ご褒美
「って言ってもそんな豪華なもんじゃねぇよ?」
って眉毛を下げて笑った先生が「そこ座ってて」と、ちょっと古びたソファを指さした。
この仕草って、雑だったり豪華に見えちゃうもんだけど、先生だとカッコよく見えちゃう。
「ミルクティーと紅茶、どっちがいい?」
『…ミルクティー』
「だと思った笑」
先生が冷蔵庫からミルクティーを出して、「ん」と私に渡してくれた。
「女の子ってミルクティー好きだよな」
『え?…あー、そう、なのかな』
「可愛いからか?ミルクティー。みるく、てぃー…みるく、が可愛いのか?」
先生が自分の椅子に腰かけ、ブツブツ真剣そうな顔で言ってる。
「ってか、言葉が可愛いってなんだよ」
かと思ったら、急にグハッて笑う。
「最近の女の子はみんな可愛いって言うからオジサンはついていけません」
『ふふっ、オジサンって、』
「高校生のお前らから見たら、オレなんて完全にオジサンでしょ。」
『そんなこと…、ないです、先生っ、若く見えるし、…』
「高校生のお前ら」と「オレ」間には、年齢の差があるんだって、言われてる気がした。
もちろん、先生はそんな意味で言った訳じゃないって分かってるけど。
だけど、私の浮かれてた気分は先生の健気な一言でシュンと縮んだ。
「飲まないの?」
『あっ、はい、頂きます』
ペットボトルの蓋を開けようとしたら、緊張してるからか、上手く力が入らない。
「ふはっ、何してんの」
ギギって音を立てて先生は椅子から立ち上がって私の隣に座った。
それだけでドキドキしてたのに「貸してみ」って私のペットボトルを取り上げて、簡単に蓋を開けた。そのことにもう1回、胸がドキってなった。
『力、強いですね』
「オトコですから」
『ふふっ』
「ふはっ、なんだよ」
嬉しいんだが、幸せなんだか、よく分かんなくて笑った私を見て先生も、笑う。
さっきシュンと沈んでしまった私の気持ちは、すぐにふっくらと膨らんだ。
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さ あ や も し ょ っ ぴ ー に ご 褒 美 く れ な い か な ~