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『やきもちなんて、焼くわけない。……』
ある日の放課後。
「友達の男子とさ、ちょっとだけ帰り道一緒になっちゃって~」
そう何気なく報告したあなたに、
元貴の手が止まった。
「へぇ~、男子とねぇ……」
「? なにその言い方」
「いや、別に?」
口元には笑み。でもその目は、ちょっと拗ねてる?
「ふーん……その子、どんなやつ?」
「え、普通に明るくて面白い子だけど……」
「ふーん……面白いんだ?」
「…………」
「あ、別にやきもちとかじゃないから」
「うっそだ~~ぜったいちょっと焼いてるでしょ」
「……ちょっとだけな」
そう言ってソファに倒れ込む元貴。
「○○が他の男子と笑ってるとこ想像したら……
なんかモヤモヤするし。
それ、俺の特等席じゃなきゃダメじゃない?」
ぽつんと落とされたその言葉に、心がぎゅっとなる。
近づいていくと、元貴は腕を伸ばして引き寄せた。
「僕がいちばん近くにいたいんだよ。
だから……ずっと、僕のだけでいてよ」
そう囁く声が耳元に落ちて、
胸がきゅうって鳴った。
「……うん、わたしも。
元貴くんの、だけ」
やきもちなんて、可愛すぎる罪。
『好きだから、不安にもなる。だけど…』
最近ちょっとだけ、すれ違いが増えてた。
元貴は仕事が忙しくて、なかなか会えない。
LINEの返信も遅くて、そっけなく感じてしまうこともある。
「……わたしのこと、冷めちゃったのかな」
ぽつんとつぶやいた声は、自分でも驚くほど弱かった。
そんな夜、突然インターホンが鳴った。
――そこに立っていたのは、元貴だった。
髪もぼさぼさで、息も少しだけ上がってて。
「…今日、レコーディング深夜までだったけど。
君の声、思い出して、会いたくて来ちゃった」
涙がこぼれた。
安堵と嬉しさで、どうしようもなかった。
「ごめん、ほんとにごめん。
でも、冷めるわけないじゃん。
好きすぎて、仕事ちゃんと頑張らなきゃって思ってたんだよ」
「……でもさみしかった」
「うん、ごめんね。もう言葉だけじゃ足りないよね」
そう言って、彼はやさしく抱きしめてくれた。
あったかくて、ドキドキして、安心して――
「もうちょっとだけ、こうしてていい?」
彼の胸の音が聞こえる距離。
その音が、何よりの“だいすき”の証拠だった。
その夜、ベッドの中。
「ねぇ、もうケンカしないでいたい」
「うん。でも、ケンカもできるくらい君を好きってことかも」
「…それ言い訳だよね」
「うん、でも…許してくれるでしょ?」
「……仕方ないなぁ」
チュッと、優しいキス。
“好きすぎて拗ねる日”も、2人にとっては、愛しい記録。
不安になるのも、全部好きのせい。
でも、ちゃんと伝えあえれば…それはもっと深い愛になる。