす黒い感情が渦巻いた。
親父、あんたはこれを見越していたのか。
組を、部下を、俺を……全部切り捨ててまで、あの玉座にしがみつきたいのか。
「……志摩。この封筒の中身、今ここで確認しろ」
俺は狭い隙間に身を潜め、拓海の遺した封筒を引き裂いた。
中から出てきたのは、数枚の写真。
そこには、中臣代議士と、俺の親父……
榊原組長が、血のついた「何か」を囲んで笑い合っている姿が写っていた。
そして、その背後には、まだ若かりし頃の志摩の姿もあった。
「……志摩。これは、どういう意味だ」
俺はドスよりも冷たい視線を志摩に向けた。
志摩は一瞬、顔を伏せたが
すぐに覚悟を決めたように俺を見返した。
「……それが、俺が警察を追われ、お前に加担している本当の理由だ。二十年前、俺は中臣と榊原が起こした『ある事件』の揉み消しに加担した。拓海は、その過去の亡霊を掘り起こしちまったんだ」
衝撃が脳を突き抜ける。
拓海が死んだ本当の理由は、現在の汚職だけじゃない。
二十年前から続く、この街の「呪い」そのものに触れたからだ。
「……あいつは、俺を救おうとしたんだな。こんな泥沼から」
俺はICレコーダーの再生ボタンを押した。
『……兄貴。俺、やっと分かったよ。俺たちが信じてた絆は、最初から血で汚れてたんだ。でも、兄貴だけは……兄貴だけは「人間」でいてくれよ』
拓海の震える声が、ノイズ混じりに響く。
その瞬間、俺の頬を濡らしたのは、雨か、それとも。
俺は懐からドスを抜き、逆に機動隊の包囲網へと歩き出した。
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