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秋山さん……運動会の時より汗だく。
そりゃ、今は真夏だから。
でも、それだけでなく、朝から大活躍して準備してくれているからだよね。
「千愛、何から食べたい?」
「お肉とウインナーとコーン」
「よし。亜優ちゃんは?」
「お肉とコーンと、千愛ちゃんなんて言ったっけ?」
「ウインナー」
「そや。ウインナーもすきっ」
「子どもの好きなものは決まっているのか?同じだな。よーし、たくさん食べてくれよ?」
子どもたちの好きなものから焼いてくれる秋山さん。
クーラーボックスを降ろしたまま、一度も立たない夫。
対照的すぎてため息が出そうだけれど、今日は亜優も楽しみにしていたんだ。
「秋山さん、飲み物だけでも先に。私、出しますから言ってください」
飲み物はうちの担当で、ビールやチューハイ、ジュース、お茶……いろいろと用意した。
「秋山さんのペースでええから、直美も座っておけ」
え……?
夫に腕を引かれ、立ち上がらせてもらえない。
私も手伝いたいのに…夫が何もしない分、私が動かないと……
秋山さんに言ったことが、夫の機嫌を損ねたかもしれないので
「風子さんは何を飲まれます?ビール、チューハイ、ハイボール、サワー、あとなんだっけ……梅酒もあります。ジュースと水とお茶も」
と風子さんを見た。
「ありがとう。見せてもらっていい?」
「もちろん、ご自由に何度でも開けて飲んでください」
秋山さんはトングを手に網の上に集中していて、私が動こうが座っていようが目に入らないかもしれない。
でも……風子さんは若干不機嫌にも見える。
やっぱり下ごしらえ、大変だったよね……コーンも生でなくチンしてあるみたいだし。
暑さで不機嫌なだけと思いたいけれど、そうは思えず、私は落ち着くことが出来ない。
それなのに
「ん、直美。これ焼けてる」
と、夫が私のお皿にお肉を乗せる。
「……ありがと。秋山さん、焼き手、交代します」
パクリ、と食べてから交代を申し出たんだけど
「火傷したらアカンから、秋山さんに任せておけばいい」
と、夫は自分が首に掛けているタオルで私の額の汗を拭く。
私も亜優も、みんなそれぞれタオルは持っているのよ……どうしてここで私の汗を拭く?