テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
あっととの初めての出会いは3年生の時、ある友達たちと家の近くの公園で遊んでいた日のこと。
友達が新しい子を遊びに誘ったらしい。その子があっとだった。
目はオッドアイで、赤い瞳と青い瞳が太陽の光を浴びてキラキラと輝いており、髪はサラサラで、茶髪と赤髪がきれいにグラデーションになっていた。
絵に描いたような綺麗な顔立ちに、スラッとした体型、細く長い足。神様に愛された子と言われてもおかしくないくらいの人。
実際、あっととの接点すらなかった俺だが、自分の目で生あっとを見ると目が悲鳴を上げるかと思うほど、破壊力がすごかった。
噂でよく、あっとを見ると眼福だとか聞くけれど、それは本当だったのだと確信した。
こんな子と友達になれたらどんなに嬉しいか、考えるだけで喜びが溢れそうだ。
あっとにバレないよう、俺は何度もあっとのことを見ていた。
どの角度から見てもビジュが最高。めちゃくちゃ盛れる。
そんなことを一人で考えていたら、流石に見ていたのがバレてしまったようでこちらに笑いかけた。
その笑顔がまた美しく、余計に目が離せなくなってしまった。
その時、あっとが口を開いて、「はい、これよかったらどうぞ。」と言った。
何種類かの小袋装のお菓子が綺麗にラッピングされていた。
とてつもなく嬉しかったが、何も持ってきていない俺はどうすればいいか分からず、オロオロすることしかできなかった。
それを見たあっとが、すかさず「喜んでくれただけで嬉しいから大丈夫だよ」と耳元でコソッと伝えてくれた。
ただそれだけ、たった一言だったけどあっとの優しさで胸がいっぱいになって。
あっととは5年生になるまでそれっきり遊んだことも、話もしなかった。ただ、廊下ですれ違うだけ。
だが、可愛らしい笑顔が特徴的な子だったことは鮮明に覚えていた。
今年(5年生の時)、同じクラスになれたときはこれほど一緒のクラスに慣れて嬉しい人は居ないのではと思った。
今まであっとに憧れと尊敬を抱いていた俺には嬉しい限りだった。
もしかしたら友達になれるかもなんて叶いもしない欲望を願っていた俺だったが、まさか中学に進学してもなお、友達より上の親友で居続けていられることに自分自身でも信じられない。
いつの間にか俺はあっとに恋心を抱くようになっていた。
こんな気持ちをあっとに知られてしまったら、拒絶どころで済まないことなんてわかっていたけれど。
誰かに知られたらと思うと生きた心地がしなかったが、あっと日々を過ごしている時間がとてつもなく大切で幸せの時間だった。
中学3年生の夏、高校が別れるとわかりきっていた俺は思い切ってあっとに告白した。
初めてあっとと出会ったあの公園で。
振られる覚悟で告白した。もう、あっとと笑って過ごせていたあの日々のように幸せな時間を送ることができなくても、それでもいいから俺の気持ちだけでも伝えておきたかった。
予想通りあっとは目を見開き、困った表情をしていた。
そらそうだ、俺なんかに告られて困るに決まってる。
でも、俺が予想していた結末とは全くかけ離れていた。
「俺で良ければ…お願いします。」
今にも泣き出しそうな表情をしたあっとがそう答えた。
「まぜ、俺も好きだよ。ずっと前から、…」
夢にも思ってもいなかった相手と付き合えたこの現実が嬉しくて嬉しくて、その場で泣いてしまったことを今でも覚えてる。
好きなこの前で絶対涙を流さないって決めてたのにと思いながら、泣くのを辞めることはできなかった。
高校生になってから、途端に忙しくなった。
中学の時にはなかった文化祭や、更に難しくなった勉強。
部活は厳しく、休みはあったりなかったり。
けど、充実した毎日を送ることができていた。
あっとが急に「まぜと同じ高校はいる」って言い出したときはびっくりした。
あっとだったらもっと偏差値が高いところに入れたはずなのに。
だけど、高校生活楽しいと本人が言っていたから良かったのかもしれない。
俺も同じ学校だと毎日あっとと会えるし頑張ろうと思えるのはとても嬉しい。
二人で色んなところにデートに行ったことや、あっとの好きなことが更に知れた日。
楽しかった。とてつもなく。あの日までは_
そこで目が覚めた。
昔のことを思い出していたことに今気がついた。
「…馬鹿みたい。思い出さないって決めたのに」
俺の声が冷たく冷え切った部屋に響き渡る。
クビキリギスの音だろうか、遠くで音が鳴り響いている。
雨で濡れたままだったことを忘れて数時間部屋に居たことを思い出したときは、もう体が十分冷え切っていた。
こりゃ、明日体調を崩すなと思いつつ俺はまた目をつぶった。
愛する人が記憶を失ってしまった現実を忘れたいかのように。
コメント
6件
文章がほんと好きや…ぁあでも最後切ない…!どうしよう、感情が上と下行ったり来たりしとるわ。情緒不安定すぎてやばい😅
やばい…めっちゃニヤニヤしながら見ちゃったw好きな人が記憶失くすって悲しいねぇ… 今回も神だった!
今回も楽しいお話ありがとう!!最後が悲しい…😢これからどうなっちゃうんだろう?気になる!続き楽しみにしてるね!