コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
サイド マオ
『今そっち向かう!!それまで絶対アイツの名前を出すな!』
ルネはそう言うと一方的に電話を切った。
っ……あの馬鹿が!
キレそうになるのを必死に押さえる。勝手に電話してきて、勝手に焦って、勝手に切って。
いくら事情があるといえ、これじゃあ俺も勝手に動くことなんかしたくない。というか、もう無理だ。
目的地に、着いたから。
「ここが、兄ちゃんが死んだ場所だ」
どこにでもありそうな踏切。キノはそこに花を添える。手を合わせ、目を閉じて死んでしまったアイツのことを思う。
「……私、モンダイジ団抜けるね」
…………え?
唐突に、暗い顔でキリがそう言った。
「何で?!」「そ、そうだよ……なんで?」
みんな動揺を隠せない。もちろん俺も。特に、キノはキリを連れてきた張本人であるが故に、ショックが大きいようだった。
「俺、キリとあったのがちょうど兄ちゃんの命日で、ここにきた帰りだったんだぞ!だから、兄ちゃんが、」
「木野 大地(キノ ダイチ)」
「「「「!!」」」」
俺、キノ、タエ、ユズは目を見開いた。その名前は初代団長の名前で、キリが知るはずがない名前だから。
キノ ダイキと一文字違いの名前。
「殺された……?違う。あんたのお兄さんは自殺でしょ?」
『は…………?』
俺がずっと信じていた真実。それが今、キリの言葉で崩壊が始まる。
「に、兄ちゃんは確かに殺されたんだ!」
「殺したの間違いじゃないの?!私のお姉ちゃんを返して!!」
殺意さえこもった声でキリは叫ぶ。
自分の記憶とキリの話す内容の矛盾。“嘘も、信じれば真実になる。真実も、信じなければ嘘になる”俺がよく知っていたはず、なのに。
「……だから、言ったじゃん」
いつのまにか制服姿のルネが立っていた。近くにさっきまでキノと言い争っていたキリが気絶している。
「少し遅かったみたいだね」
いつもと同じ作り物の笑顔を浮かべながら、ルネは言う。その笑顔が今は気持ち悪い。俺はさっきの電話の意味を理解した。
こいつは、いつから、何を知っていたのだろう。そして、それを何故言わなかったのだろう。俺たちに、何を隠して、何を思って嘘をついてのだろう。
「っ…………!」
バッとキノはルネの制服を掴む。
「どういうことだ!説明しろーっ!!」
キノの絶叫が、快晴の青空にこだました。
第3章 真実と嘘編、完!
次回、伏線回収(?)します!いやー……長いですね。
すみません、短くまとめるのが苦手なもので……。本当、どんだけ長いんだって感じですね。
こんなんですが、これからも付き合ってくれると嬉しいです。
by作者