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窓から日差しが差し込んでいた。外ではスズメが鳴いては飛び立つ音が聞こえる。
ここはアパートの一室。颯太の部屋だ。
いつものベッドの上、設定を消し忘れたアラームが平日と同じ時間に鳴っている。
うつ伏せ寝で寝ていた颯太は、寝返りを打って動いた瞬間に床に落ちたスマホに手を伸ばしてアラームを消した。
休みだから朝遅くまで寝ていたかったのにと後頭部をガリガリとかく。
体を起こすと、ふとんに抵抗を感じた。
横を見ると眼鏡を外した美羽が、スヤスヤと気持ちよさそうに寝ている。
「ちょ、待って。待て待て待て……嘘だろ? 何で部屋に連れ込んでんだ、俺」
独り言をつぶやく。
自分の頬をつねっては夢じゃないかと確かめた。現実だったことに放心状態だった。ハッとひらめいて、見られてはいけない娘のここに遊びにきた時に使う動物のフィギュアのおもちゃや家族の写真立てをパタンと倒した。
(でも、もう遅いのか。見られてるかもしれない。その時はどうするか……それにしてもなんで俺の昨日の記憶がないんだ。ちくしょー)
Tシャツとハーフパンツの姿で寝ていた颯太は部屋の中をうろうろしていた。
「あれ、もう起きたの? 休みなのに早いんだね」
目をこすりながら起きた美羽。後ろを振り返っては、美羽のそばに近づいた。
「覚えてないんだけど、昨日のこと」
「え、ほんと? 飲みすぎた?」
ふとんをよけると、下着姿のままに驚いてすぐにふとんをかけて隠した。
颯太はすぐに目を塞いで後ろに振り返る。
「見てないから!」
「見てないからって……今更だけど……恥ずかしいは恥ずかしいよね」
後ろ姿のまま、かに歩きで床に落ちた脱ぎっぱなしの服を拾ってはぐいっと腕を伸ばして手渡した。目を合わせようとしない。
「あ、あと! 申し訳ないんだけどこれから来客があるから……。その、あの……」
「あ、そうなんだ。ごめんなさい、今帰る準備するね。えっと、服はこれとこれかな」
美羽は後ろ向きの颯太を横目についで服に着替えた。颯太はクローゼットに行き、おしゃれな服に着替えて、寝癖を整えに鏡を見ながらくしでとかした。女子よりも女子力が高い気がすると、洗面台に並んで化粧をする美羽。颯太は棚に置いていた香水を軽く振りかけた。
「それ、いいね。ムスクの香り……。私、制汗剤しかつけないから香水もいいね」
「つける?」
「うん」
手首に振りかけては両手で首に擦り付ける。
「香水ってこんな感じでいいんだっけ?」
「そうそう」
「何か.颯太さんと共有できて嬉しいな。同じ香りだ」
にこにことご機嫌な表情を見せて、ソファに置いていたバックを肩にかけた。
「んじゃ、また会えるよね?」
「ああ、またそのうち連絡するわ」
左手を後頭部の後ろにあてて恥ずかしいそうに言った。