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チュンチュンと鳥が囀る。
その音で僕は目が覚めたのだろう。
「ここは…何処..だろう?」
起きた直後ふとそんな事を思い、重たい体を起こす。
ぼーっと辺りを見渡すと薄暗い場所にいた。
時々、チラチラと暖かな光が目を覚ませと言わんばかりに閉じかけた瞼を刺激する。
どうやら外が近いらしい。
グゥーとお腹が鳴った。
「お腹、空いたなぁ。」
そんなお腹を空かした自分に関する事は殆ど覚えてない。
覚えていることは名前ぐらいだ。
アー…、えーっと『アーサー』という名前だ。
まぁそんなことは一旦おいておく、お腹が空いているからだ。
もう一度辺りを見渡す。
すると、さっきは見えていなかった剣を見つけた。
目をちゃんと開けていなかったからだろう。
その剣は少し歯が欠けていたが使えないわけではなさそうだ。
だが僕は、食べ物を探している。
しかし、あるのと無いのではあった方がいいので手にはした。
その隣には、さっきまで誰かがいたような、そんな焚き火があった。
パチパチと火が音を立てている。
少し歩くと外に出た。
どうやらさっきまでいたところは、浅めの洞窟らしい。
出た先は緑が生い茂る森で、自然豊かだ。
木には真っ赤な果実がなっている。
お腹が空いていた僕は、それを取った。
「美味しい..。」
美味しかった。
起きてから何も食べていないからだろう。
瑞々しく、そして、とても美味しかった。
しかし贅沢を言うなら肉が食べたかった。
だが贅沢は敵だ、良くない。
だけど食べたい。
でも、うーん、どうしたものか。
食べたいのは食べたいのだが…。
そんな事を考えていた時だった。
バッ。
突然、前を横切る影が出てきた。
猪だ。
「こんな幸運ってあるんだ。」
そう言い、すぐさま追いかける。
必死に追いつく。
追いついた。
しかしどこから切りつけたらいいんだろう。
足か?胴か?それとも首か?
取り敢えず首辺りを狙った。
剣を勢いよく振り下ろす。
ザスッ。
猪は動かなくなった。
狩った、狩ったのだ。
僕はあの時、剣を持っていかなかったら、この猪を狩ることさえ、出来なかっただろう。
そう思うとこの剣を手にして良かったと思う。
そう思う内にいつの間にか、日が沈みかけていた。
僕は急いであの洞窟に向かった。