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巨大地下空間


地下 近道 保志


「痛ってーー!!」

下へ落ちた拍子に頭を何か固いものでしたたかに打ったようだ。正直、気を失いそうだった。眩暈がまだ酷かった。

一体。どれだけ落ちるんだよ。吐き気も酷い……。

「く、暗くて前が見えんよ……ここ、どこだろ?」

倒れた状態では仕方がないので、取り敢えず立ってみた。痛めた頭は天井などにはぶつかっていない。涼しい風が暗い西の方からビュウビュウと吹いていた。

「うー、なんか肌寒いな」

耳をすませば風の音以外にも何かの駆動音が聞こえ、遥か西の方からの暗闇から明かりが点いた。

「こ、ここは……岩塩抗だ……」

明かりで、大きなテントや旧式の戦車や至るところに人工の線路が伸びているのが見える。風の音は強くなって寒さが増した。無人の駐屯地のような岩塩抗。

そこは巨大地下空間だった……。


「こんなところに……一人で……冗談じゃなねえーーー!! 電話繋がるかよ!!」

慌ててパイプクリーナーと工具箱を投げ出して、携帯電話を取り出した。だが、予想していた通り電波は圏外だった。

「飯は?! トイレは?! そんなのあるかってんだ?!」

カッとなって勢い携帯電話を地面に叩き落そうとして、即座に思い止まった。誰かいるかも知れない。

「はあ、なんなんだよ。風呂もねえし」

パイプクリーナーはここで捨てて、念のため工具箱を持つ。愚痴をいいながら、仕方なく西の方の明かりへと歩いて行くことにした。地面は線路が複雑に絡まっていて、歩きにくい。時々、足を取られた。西の方から吹く涼しい風は、今では北風のように寒いだけとなった。数ある巨大な戦車の一つの前で立ち止まった。戦車の下には、大きな染みができていた。

「うん? この臭い……??」

たまに嗅ぐ臭いだった。それも腐っている。恐る恐る上を見ると、戦車の一つにある窓からは、人間の捻じれた顔と肩がここから覗けた。それは元は一人の人間だったのだろう。恐怖の表情をしているその顔には、あらぬ方向に肩がめり上がっていた。

「ひっ!!」

声を立てて、その場で腰を抜かした。

まるで、悪夢だ。

俺は、今はまだあの降りる部屋の上で、気を失って倒れているのだろうか?

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