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「ここ。穂乃果の部屋だから好きに使って」
そう言って案内してくれたのは、高層マンションの最上階の一室。
一体どれくらいの広さなの? 私が住んでたマンションの何倍もあるリビング。大きなソファに豪華なテーブル。スタイリッシュでオシャレ過ぎる内装。
お店も素敵だったけど、ここもかなりセンスを感じる部屋だ。
先輩は、ひとつの部屋を私のために用意してくれていた。ベッドもフワフワで、カーテンや置いてある家具の一つ一つのセレブ感に圧倒されながら、私は恐る恐る聞いた。
「あの……私、ここに住むんですか?」
「ああ。穂乃果の好きなように使えばいい。とにかく、何一つ遠慮することはない」
こんな扱い、まるでお姫様だ。
私にはもったいない。
「食事は、帰りが遅いから毎日外食かデリバリーだけどいいか?」
「は、はい。私、あんまり料理得意じゃなくて……すみません」
「1人前になるまで大変なんだ。料理のことなんか気にするな。今は、立派な美容師になることだけ考えるんだ。でも……」
そう言って、先輩は私を抱きしめた。
1週間ぶりに会う先輩の香り。
この香りと先輩の腕の強さに、私はもうドキドキし始めた。
「仕事以外の時は、俺のことだけ考えてればいい。ずっと……穂乃果に俺のこと考えててほしい」
そうして私達は、そのままキスをした。
「待って下さい。私達は、まだ付き合ってるわけじゃないし、こんなことするのは……」
「俺が嫌いなの?」
嫌いなわけない、そんなわけないよ……
目の前にいるあなたは素敵過ぎる。
ただ、私は自分に自信がないだけ。
「あの……先輩……」
「いい加減、その先輩は止めてくれ。俺は月城 悠人(はると)。悠人って呼んでくれ」
「む、無理です。いきなり呼び捨てなんて」
「じゃあ、呼べるようにしてやる」
先輩は私を優しく壁に押し付けて、上から私を見下ろした。
「言わないと……お仕置きする」
「……先輩」
「先輩じゃない、悠人だ。悠人って言えないの? だったらこうする」
「ちょっ、やめて……」
先輩は、私の腕をつかんで動けなくした。
そして、また……キスをした。
一瞬でかぁっと熱くなる体。
先輩の激しい息遣いに、何だかおかしくなりそう。
私の首筋に唇が這ってる……
「悠人って言って……お願いだから」
とろんとした瞳で私を見つめた。
その甘い囁きに思わず私は……
「悠人……」
そう呼んでしまってた。
「いい子だ。これからずっと、2人の時は悠人って呼ぶこと。本当は……穂乃果にもっと触れていたいけど……ここでやめておく」
今、少し、寂しそうな顔をした?
複雑だった。
体に触れられて、決して嫌じゃなかった。
むしろ……
もっと……って、求める自分もいた。