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「ううっ、流星さんのワイシャツ、汚れちゃいます。ティッシュください」
私の言葉に
「そんなこと気にすんなよ。面白い子」
彼はクスッと笑った。
ああ、人に抱きしめてもらえるのってこんなにも温かかったっけ?
思わず、私も流星さんのことをギュッと抱きしめてしまった。
汚れちゃったら、クリーニングをして返そう。
何分こうしていただろうか
「落ち着いた?」
流星さんが耳元で呟く。
「はい。ありがとうございます。ホストクラブって怖かったけど、いろんな人と話して、私の愚痴とか聞いてくれるし、みんな優しいし、お酒も久しぶりに飲めたし……。また明日から頑張れそうです」
私が流星さんから手を離すと、彼も私のことを離した。
目が合う。
やばい、かっこ良い。
そんなに見つめられると、ドキドキする。
はぐらかそうと思い
「私、ちょっと着替えてきます」
一旦この場から離れようとした。
私が立ち上がると流星さんも立ち上がり、うしろから私のことを抱きしめた。
「流星さん?」
手を引かれ、目の前に見えていたベッドへと連れて行かれる。
強引ではなかったが、ベッドに押し倒された。
ドクンドクンと自分の心臓の鼓動が聞こえる。
「あのっ?」
まさか流星さんが私と《《あんなこと》》をしたいなんて思っていないよね。
「葵、こんな状態で男を部屋に入れたらどうなるのか、わかってたよね?大人なんだし……」
本当はわかっていたのかもしれない。
無言の私に
「抱いていい?」
流星さんが囁く。
「えっ、あの。私、可愛くもないし、スタイルも良くないし、流星さんにはもっと良い人が……」
「俺は、葵を抱きたいの」
そう言われ
「んっ……」
キスをされた。
唇が離れたかと思うと、再び合わさって
「んんっ!」
流星さんの舌が入ってくる。激しくて、息が苦しい。
「っ、はぁっ」
こんな状況に慣れ始めた時、流星さんの舌が温かくて気持ち良く感じた。
今日初めて会った人なのに、私、どうしてこんなことをしているんだろう。
一夜の恋ってこんな感じなのかな。
経験したことがないからわからない。
だけどキスしている間は、余計なことを考えなくていい。
唇の周りが湿っている。
流星さんが一旦キスを止めた。
「俺のこと、イヤ?イヤだったらこれ以上のことは止めるけど、どうする?」
彼はイタズラに笑っている。
私が断らないことをわかっているような表情だ。
悔しい。
嫌です、止めてくださいと言えばいいだけなのに。
「イヤじゃない」
こんなこと言うなんて、今の私はどうかしている。
フッと流星さんは笑った。
その後もキスを交わし
「はぁっ」
吐息とリップ音が部屋に響く。
私は、求めるように彼の背中に手を回した。
これが夢だったら、どんなに良かっただろう。
「可愛い」
流星さんは私の胸に手を伸ばし、優しく服の上から触れた。
「あっ」
気づいたら、ブラのホックが外れている。
キスをされながら、服を脱がされる。
「恥ずかしい」
上半身が露になってしまった。慌てて、胸を隠す。
「隠さなくていいから」
簡単に手を退けられ、私の耳や首筋に彼の舌が這った。
「あ……。んん……」
ゾクゾクして、力が入らない。
流星さんもワイシャツを脱いで、上半身が露になる。
身体も綺麗だ。
尊みたいに、お腹出てないし。
私の上にいる流星さんをジッと見つめていると
「どうした?」
不思議そうに彼が私に問いかけた。
「身体も綺麗だなって。元彼と違って」
はぁ?と笑って
「一緒にするなよ」
そう言って、再びキスをされた。
流星さん、やっぱりダメ……」
彼の愛撫は続き、身体が反応し続けている。
胸の先端を指先で上下左右に優しく弄られ、吸われた。
「んん!!」
次の瞬間、カリっと先端を甘噛みされる。
「ああっ!」
頭が真っ白になりそう。
それに下腹部が疼く。快楽に身を委ねたくなる。
「流星さん、もうとめて……」
「さっき、嫌じゃないって言ったじゃん」
彼は、私のスカートをめくり、ショーツの上に手を伸ばした。
ショーツの上に指が這っていく。
「ダメっ」
彼の手を止めようと、両手で彼の腕を掴む。
「どうして?」
「どうしてって……。汚いからやだ……」
流星さんと目を合わせられなくて、目を逸らす。
「そんなこと気にしなくていい」
彼のキスがまた続き、吐息が漏れる。
「んっ、んん……!」
キスをされている間に、彼の指がショーツの中に入ってきた。
「葵、もうこんなに濡れてる」
そんなこと、耳元で言わないで。
「ごめんなさ…」
「なんで謝るの?ていうか、まだ擦ってるだけで指も入れてないんだけど、濡れすぎ」
こんなにも長い前戯は初めてだ。それに、流星さんが私にしてくれるキスが強引に見えて優しい。一方的に気持ち良くされて、申し訳ないという気持ちさえ生まれてしまう。
流星さんの指先がショーツの中で、グッと動いた。
「あっ!!だめっ!」
淫らな水音が部屋に響き、恥ずかしくなる。
「身体が変なのっ!」
「…っ。どういう風に?」
クイクイと指先を彼は動かし続けている。
私の身体が小刻みに痙攣し始めていた。
これがイクってこと?
「葵、イキそうってこと?」
「んっ……。イッたことないからわからないっ」
「マジで?」
流星さんの手が止まった。
そんなに驚くことなの?
イクってなに?あれは、みんな演技とかしているんじゃないの!?
元彼とセックスした時だって、気持ち良いって感じたことはあったけれど、《《あんな風には》》ならない。
彼氏と行為をして、世の中の女性でイったことがある人って、実はそんなにいないって華ちゃんが言ってた。
経験したことがないからわからないけれど、この感じがそうなの?
流星さんの指が当たっている部分がとても熱い。
「葵、力抜いて。何も考えないで?我慢しなくてイッていいから」
私が頷くと、彼は私の胸の突起を舐めながら、ショーツの中の少し硬くなった部分を優しく擦ってくれた。感じたことのない快楽が私を襲う。
「あぁっ!」
ビクっと身体が大きな痙攣を起こした。
そのあと、力が入らない。この脱力感、感じたことがない。
これがイクってこと?
「はぁ、はぁ…」
私は流星さんに身体を預けていただけなのに、息が切れる。
「イった?」
彼は手を止め、私の隣に横になり、頭を撫でてくれた。
「ん……。たぶん……」
流星さんは笑って
「可愛いな」
頬にキスをしてくれた。
どうしてあなたは私が言って欲しかった言葉を伝えてくれるの?
「もう一回イク?」
流星さんにそう言われ、慌てて首を横に振った。
こんなこと続けていたら、おかしくなりそう。
「俺が葵の初めての体験になれて嬉しい。本当はもっとシテたいけど。続きは楽しみにとっておく」
続き、なんてないくせに。この関係に今度なんてない。
一夜だけの関係なのに。
「何か冷たいもの飲む?冷蔵庫見てもいい?持ってくる」
彼はもう一度私の唇に優しくキスをして、キッチンへ向かった。
どうしてこんなに優しいの?
いや、私だけじゃなくて、みんなに優しんだ。
だから「キャーキャー」言われるくらい、あんなに人気があるんだ。
やっぱり、これは夢だ。夢なんだ。上を見れば、いつもの天井がある。
流星さんのこと、私はどこか心で引っ掛かっていて、それが夢に出てきて……。妄想の世界に入り込んでしまったんだ。
私はそう自分に言い聞かせ、目を閉じた。
「葵?寝ちゃったのか」
彼が水を持ってきてくれる前に、眠りについてしまった。
「ん……」
目を開けると、カーテンから僅かな光が漏れている。
「もう朝」
目を開けると、いつもの天井が見えた。
頭が痛い気がする。二日酔いか。昨日、酔って帰ってそのまま寝ちゃったんだ。それにしても、ちょっと寒いな。布団は掛けているのに。
自分の身体を見る。
「えっ!!!」
何も着ていない。
「わっ!」
隣を見ると、まつ毛の長いカッコいい男性が上半身裸で寝ていた。
「あれは、夢じゃないの?」
昨日の記憶を辿る。
時計を見ると、もう午前十時を過ぎている。
どうしよう、起こした方がいいのかな。
でも流星さんのホストクラブって、きっと夕方から出勤だよね?
まだ寝てても大丈夫な時間なのかな。
じっと彼の顔を見つめる。
彼とホストクラブで会ってから、心に何か霞がかかっていた。
やっぱり、初めて会った気がしないんだよなぁ。
「あっ、あの時の!!」
思わず、大声を出してしまったが、流星さんは起きなかった。
「私のこと覚えてて、だから優しくしてくれたの?」
寝顔に問うが返答はない。