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赫家
___赫視点
空がようやく暗くなって、一日がもうすぐで終わりそうな夜。
未だに俺の家にはこさめやみこともいる。生徒会は追いかけて来ないと分かったことに、ようやく安心できた時に玄関のチャイムは鳴った。
瑞 「…なつくん、誰だった…?」
赫 「……生徒会だ…けど、なんかおかしいぞ…?」
黈 「え?」
インターホンから見える視界には、生徒会長の桃瀬さんしかいなかった。
生徒会の用事なんて、めんどくさいことが多いので居留守でも使おうと思ったが、桃瀬さんの一言に俺らは全員驚いて反応せざるを得なかった。
桃 『うちのバカが優希くんに手出してすいません、謝りに来ました。』
翠 『うぅ……らんらん、こわい…』
虫でも見るような目で、桃瀬さんは隣の地面に座らされている翠川さんを見る。
俺達が全員ここにいることがやっぱり既にわかっているようで、生徒会の2人は俺らが扉を開けるまでずっと待っていた。
痺れを切らした俺が、みこととこさめに奥の部屋から見守ってて欲しいと無理を聞かせて俺がひとりで玄関の扉を開けた。
ガチャッ(開ける
桃「…!」
桃瀬さんはびっくりした顔で、玄関から出てきた俺にサッと頭を下げて謝ってきた。翠川さんはその数秒後に桃瀬さんに頭を叩かれて渋々謝っていた。
赫 「…何しに来たんすか」
桃 「直接謝りに来ました、特に優希くんに。」
特にという部分が強調されて、俺には興味も関心もまるっきりねぇということがわかり、段々と腹が立つ。
赫 「みことはお前たちに会いたいなんて思わねぇよ!」
翠 「…そんなことわかってるよ。けど、俺は直接謝りたくて来たんだ。」
初めて見る翠川さんの真剣な瞳に押し負けそうになる。けど、こっちも傷ついた友達がいるんだ。引き下がれるわけがない。
赫 「お前みたいなやつを俺は、生徒会…いや、先輩だなんて…」
黈 「なっちゃん、もういいッ!それ以上…責めんで…」
赫 「…みこと…?」
後ろから聞こえるみことの騒然とした大声が、家中に響く。
黈 「全部俺のせいや…バイトも、俺の嫌なことだって全部その人は助けてくれようとしたんに…」
黈 「さっきまで、気付けんかった…ッ」
赫 「…っは?どういうことだよ…」
俺の問いには答えのようとしないみことの代わりに、翠川さんが口を開く。
翠 「今、生徒会で問題になってた内容は優希くんのバイトのこと。何してたと思う?俺は最初は信じられなかったよ…」
黈 「…ッごめんなさい…」
涙ながらに吐き出される謝罪の言葉は小さく脆いものだったのに、翠川さんの話の続きを聞き続けるとまた違う感情に受け取れた。
赫 「…からだを…うる…??」
翠 「この前はちょうど俺が行った時に、迷惑客に絡まれてたから助けてあげたはずなんだけどね。」
黈 「そのあと抱かれるのは聞いてない…⸝⸝⸝てか、俺はタチ専用って説明しましたよねッ!⸝⸝⸝」
桃 「聞けば聞くほどすちが悪くてな…別に俺たちはそこまでそのバイトを責めようなんて思ってないんだよ。」
顔を真っ赤にしながら壁に頭を打ち付けて、みことは少しは冷静さを手に入れる。
瑞 「ごめん…話が読めないんだけど、どういうこと…?」
黈 「知らないで…やめて、まだ綺麗でいていいんよ…?」
一人、置いてかれたように頭の上にハテナを浮かばせながら、こさめはドア裏に隠れている。
こさめが生徒会と対面で会うのは、これが初めてのはずだ。
桃 「えっと…雨乃さんって2年生?」
瑞 「うん…2年生だよ?」
翠 「大事にされてきたんだね、なんにも知らないじゃん。」
皮肉のような言い回し方が俺的には気に入らないけど、実際その皮肉はこさめには効かない。
瑞 「こさめが?そんなわけないよ。」
来ている上の制服をお腹辺りまで上げながら、こさめは生徒会に説明をする。
瑞 「これが2年前のやつで、こっちは昨日つけられた傷。薬もないから治せないんだよね〜 」
昨日つけられたという傷は、生々しく痛々しいもので直視するのが嫌になるほどだった。
翠 「…なんか、みんな大変そうだね…適当なこと言っちゃってごめん。」
瑞 「謝られるような事でもないけど…」
赫 「ってか、みんなって?」
雰囲気をぶち壊すように考えもなしに言ってしまった言葉に、少し反省しながら誰かの返答を待つ。
こさめやみことは不思議そうな顔をしながら、翠川さんを見つめる。だけど、翠川さんと桃瀬さんは両者目を合わせながら苦笑い。
翠 「みんな言ったし、もういいんじゃない?」
桃 「んー、まぁそれも考えの一つだね。…けど、大丈夫かな?」
「なにが?」とこさめが一言。桃瀬さんはそれを答えることすらも難しいとでも言うような顔をしていた。
桃 「……ここにいる人だけなら、話していいかな…?」
翠 「他の人たちは他言無用だからね?」
黈 「他言無用ってなんやっけ?」
赫 「秘密を誰にも話すなってことだよ、みことのバイトの話だって誰にもされたくないだろ?」
黈 「……」
黙ってしまったみことを見て、生徒会のふたりは頷くように圧をかけてきた。
翠 「もし、誰かに言ったら…そのときは君たちが守りたい秘密も全部俺の口から言っちゃうかもっ?笑」
瑞 「たちわるーい、けど、なんでそんな情報生徒会が持ってるの?」
桃 「心臓病で寿命が少ない俺を憐れんだ父さんが、俺らのために沢山情報くれたんだよ。」
赫黈瑞 「え?」
翠 「サラッと言っちゃったよもう…ここまで圧かけたのに…!」
少し怒る翠川さんに、桃瀬さんは「ごめんごめん」と笑いながら答える。
生徒会長が心臓病だなんて、そんなの誰に言っても信じて貰えない。けど本人の口から俺らはそう聞いてしまった。
桃 「あと半年っていってたかな?卒業までは多分生きてるんだろうけど、大学は行けないだろうね。」
翠 「今の医学は進歩してるけど、せいぜい痛みを感じさせない程度しからんらんには出来ないって、俺の父さんも言ってたよ。」
どこかの噂で、翠川さんの家系は代々この街1番の病院の医院長をつとめていると聞いたのだが、この話ぶりからしてそれは本当なのだろう。
赫 「…ってことは、来年には桃瀬さんはもう居ないってことすか?」
桃 「だいせーかい!受験も受ける必要ないし、俺らは死人になる運命なんだから誰かの生き様にケチなんて付けれないんだよ。」
翠 「だから言ったでしょ、優希くんのバイトのことは別に責めるつもりはないんだよ。まぁ、雨乃くんはまた別かもだけど…」
死ぬと宣告されても、やっぱり生徒会長は笑ってた。翠川さんは笑う意味がわからないとでも言いたげな顔をして桃瀬さんを抱きしめる。
黈 「……こわく、無いんですか?」
桃 「宣告された時は散々泣いたね。怖いのはずっとそうだけど…いつ死ぬか分からないよりマシかなって…」
死ぬ時がわかるのと、分からないのどっちが怖いんだろう…自分に問いかけてみても答えは出ない。
どちらにせよ、俺にとっては怖くて仕方がない事だから。
#skfn
りお
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コメント
10件
初コメ失礼いたします!🙇♀️ お話の流れや、みんなそれぞれの隠し方、喋り方などが好きすぎて一気読みしてしまいました💕 これからも影から視聴させていただきます!🫶

一気読みしてしまった 最高やな
第4話読み終えたよ。桃瀬さんが心臓病で半年って…あの笑顔の裏にそんなもの背負ってたとは思わなかった。翠川の「みんな大変そうだね」って言葉、軽く見えて実は一番重かった。こさめが傷を隠さず見せた場面も、余計な説明がなくて生々しく響いたよ。