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気が付いたら絵名が隣にいて、一緒に作業をしていた。多分会話はあったのだろうけど、直ぐに作業に入りたいのもあってあんまり覚えていない。
少し集中力が切れたら、周りの音が聞こえてきて、聞こえるのは絵名の唸り声。本人は無意識なのだろうか。それは分からないけど、絵名らしいと言えば絵名らしい。
そんな風に考え事をしていたら肩に体重がかかり、集中が切れる。横目で見ると絵名が寝ていた。鉛筆は手を離れてころころと転がっていた。
「ね、たの……?」
小さい声で話しかけるが、返事はない。ぐっすりみたいだ。しかし、肩に絵名がいるせいで大きく動けない。顔を確認したかったが出来な──いや、方法ならある。
私はスマホを取り出して、カメラを内カメにする。そこに映るのは、完全に目を閉じて眠りきった絵名。そしてカシャリと音がする。私は気が付いたらシャッターを切っていたのだ。
後で絵名にバレたら怒られそうだし、消しておいた方がいいだろう。そう思って写真を開く。絵名の寝顔。自然と頬が緩み、胸の奥があたたかくなった。
少しその写真を眺めた後、私はスマホの画面を暗くした。作業を再開しようか。しかし、こんな風に気持ちよく寝ている絵名を前にして、私も誘われてしまった。
絵名の方に寄りかかり、頭を乗せる。少しだけ頬にかかる髪の毛がくすぐったい。
──おやすみ、絵名。
そう心で呟いて、私は目を閉じた。無防備になった手をしっかりと握って。
***
「うん。喜々としてルカがボク達に報告してきた理由が分かったよ」
「リンとミクも寝ちゃってて暇なのよ」
「あはは」
ルカがいきなり画面に出てきた時は驚いたけど、理由は分かる。
まふゆと絵名とミクとリン、四人が寝ている。それはいいんだけど、まふゆは絵名の頭に頭をくっつけていて、なんなら手も繋いでいる。そんな二人の膝を枕にするミクとリン。うん、素晴らしい。
「週刊暁山、大スクープ撮っちゃって、連日ニュースに取り上げられちゃうね。はいチーズっと」
「瑞希、後で写真頂戴」
「拝むのやめときなよ、恥ずかしい。外で二人がこんなことしてても拝むの?」
「どうせジャージしか着てないんだし大丈夫だよ」
「奏……」
自覚はあったらしい。容姿いいんだから、気にしてほしいな。