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第2.5章 ハルの心

「そういえばさぁ」と言って話を切り出したのは、甘夏の方だった。

「ハルって、人と話すのが怖い…んだった?女将さんと話す時も、怯えてたもんね。私は、そういうことを考えずに、ガシガシ行っちゃったから、困ったよね。ごめん。」

「え!あ、いや、私はむしろ、甘夏がそうしてくれたからその、えっと、今は甘夏と話すの、楽しいよ。」

…本当に、その通りだった。甘夏はこうして積極的に話しかけてくれるし、時々言葉に詰まってしまう私のことも、待っていてくれる。

玉雨と甘夏は、ハルが硬直せずに話せる『条件』と言うものがあるのだろうか。

玉雨も、不思議な人だ。やっぱり、隠り世に住んでいるから、次元というものが違うのだろうか。狐面を被っているからか。

__守ってやれる。

「ッ//!」

「え!はっちゃん、どうかした⁉︎赤くなって!熱⁉︎」

…甘夏がそう言ってくれるのは多分、熱がありそうに見えるほど、紅潮しているからだろう。

(全く、情けない…)

着物と浴衣、あの言葉のことで、妙に玉雨のことを意識してしまっている。

(初対面のはずなんだけどなぁ…。玉雨様も、どうして私の身につけ物を選んでくれたのかな)

トタ、トタ、トタ、、

静かで長い廊下を、甘夏と共に歩いてゆく。

またあの模様が気になってしまい、戻りたくなる。と、突然、

「あ!忘れてた!お風呂!」

と、甘夏が声を上げた。

「えっ、お風呂!?」

「うん!温泉だよ!隠湯堂にはね、おおっきなお風呂があるんだよ!自分なんてちっぽけに思えるくらい。ひょえーって言っちゃたの、まだ覚えてるなぁ。」

「ふふ、本当に大きいんだね。」

楽しそうに、懐かしそうに話す、甘夏の姿が、なんだか、妹のように思えてくる。

『初対面』なのに。__では初対面とは何か。

「さ、はっちゃん!早速行ってみよ!あ、温泉に行く前には必ず、着替えように浴衣があるか確認するんだ!だけど、どうしようかな。はっちゃんには今、専用の浴衣ないから…。あそうだ!玉雨様が選んでくれた浴衣着てみる⁉︎」

「え⁉︎⁈」

心を読み当てられたかようにさらりと言われ、内心本当にびっくりする。だが。

「…うん。着てみたい、な…。」

「あははっ!はっちゃん、すっごく真剣に見てたもんね!そりゃあ嫌でも着たくなっちゃうか!なんか羨ましいなぁ」

「ちょっと、甘夏!もういいから、早く浴衣持って温泉行こ//‼︎」

「あ〜‼︎ま〜た赤くなった〜‼︎」

あはははっ、と、静かだった廊下には、いつの間にか楽しそうな笑い声で彩られていた。


_桜滝。

「…?はっちゃん?どうしたの?」

「………」

あの名を呼ばれた気がした。それは、ハルがあの部屋で目覚めてから、初めて思い出したことだった。……どうして…?

「…はっちゃん…?」

突然立ち止まり、顔を蒼白させていくハルが心配になり、

甘夏の声はますます焦りに染まってゆく。

「その奥には、誰もいないよ?…ねぇ、はっちゃん、はっちゃん!」

何回か揺さぶって、ようやくハッとした表情に戻る。

「あっ、甘夏。ごめんね、なんかぼーっとしちゃってたみたいで。」

「ほんとに?もしかして、、まだ疲れてるの?それなら言ってくれればっ…」

甘夏の声は震えていて、今にもすこし、涙をこぼしてしまいそうだった。その目からは不安と、ハルを心配していることが読み取れた。

「本当に大丈夫だよ。心配させちゃってごめんね。」

まだ心がざわついているのを、ハルは甘夏に感づかれないように、必死に抑えた_。


現世の桜と隠り世の狐

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コメント

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甘夏ちゃぁん、…ハルちゃんのこと大切にしてくれるのぉ、… いい子ぉ、…いい子ほんとにぃ、…、 んでもってハルちゃんに似合いそうな浴衣選んでるの好きですぅ、… 想像しただけでちょいと鼻血出るわ。

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