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くすみ✘kusuminn
「ねぇ、これ持つよ」
のあさんが袋に手を伸ばす。
「大丈夫だよ」
もふくんが優しく笑う。
「いやいや重いって!」
ゆあんくんが笑いながら言う。
放課後の帰り道。
いつも通りの、何気ない時間。
「……」
でも。
完全に元通りとはいかなかった。
「……」
ヒロくんは、少しだけ周りを見ている。
(また来るかもしれない)
そう思ってしまう。
「……」
その時。
「……あ?」
低い声が、前から聞こえた。
「……!」
全員の動きが止まる。
そこには——
また、あの手の連中。
でも今回は。
「そのバッグ、いいな」
一人が、近くにいた人に絡んでいる。
一般人。
明らかに困っている。
「……」
空気が、一瞬で変わる。
「……やめとけって」
うりが、前に出る。
軽い口調。
でも。
「……関係ねぇだろ」
男が睨む。
「あるだろ」
その瞬間。
「……」
うりの目が変わる。
「……」
空気が、ピリッと張り詰める。
「……」
ヒロくんが、それを見て息を呑む。
(来る……)
「……」
男が一歩近づく。
「やる気か?」
その瞬間——
「……」
うりが、一歩だけ動いた。
たった、それだけ。
でも。
「……っ!?」
男の体が、ぐらっと揺れる。
「は……?」
何が起きたか分からない顔。
「……」
次の瞬間には——
もう動けなくなっていた。
声も出せない。
ただ立ち尽くすだけ。
「……」
周りの仲間も、一歩引く。
「……」
静寂。
「……行くぞ」
うりが、何事もなかったように言う。
声は、いつも通り。
「……」
誰も動けない。
「……」
もふくんが、静かに一歩前へ。
「……」
倒れそうな一般人を、そっと支える。
「大丈夫ですか?」
優しい声。
完全に、いつものもふくん。
「……あ、はい……」
相手も戸惑っている。
「……」
その間に。
うりは、もう元の顔に戻っていた。
「ほら、行くぞ」
軽く手を振る。
「……」
ゆあんくんが、やっと口を開く。
「……今の……何……?」
震えた声。
「……」
うりは、振り返らない。
「……さぁな」
軽く答えるだけ。
でも。
「……」
ヒロくんは、はっきり見ていた。
(今の動き……)
(普通じゃない)
「……」
そして。
もふくんも。
何も言わない。
ただ——
「……」
少しだけ、目を細めていた。
(やっぱり)
止められない。
「……」
“あの頃”の力は。
まだ、消えていない。