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#歳の差
「ねぇ、ずっと聞きたかったんだけど。そんなにルシエルのことが好き?それなら、俺のことも好きになってくれてる?」
その質問に、結衣の顔は急激に赤くなる。結衣の顔を見て、類は目を細めた。
「あぁ、でも俺は結衣さんにとってはただの後輩でしかないですよね。どうしたら意識してもらえますか?このまま抱いたら男として意識してくれます?」
「なっ……!」
「結衣さんが嫌がるならやめますよ、もちろん。結衣さんとはちゃんと先輩と後輩として仕事をうまくやっていきたいですし。でも、結衣さんが俺のことを受け入れてくれるなら、今すぐにでも抱き潰します」
類の言葉に結衣は瞳を潤ませてさらに顔を真っ赤にする。
「その反応、良いように受け取っても良いですか?嫌ならちゃんと拒否しないと本当に抱きますよ。……あ、それともあれか」
そう言って類は少しだけ寂しそうな顔をして結衣の耳元に口を寄せる。
「俺に抱かれるってことは、結局は推しであるルシエルに抱かれるってことだから拒否できないですかね」
そっと囁くように言われた言葉に、結衣は心臓が跳ね上がった。
「どうして、そんな、意地悪なこと言うの……?」
結衣にとって類は確かに可愛い後輩だ。顔がルシエルに似ているから最初はドキドキすることもあった。でも、仕事を一緒にしている時、滅多に笑わない類の笑顔を見て胸が高鳴ったのだ。それはルシエルとは関係なく、類を異性として意識した瞬間だった。
それからは異性として意識しないように、あくまでも大切な後輩で仕事のパートナーだからと自分に言い聞かせてきたのだ。それはむしろ結衣が類を異性として意識している確実な証拠だった。
「ルシエルだから拒否できないって、類としては複雑なんだよな。はぁ、どうしよう。マジでどうしていいかわかんなくなってきた」
結衣を見下ろしながら、眉を下げて類は途方に暮れている。
「た、確かにルシエル様は私にとってたった一人の推しだし、佐伯君は可愛い後輩で大切な仕事のパートナーだよ。でも、ルシエル様も佐伯君もどっちも大切だから……どっちがとか、わかんないよ。どっちも大切で、どっちでもドキドキするからわかんない」
少し声を震わせて結衣が言葉を発する。類は結衣の言葉を聞いて両目を見開き、項垂れた。
「そんなこと言われたら、止まれないじゃん……」
そう呟いて、類は急に結衣の唇に自分の唇を合わせる。そしてそのまま、類は結衣を抱いた。
——目の前に、推しであり後輩でもある男の顔がある。
唇や肌のぬくもりと部屋に響き渡る二人のいやらしい音、頭上からひたすら降り注ぐ愛の言葉。いつまでも終わらない快感に、結衣は頭をクラクラさせながらいつの間にか意識を失っていった。
◇
フッと目を開けると、目の前に推しの顔があった。
「おはようございます」
「っ!」
(ししししし心臓に悪い)
思わずクルリと背を向けると、類は後ろから結衣に抱きつく。
「推しの顔が目の前にあってやばい、とか思った?」
正解すぎてぐうの音も出ない。
「それで良いんですよ。ルシエルである俺も、類である俺も、どっちも結衣さんのこと絶対に離しませんから」
驚いて結衣が振り返ると、にっこりと妖艶に微笑む最愛の男の顔があった。
「え、これで終わりじゃないの?」
「は?」
結衣の疑問に、類は腹の底から煮え繰り返ったようなドスのきいた声を出した。
「結衣さんにとってまさか俺って一夜限りの相手?そういうことできる人だったんですね」
「い、いや、そうじゃなくて、だって、佐伯君が私を好きだとは思えないし」
「はぁ?何言ってるの?好きじゃなきゃ抱かないから」
「へえっ?!」
顔を真っ赤にして驚く結衣を、類は呆れた顔で見つめる。
「結衣さんは自分のこと好きかどうかもわからないような男に抱かれても平気なわけ?」
「平気じゃないよ!でも、佐伯君だし……もしかしたらっていう淡い気持ちと、もし違うとしても抗えなかったと言うか……ってゆーか、佐伯君に好きだと思ってもらえてるなんて全くわからなかったよ?」
焦りながら反論する結衣に、類はあーと呟き、目を細めて頭をかいた。
「確かに、ちゃんと伝えてはいなかったかもしれません。俺は、俺に色目を使わず仕事のパートナーとして対等に扱ってくれる結衣さんのこと、最初の頃から気に入ってましたよ。まぁ、決定的だったのは、ルシエルを推してるって知った時ですけど。実際、ゲームのルシエルは俺のようで俺じゃないけど、それでも嬉しかったです」
(うっ、そういえば食堂での会話、聞かれてたんだった。あの時はもうルシエルの記憶があったってことだものね)
突如襲ってくる恥ずかしさに、結衣は思わず顔を両手で隠そうとするが、類に手を掴まれて阻まれる。
「俺の気持ち、ちゃんとわかってもらえました?」
類に聞かれ、結衣はぶんぶんと大きく頷く。
「そういうわけで、これから一生、俺に堕ち続けてくださいね。推し変とか絶対に許さないから」
異常なほどの色気を纏ったその男に、結衣は全てを囚われる。ぼうっと類の顔を見つめていると、類の顔が近づいてきた。
(推し変なんかできるわけがない、もうこんなに堕とされているのに)
結衣はそう思いながら瞳をそっと閉じ、類の唇の感触を感じていた。
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