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翌朝、村の広場にて。 朝焼けに包まれながら、俺・リバ・ザラの三人が肩を並べていた。
ギルドの掲示板の前には、昨夜とちがう「緊急依頼」が貼り出されている。
リバ「……今度は西の『黒樹の森』で魔獣の目撃情報。ギルドも警戒しているみたいです」
ザラが腕を組んでフンと鼻で笑う。
「オレも気になるな。伝承じゃ“黒樹の森”は、昔“滅びの魔”が眠ったとされる…」 「おいおい、まさか本当にそんな物騒なもんが出てくるのかよ…」
俺はその依頼書を手に取ったとき、小さな違和感を覚えた。 (報酬が高すぎる……ギルドも本気だな)
ギルドのエルフ受付嬢が、小声で俺らに語りかける。
「黒樹の森の封印が弱まっているという噂もありまして…できれば調査だけでもお願いしたいのです」
リバ「……やってみましょう、モルグ様」 ザラ「異国の力の見せどころだな!」
出発前、荷物をまとめているとザラがふいに話しかけてくる。
ザラ「なあモルグ、オレ……昔、あの森の奥で“何か”を見た。黒い影と……声」 俺「見た? それ、どんな……」 ザラ「分からねぇ。ただ、族の長老は『触れてはならぬ力』だって。それが何なのか、正体は今も分からん」
リバも顔を曇らせる。
「私も小さい頃、家の者から“黒樹の森には近付くな”と厳しく言われてました。 幼なじみが、一人…消えて…」
「それって……もしかして…」
しかしふたりとも、何か言いかけて口をつぐむ。
「……まあ、調査とはいえ危険ならすぐに撤退しましょう。仲間を失うのは御免ですから」
「それは同感だな。危ない橋は、お前を守る方が先だからなリバ」
ザラは軽くウィンクして、
「二人とも頼もしすぎて、冒険するのが楽しくなりそうだ」と笑う。
三人は西の『黒樹の森』へ、慎重に出発した。
森の入口までくると、古びた封印札や何重ものロープ、さらには刻まれた“何語か分からない呪文”の石碑が立っている。
リバ「……この呪文、見覚えがあるような」 モルグ「読めるのか?」 リバ「……いえ、でもどこか懐かしい。私の“家系”に伝わる文様に似ている気がします」
森に一歩足を踏み入れると、遠くの闇に光る眼が……。
ザラ「……ふっ、来るもの拒まずってな感じだな」 モルグ「油断するな。今回は調査が本命だ」 リバ「でも、どうしても気になる……この奥に“誰か”が呼んでいるような……」
その時。
森の奥の巨木に、奇妙な“浮遊する黒い胞子”が集まっているのが見える。
俺は直感的に「自分と同じ“菌類の力”の気配」を感じた。 (これは……俺の知らない“何か”が眠っているのか?)
ザラもリバも同時に武器を握りしめ、三人はゆっくりと森の奥へ進んでいく——。
***
遥か彼方、古の遺跡の中。
一組の謎の人物たちが静かに会話していた。
「……いよいよ“鍵”が動き始めた。この星に再び試練を――」
「次の“目覚め”のため、観察を続けよ」
彼らの言葉は、森の“封印”・“黒い胞子”・リバやモルグの家系と、不気味に繋がり始めていた。