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〜ぼっちの月の神様の使徒〜

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〜ぼっちの月の神様の使徒〜

26 - 26話 ミッション武器をタダで手に入れろ!

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2024年01月18日

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飛行機内では誰が聞いてるかわからないので、危ない話しはここまでにして、俺は眠りについた。

俺が起きていたのは機内食を食べた時くらいだ。

聖奈さんは寝れただろうか?




「聖くん。あと少しで着くから起きて」

「ああ。ところで俺は英語を喋れないけど、聖奈さんは?」

大丈夫だろうと期待を込めて聞いた。

何せ今のところパーフェクトウーマンなんだから。

「少しなら話せるよ。でも安心して。私達はペラペラだから」

ん?……!!

「そうか!例の能力ちからか!」

「そっ。すでに試したから間違いないよ」

流石だな。じゃあ、おフランスとかでもペラペラなのか。かっこいいぜ!

そんな話をしている間に飛行機は着陸態勢に入った。

空港に着いた俺達は普通の旅行者とは違い、荷物も少なく入国した。



「まさか、宿を荷物の中継地点にするなんてな。確かに荷物はいらないな」

「でしょ?この方法で旅行するのはすぐに思いついたの」

やはりオタク度が違うぜ!

「で、どこにあれを買いに行くんだ?」

「正確な場所は知らない方がいいから伝えないけど、あんまり良いところじゃないの」

「それって大丈夫なのか?」

俺は不安を口にした。

「私の税理士さんの伝手つてで、個人的に販売してもらうことになったの。

初めは外国人でも買える、正規ルートの方法を考えていたんだけど、そのことで税理士さんに相談したら、それは登録制だから私達が銃を持っているってバレるのを避けるためにこうしたんだよ」

なんだその税理士……本職は『や』のつく仕事じゃないだろうな?

「でも、安心して。税理士さんの伝手の伝手だから、そもそも何かあっても税理士さんまでたどり着けないから」

だからどうして税理士さんはそのツテを知っているんだよ……

「まあ、わかった。だが、まだわからないことがある。

何で武器なんだ?」

「あれ?まだ気づいていなかったんだ?

私達のパーティ名はなに?」

「…三銃士だろ?まさか……!?異世界で銃を武器に冒険するのか?」

俺の解答に、聖奈さんはその綺麗な顔に笑みを貼り付けた。

「正解!正確には銃だけじゃないけどね」

「でも、三銃士はレイピアが主武器だろ?」

俺は少し不満に思ったことを伝えた。

「確かにあの話では、銃士というのは近衛隊の意味で使われていたけど、確かに銃も携帯してたよ?

後、他の国の銃士隊は実際に銃を主武器にしているところも多かったしね」

そうだったのか…子供の時の記憶だからか、その違和感しか記憶に残ってなかったな。

また賢くなってしまったぜ……

「理解出来た。それで買い付けで危なくなったら転移か?」

「うーん。それは月が見えないとダメだよね?多分外が見えるところで販売はしてないと思うから無理だよ。

こっちの人はお金さえちゃんと払えば、普通の人だから大丈夫だよ。

このまま銃もなく冒険して魔物と戦うよりよっぽど安全だと思うから、この方法にしたの」

なるほど。よく考えているな。

「わかった。任せるよ。それで?どうする?」

「近くまでタクシーで行くよ。

そこからは徒歩じゃないと販売してくれないの。

だから初めに大きなカバンを買うよ」

聖奈さん先導の元、俺達は入れ物を買って、目的地へと向かう。

確かに聖奈さんの言っていた通り、空港でも、タクシーでも、店でも、現地の人が日本語を話しているかの様に聞こえた。

それが面白かった俺は、調子に乗ってタクシーの運転手さんと世間話をしていたら、いつの間にか目的地に着いていた。






ここまでの料金を払った後、運転手さんにここで待っていてもらうように交渉して、待っていてもらうことにした。

「どこに向かうんだ?」

「地図アプリで示された場所なんだけど、ここから歩いて5分くらいだね」

こうやって異国の地でも迷わないんだから、地球って便利だよな。




「あれだよ」

聖奈さんが示した場所は、普通の家だった。

俺は取引のことはわからないから、聖奈さんに付いて行くだけだ。

なんかカッコ悪いな……




「こんにちは。新聞で見たんだけど、明日は暑いらしいよ」

聖奈さんは呼び鈴を鳴らした後、訳の分からないことを喋った。

ガチャ

「知ってるよ。今日も暑いから中に入ってくれ」

白人の30代くらいの男性が出てきて、家の中へと俺達を迎え入れた。


奥の部屋へと通された俺達は座るように促される。

窓は全てカーテンが閉まっていて、外を見ることは出来なかった。

「連絡は来ている。20代のアジア人の夫婦が来るってな。

金は?」

夫婦の設定なのね。事前に教えといてよハニー……

お金は俺が預かっていたので、バッグから取り出す。

「二万ドル分だったな?」

「そうよ。耐久性の高いハンドガン三丁と、予備のマガジンを二つずつ。連射が出来る銃を2つに、マガジンを三つずつ。

後は威力の高い銃火器を合わせて、2万ドルね」

「弾はどうする?」

スラスラと注文をした聖奈さんに、男が問いかける。

「そうね。銃が壊れない程度の量を貰おうかしら」

聖奈さんの口調が普段と違い過ぎるから、声だけ聞けばどっちがマフィアかわからないな……

向こうがマフィアかどうかも知らんけど。

「かなり丈夫な物ばかりだから、簡単なメンテナンスで大分撃てるぞ」

「じゃあこのバッグに入るだけ貰うわ。

他の物の入れ物はサービスしてくれないかしら?」

この人、こんな所で値切ったぞ!?

「…まあ、いい。かなり重たいが大丈夫か?」

「私もこの人も意外に力持ちよ」

またテキトーなことを言ってるし……

「わかった。ここで待て。現物と金は、用意出来たら交換だ」

そう告げると男は奥へと消えた。

入り口には武装した男が待機している。

余計な事を言わないように黙っていたが、代わりに時間が長く感じてしまった。





「待たせたな。カバンに詰めておいた」

男はそう言うと、かなりパンパンに弾が詰まったカバンを渡してきた。

ぐぞおもでぇえ。

「こっちのケースに高火力の物が入っている。後、こっちのケースがお望みの物だ」

聖奈さんが確認して、男に向けて頷いた。

男に武器代と弾代を払って、俺達は普通に家を出ることが出来た。

どうやら販売するところは転々としているらしく、通報されても問題ないんだとか。

「聖くん。これも持てないかな?かなり重くて」

男ならこんな時断れないよね……







何とかタクシーまでたどり着けた俺達は、運転手にホテルまで送ってもらった。

もちろんチップは弾んだ。

ホテルに着いた俺達は、何とか部屋に荷物を運びこむ。

「ああ…肩が壊れるぅぅう」

「お疲れ様。頑張ったね!マッサージしてあげるねっ!」

妹キャラで労う聖奈さんを、今の俺には有り難く思うことしか出来なかった。

「ところで、そっちのハードケースには何が入っているんだ?」

「こっちにはね。手榴弾とかが入ってるよ」

そいつはすげーな。

「疲れているところ悪いんだけど、異世界に持っていかない?

大丈夫だと思うけど、許可証がない武器を手元に長く置いておきたくないの」

それは一理あるな。

「わかった。持っていこう。…まさか転移の影響で爆発しないよな?」

「多分、大丈夫だよ」

そう言いながらなんで離れるの?嘘なの?

どちらにしても月が出ていないと転移はできない。

その上これは予想だが、向こうでは月が出ていないからすぐには帰ってこれない。

「話は変わるが、なんで向こうに月がなくても転移できると思ったんだ?」

「それはね。初めて聖くんが転移した時は、月の神ルナ様と話していたんだよね?

まだ話したいから月の神様が月のある所に聖くんを転移させたんじゃないかと思ったの。

あくまでも願いを聞き届けるために月が必要なのであって、転移先では見えてなくても良いんじゃないかな?」

確かに。だが、それだけだと都合良く考えすぎじゃないか?

「聖くんが転移する時は必ず月が見えてないとダメだよね?」

「そうだな」

「じゃあ、向こうのお月様が雲に隠れていたら出来ないのかな?」

「それは…確かに変だな。

これまでも転移する時は気にして見ていたけど、転移後は曇りどころかその場から月が確認出来ているかすら不明だな」

「ね?だから仮に向こうが昼間でも問題無いんじゃないかな?

転移を発動させる為のエネルギーを月から貰っているだけで、転移先は関係ないっていうのが私の考え」

「なるほどな。よくよく考えたら、建物という月の遮蔽物が多いこちらへの転移で失敗したことがないな」

とにかくやってみるしかない。無理なら違う方法を考えよう。

ご飯を食べて転移の時間を待った。

「じゃあ行くぞ」

「うん!転移で爆死したらずっと一緒だねっ!」

ヤンデレはやめて……

冗談だということは顔を見ているからわかっているけど……






「無事にこれたな。あれ?薄っすら月が見えるぞ!」

宿に着いた俺達は月が見えることに驚いた。

「ホントだ」

聖奈さんが考え込んでいる。

「ロサンゼルスの時間で11時過ぎだったじゃない?

こっちでは朝だから、まだ月は沈んでいないの。

だけど薄っすらだから転移は難しいかな?」

「いや、これくらいなら行けると思う。でも急がないとな」

予定外にロサンゼルスに帰れそうなので、ミランの部屋に手紙だけを残し、転移で戻ることにした。

やはり薄っすらだと、こちらの願いを聞き遂げるまでか、転移のエネルギーを貯めるまでかはわからないが、時間が掛かる。

今回は6分掛かった。

その間聖奈さんが抱きついてくるものだから変な汗をかいたのは秘密だ。







「どうする、寝るか?」

「うーん。時差ボケで眠くはないかな。飛行機の中で2日分くらい寝てたし」

俺は全部で20時間くらい寝溜めしたからか、寝れそうもない。

「ねぇ。24時間空いているカジノに行かないかな?

私行ったことがなくて、行ってみたいの!」

「カジノねぇ。俺はギャンブルを一切したことがないからな」

「タクシーの中でレクチャーしてあげるよ!」

と、いうことで、することもないからカジノへ行くことになった。





タクシーの待ち時間と移動中にルールを聞いた。

何でもテキサスフォールデムと言う、ポーカーの一種のルールらしい。日本でも今流行っているとか。カジノないぞ?

ポーカーなんて一種類のルールしか知らなかったが、それでも知っていたので、覚えは早かった。





「ここよ。ホテル内にポーカールームがあるみたいね」

口調がまた不◯子ちゃんになっていますよ。姐さん。

余分に持ってきていたドルを分け合い、チップ(プラスチックのメダルのようなもの)に替えてそれぞれ別のテーブルに着いた。

現地時間でこんなに遅いのにポーカールームは満席で、少し待ち時間があった。

みんないつ寝ているんだ?

端的に説明すると、テキサスホールデムではプレイヤーそれぞれに配られた2枚のカードと、プレイヤー全員が共有する公開されたコミュニティカード5枚、合計7枚で役を作り、チップをベットするなどの駆け引きを行うようだ。

後は俺が知っている手札5枚のポーカーとほぼ一緒だった。

相手の顔色を窺うのは陰キャの得意技だからな!





3時間後。

「オールイン」

人が減りテーブルが割れたので、掛け金レートが高いテーブルへと案内されていた。

画像


手札はいわゆる『ブタ』だ。何も役はない。

向かいのイケメンが相手だ。

他はもう降りている。

ブラフだろ?」

イケメンに聞かれたから思わず『はい』と答えそうになるが……

「日本人は嘘が苦手でね」

表情を変えないなんて初めから出来ないのはわかっていたからしていない。

逆にいつもニコニコしていた。

暫く考えた後イケメンはカードを投げた。

これは降りるを意味する。

俺はチップを増やした。実際今、自分がいくらぐらい持っているのかわかっていない。

レートが上がり過ぎて最初に渡されたチップの柄をずっと見ていないからだ。

その後もビギナーズラックを発揮して、チップの山を築いた。

そんな俺は聖奈さんに呼ばれるまで、ポーカーを続けていた。







「凄いね!あそこのテーブルってレートが高いんだよね?

私なんて7時間も掛けてプラマイゼロだったよ」

聖奈さん。それは逆に難しいのでは?

「これを換金しないと、いくらになったのかわからないな」

大量に持ったチップを換金するためにカウンターへと向かう 。

「35,000ドルよ」

換金所のお姉さんに渡された額にビビる。

だって、ついさっきまでこのお金がすぐ無くなるようなレートでプレイしてたんだぜ?

俺が今更ビビっている間に、聖奈さんは税務関係の書類のことを聞いている。

「凄いね!持ってきた時より増えているよっ!」

結果だけ見ればお金を貰って武器まで貰ったな。

「まあ、あって困るものじゃないからな。税金関係はわからないから預かっていてくれ。どうせ税金がかかるんだろ?」

「うん。私から提案しようと思ってたところだよ。

知ってたんだ?」

「いや、今話しているのも聞こえてたし、偶々同じテーブルにいた日本人の人に教えてもらったんだ。カジノにチップをプールしていたら税金はかからないとかも言ってたけど、二度と来ないしな」

そう。俺が勝てたのは偶々だ。

ビギナーズラックでギャンブルに溺れるくらいなら、殆どの人がギャンブラーになるだろう。

「凄いね。そんなに勝てちゃったら、私ならここに住んじゃうかも」

聖奈さん、また心にもないことを……

カジノを出た俺達はホテルに戻った。

もちろん治安が悪いみたいだからタクシーでな。


治安の悪いところで銃を持つのも怖かったけど、大金を持つ方が怖いんだね……

勉強になったよ……

〜ぼっちの月の神様の使徒〜

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