テラーノベル
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信号が青になって、誘導音が鳴ると同時に人が歩き出す。
俺は仕事用の鞄を前で抱え、できるだけ身を縮めて人の間を縫って歩く。
(もう少し早く家を出るべきだったな…)
人混みは苦手だ。
人とぶつかるのは痛いし、色んな人間の匂いが混ざって気持ちが悪い。
なんとか人混みを抜けて、早足で歩き始める。
土曜日も出勤なため、朝からデートの高校生カップルなどを見ると憂鬱な気分になる。
…26歳には、高校生が眩しすぎるのだ。
憂鬱な気分になったところで、後ろから早足でこちらを追いかける足音が聞こえ、背中を軽く叩かれる。
「おはよ、裕太。朝から元気ない背中してるからすぐ分かる」
「脅かすなよ圭介…土曜出勤は憂鬱なんだよ」
「いーや俺には分かるね!お前さっきの高校生カップル見て憂鬱になったんだろ…」
耳元で囁かれて、俺は咄嗟に耳を覆う。
「ばっ…!んなわけねぇだろ!」
圭介は会社の同僚で、馴染めない俺に唯一明るく話しかけてくれた変なやつ。
そんな変なやつを、俺は好きになった。
女性を好きになったことは1度もなかった俺が、唯一好きになった相手が圭介だった。
1週間に3度ほど、会社の近くでこういう感じで後ろから声をかけられる。
「まぁお前は結婚とか興味無さそうだよなー」
「別に無いわけじゃないけど」
「でも彼女とか、好きな人とかできたことあんの?」
「…………ない」
「声ちっさ」
圭介が笑う。
「圭介は、彼女といい感じなのか?」
「超良い感じ」
「…そ」
圭介には付き合って1年の彼女がいる。
毎日惚気聞かされて正直こっちはメンタルがしんどい。
話しながら歩いていると、会社に着いた。
部署が同じなため、社内の移動も一緒。
ただ…そうでない日もある。
エレベーターへ向かおうとすると、後ろから声をかけられる。
俺に対してではない、圭介にだ。
「おはよう圭介。一緒に行こ」
この子が彼女だ。
花森 加奈子、俺達より1年後輩。
「おう、じゃあ裕太。また後で」
「あぁ、じゃあな」
花森が来ると圭介は必ず俺より花森を優先する。
別に間違ってない、友達より彼女を優先するのは当たり前のことだ。
(逆にほかの同僚より俺に構ってくれることに…感謝するべきだな…)
オフィスに着いてデスクに座る。
圭介はまだオフィスには来ていない。
俺は圭介を気にしながら、今日のタスクに取りかかった。
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30分ほど経った時、あまりにも遅いため俺は席を立って様子を見に行くことにした。
「けーすけー」
トイレにはいない。
「けーすけー」
資料室にも。
「けーす…」
空いている会議室を開けようとすると、中から声が聞こえた。
「んっ…んぅっ…」
「聞こえるぞ…」
「っ…!」
俺は後ずさりした。
(か…会社で何やってんだよ…)
圭介じゃないならドアを強く蹴っていたが、俺は圭介が今、花森と……
「…」
俺はその場から逃げるように去った。
ショックだった。
話に聞いているだけでも辛かったのに、いざ現場に居るともう死んでしまいたくなった。
デスクに座って深呼吸をする。
しばらくすると圭介が帰ってきた。
「…裕太?顔色悪いぞ?」
「大丈夫だから…」
「いや…」
「いいって…!ほっとけよ!」
思わず声を荒らげる。
周囲の社員がヒソヒソと話し始めたので、俺はいても立ってもいられず喫煙所に行った。
「…んだよ…」
頭の中がぐちゃぐちゃで、とにかく逃げ出したい気持ちになった。
喫煙所で頭を抱えていると、喫煙所の扉がコンコンと叩かれた。
「…あ?」
「裕太君…ちょっといい?」
花森だった。
「…どうしたの」
「いや、大したことではないんだけどね。さっき、足音が聞こえたから…」
「あぁ…気にすんな。誰かに話したりなんかしないから。」
「…そっか、ありがとね」
花森がホッとした顔で微笑む。
「…圭介とは、上手くやれてるの」
「うん」
「そ、よかったね」
「裕太君は、彼女を作らないの?」
急な質問で動揺する。
「いや…作らないというか、女の人を好きになったことがないから…」
「じゃあ男の人を好きになるの?」
たばこを吸いながら誤魔化して答える。
「なわけ。俺がゲイに見えるの?」
「見えるよ。」
「…ん?」
あまりに驚いてタバコの火が指に到達する。
「あちっ!」
タバコを落として息で指を冷ます。
「ふーっ…冗談だろ?」
「ううん」
花森を見ると本当に本気の顔をしていた 。
俺も真剣に聞いてみた。
「…なんでそう思うんだよ」
「圭介が好きなんでしょ」
「だから…」
「私達がヤッてるの聞いて居ても立っても居られなくなったんでしょ?」
「さっきから何?」
「圭介に構い過ぎだと思う」
「いや…ただの友達の距離感だよ」
「裕太君皆には見せない顔圭介の前でするもん」
「俺は友達があいつしかいないからだよ」
ずっと言い返していたら、花森が俺に近づいて睨みながら言った。
「圭介は私のことが好きだから!」
「…知ってるってそんなの。人の彼氏好きになるとか…そもそも俺ゲイじゃないし。」
「…裕太君圭介とずっと一緒にいて邪魔なの…」
「なに、男相手に嫉妬?彼女ならもっと胸張ってるもんじゃねぇのかよ」
俺は理不尽に問い詰められてカッとなって意地悪く言い返してしまった。
「嫉妬じゃない!自分のモノ盗られてたらそりゃイラつきぐらいするでしょ!」
「圭介を自分の”もの”だって?彼氏と対等な立場にあるのが恋人ってやつじゃねぇの?まるで自分のぬいぐるみみたいに言うなよ」
「っ〜!!!」
花森は荒々しく扉を開けて早足で行ってしまった。
「…チッ」
花森の突然のあの態度も腹が立ったが、感情に任せて花森に言い返すなんてと、自分にも腹が立った。
落ち着いた頃にデスクに戻ると、花森がオフィスで泣いていた。
嫌な予感がした。
「裕太君がっ…喫煙所で無理矢理…」
(おいおいおい…勘弁しろよ)
社員は皆花森を守るように俺を睨んでいた。
「裕太…テメェどういうことだよ…」
圭介がこちらにきて俺の胸ぐらを掴む。
最悪だ。
(でも今は、冷静に言い返せ。)
「…喫煙所で2人になって、話をしたのは事実だ。けど、花森が泣くような事はしてないし、むしろ俺が泣きたくなるような事言われたんだけど?」
「松村君イライラしながら喫煙所行ってたよね?花森さんは心配して行ったって言ってたよ」
女性社員が俺に問い詰める。
「あれは全く違う事情です。それに心配なんてされてません。むしろ問い詰められて困ってました。現場にいなかったあなた達に何が分かるんですか?」
もう正直花森を殴ってやりたかったが、女性に手を出すのはダメだと必死に抑えていた。
目の前の圭介を見る。
「圭介、彼女を守りたいのはわかる…でも俺は本当にやってな…」
バコッ!!
「……?」
(何が起きた…?)
左頬が痛い。
圭介は俺を殴ったのだ。
口の中が切れて、鉄の味がする。
「加奈子はそんなことしねぇよ!」
圭介が花森の方へ駆け寄る。
(…まぁ…彼女を守るよな…)
泣きたくなって、涙が出そうになる。
でも感情を押し殺して得意の仏頂面を決める。
部長が咳払いをする。
「松村君…今日はもう帰りなさい。それと、1週間は来なくていい。その間に君の処分を話し合っておく」
(部長も花森を信じるのか)
花森は仕事こそあまりできないが可愛げがあって社員の友達も多い。
俺は花森と違って友達が圭介しかいないし、わざわざ人と話をしようとしないから、味方なんているはずなかった。
「…俺本当にやってないし、全然納得いかないですけど、休ませてもらえるならそうします。」
「テメェ…!」
「俺は、否定したから」
最後にそう言って帰る準備をした。
帰る時、後ろから暴言が何回が聞こえたが、平気なフリをしてそのまま帰った。
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家に帰って、風呂に入って、歯磨きをして。
それが終わってベッドに寝転がると、もうそのまま沈んでしまいそうなくらい体が重かった。
(圭介…)
確かに彼女からすれば1番近くにいる男友達は目障りなのかもしれない。
「でも…ここまでする必要あったか…?」
いない花森に問いかけてみる。
そのまま目を閉じて、眠った。
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アラームを設定せずに、好きなだけ眠って、目が完全に冷めても頑なに目を閉じて寝ていた結果、起きたのは夜の7時。
最低限の髪のセットも、スーツを綺麗にするのも今日はしなくていい。
明日も明後日も仕事がないのはいつもなら嬉しいが、今日は憂鬱だった。
「腹減った…」
スマホは持たず、財布だけ持って外食することにした。
部屋着のまま。
外に出るともうかなり暗かった。
それでもキラキラした高校生が見えるから気分は落ち込んだ。
大通りの方に出て手頃な飲食店を探す。
夜の大通りはオシャレをした人が歩いているため、部屋着の俺は少し目立った。
歩いていると、ふとある人物が目に付いた。
「…花森?」
遠くから花森が歩いてくるのが見える。
…圭介以外の男と腕を組んで。
俺の存在にはまだ気づいていない。
(別に俺にはもう関係ない…)
圭介と俺はもう友達じゃない。
俺はもうすぐ会社をクビになるんだから、花森とも関係ない。
踵を返して違う道の飲食店を探しに行こうとする。
(…)
花森の方へ早足で向かう。
花森はようやく俺に気づいた。
「ゆ…裕太君」
げっ、と言いたそうな花森を無視して問い詰める。
「誰だよそいつ」
「えーと…彼氏?」
横の男が小声で花森に聞く。
「違うよ〜たーくん、会社の同僚!もうすぐクビになるけどね」
猫撫で声で男にそう言う。
男に鼻で笑われたが、そんなことはどうでもいい。
「お前、昨日俺に圭介に構うなだの邪魔だのよく大口叩けたな。」
女性相手にお前は使うな、と思っても感情が先行した。
「別にもう裕太君には関係ないよね?」
「あぁ、関係ねぇかもな。でも俺は圭介を悲しませるお前が許せねぇってだけ。」
「圭介はもう裕太君のことが嫌いなの。もう諦めなよ」
「嫌いでもいいよ。俺はあいつが好きなんだよ」
花森が一瞬ムカついたような表情をした。
「やっぱりゲイなんじゃん」
「好きなように言えよ。俺は圭介が好きなだけだから、お前が許せないだけ。で、そいつ誰なんだよ。」
花森がヘラヘラしてることで、もう我慢の限界になった。
「圭介の友達にまで嫉妬するメンヘラかと思ったら!!!結局彼氏を束縛するだけして自分は浮気するクソビッチかよ!!!」
街中で声を荒らげたから、通行人が花森と男をチラチラ見る。
俺を擁護するような声まで聞こえ始めると、花森と男は少し焦った様子だった。
「あのー…俺帰るね?」
男が帰ろうとする。
スマホを置いてきたことが失敗だった、顔を撮ればよかった。
「えっ…たーくん待ってよ」
「お前が向き合わなきゃいけねぇのはそこのたーくんとかいう男じゃなくて自分の彼氏だろ?」
「裕太君に何が分かるのよ」
「分かるよ。俺はあいつの惚気を1番近くで聞いてたんだよ。お前の事を話すあいつは…すごい幸せそうなんだよ」
「知らないし」
「あんな幸せそうに笑うあいつをよくも裏切ったな」
花森が睨みながら言い返す。
「圭介はセックスが上手いし、顔もそこそこ良いから付き合ってんの。なのにあんたがそばに居ると暇な時することもできないし」
(…『裕太君圭介とずっと一緒にいて邪魔なの…』そういうことか)
「へぇ…セフレ扱いだったってわけね」
「裕太君可哀想だね、男ってだけで見向きもされないんだから」
花森がそう言って笑う。
殴ってやりたかったが、流石に抑えた。
「たーくん追いかけるから、ばーいばーい」
「…」
花森が行こうとすると。
「俺は浮気する女に見向きしねぇけど」
後ろから圭介の声がした。
大好きな声。
花森が青ざめる。
「裕太君に言わされてっ…」
「裕太には悪いけど、俺は結構初めの方から居たよ。隠れて聞いてた。」
圭介が俺の背中に手を当てる。
小さい声でごめんな、と言ってから花森を問い詰め始めた。
「会社でまで求めてくると思ったら、そういう事だったんだな」
「…」
「お前を信じた俺が馬鹿だったよ」
「…あっそ」
「それと、さっきの話は録音した。会社に提出したら裕太の誤解は解ける。クビはお前の方かもな。」
「えっ…ちょっと待ってよ…」
「じゃあな!クソビッチ!」
圭介が俺の肩に腕を乗せそのまま俺を引っ張って行った。
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圭介の家で休ませてもらうことになり、お茶をいれてもらった。
「裕太…本当にごめんな…」
「いいよ別に、パンチは痛かったけど」
「俺馬鹿だったよほんと…」
圭介が項垂れているのを見ると、なんだか意地悪をしたくなった。
「悪かったと思うなら、俺と付き合ってよ」
「…ふぇ?」
圭介がキョトンとしながら俺を見る。
俺も自分で言ったことを後悔した。
「…冗談だよ」
「俺のこと好きだって加奈子に言ってたなそういえば」
「そこまで聞いてたのかよ…」
圭介が俺の隣に座る。
「…なに」
「本気だったのか?」
「…うん」
「………」
「…忘れて。もういいから」
沈黙に耐えきれず、机のお茶に手を伸ばしながらそう言うと、手を掴まれた。
「…!」
「俺…今まで女しか好きになったことなかった」
「…離して」
「だから男好きになるとかありえないって思ってた」
「っ…離せって…」
「加奈子とお前が話してる時、お前が俺を好きだって聞いて初めめちゃくちゃ驚いて」
「わかったから!」
「でもお前に好きだって言われて嬉しかったんだよ」
気まずくならないようにしてくれてる。
(…お前の優しさが今だけすごく辛い)
「気使うなよ」
「裕太、こっち見て」
「やめて…」
「裕太」
名前で呼ばれる度涙が出そうになる。
何度もこんなやり取りを繰り返してるとついに目から涙が流れた。
そこで、圭介が俺を抱きしめた。
「逃げないで」
「逃げてねぇよ…」
もういっそ優しくしないで欲しい。
「裕太、俺お前のこと好きかも」
「だから気つか…」
「使ってない。俺が気使ってたらこんな時にこんなこと言わない」
圭介が俺の頭を撫でる。
「良く考えれば…お前が1番俺の話を聞いてくれてたんだよな」
「…」
「聞いてて辛い話ばっかりだっただろうにさ」
「もういいよ…それは」
「なぁ」
「なに」
「ちゅーしていい?」
「はぁ?」
「ダメ?」
圭介が耳元でそう言う。
「…勝手にすれば」
「…そ」
そう返事すると圭介は俺にキスした。
柔らかい唇。
ずっとこうしたかった。
唇を離して圭介が顔を覗き込む。
「気使ってたらこんなことできる?」
「…」
「俺お前にキスできて今嬉しいよ?」
「うるさい」
「裕太、もっかい」
「…」
「おーい顔下げるなー…っ…」
思い切って今度は俺からした。
「…けーすけ」
「何その呼び方、かわい」
「黙れ」
「そこも可愛くあれ」
圭介がははっと笑う。
すぐ真剣な表情になって、話をする。
「会社には俺が言っておく。加奈子も異動か解雇になるように言っておくから…」
「ん、ありがと」
「…ごめん、本当に」
「もういいよ」
圭介が受け入れてくれたから、少し本音を話してみる。
「前から…圭介の惚気聞く度に、俺の方が俺の方がってずっと思ってた」
「いつから俺のこと好きだったの?」
「花森と付き合う前から」
「えっ…お前ほんと読めないわ」
当時は隠すのに必死で、圭介を避けたりしていたせいだろう。
「花森と付き合うって聞いて嫌だったけど、圭介が幸せそうに話す姿見てるだけで俺満足してたところあったからさ」
「…そっか」
時刻はもう夜の9時。
「俺そろそろ帰るよ」
「裕太」
「なに」
「泊まってけよ」
「…1日で体ももらう気なの?」
「俺一応セックス上手いらしいからな」
圭介がドヤ顔しながら言う。
「…別に無理しなくていいよ」
「だから俺は無理してないって」
「じゃあ泊まる」
「ん」
「俺お風呂家で入ってきたから、圭介入ってきて」
「おう」
圭介が浴室に行った。
「…」
(圭介のベッド、2人で寝るのか)
そう思うと急に顔が熱くなった。
先にベッドに入って15分ほど待っていると、圭介が帰ってきた。
「おまたせ」
「待ってない」
「俺も入っていい?」
「…いいよ」
「勝手にすれば、とは言わないんだな」
ニヤニヤしながら圭介が入ってくる。
壁側を向いて寝ていると、後ろから抱きつかれた。
「…!」
「裕太、こっち向いて」
「…26の成人男性2人が、一緒に寝てるのってちょっと面白い」
「だな、早くこっち向けって」
「…」
覚悟を決めて圭介の方を向く。
圭介が俺を抱き寄せてキスをしてきた。
「ん…」
「……裕太、体あっつい」
「うるさい」
「恋愛経験ないんだもんね」
「…」
「ごめんって」
そう言ってまたキスをしてきた。
「…….裕太、口開けて」
「…あ」
口を開けると、圭介が舌をいれてきた。
「んっ…ぁ…」
腰と首を押さえられていて逃げられない。
不意に足に何かが当たる。
「…圭介、勃ってる…?」
「あー…うん」
男の俺で興奮してくれてるのが、嬉しかった。
「触っていい…?」
「…してくれるなら」
圭介のズボンの中に手を入れて、それを触る。
「っ…はぁっ…」
圭介が顔を赤らめて吐息を漏らしている。
触る度に大きくなっていく。
感じている圭介を可愛いと思った俺は、耳元で囁いてみた。
「圭介…好きだよ」
「っ…」
圭介が起き上がって俺の上に来る。
「もー無理…我慢できない」
「え…」
圭介が服を脱ぎ始める。
元々筋肉質だとは思っていたが、脱いでみると想像以上だった。
俺が何もできずに黙っていると、圭介が耐えかねて言った。
「裕太、脱いで」
「あ…えーと」
「じゃあもう俺が脱がす」
そう言って俺の服を脱がし、体を触り始めた。
「んっ…!」
「裕太…」
名前を呼びながらキスをして、後ろを触り始めた。
クチュッ…
「あっ…んぅっ…」
指で優しく解されて、思わず声が出る。
「痛い…?」
「んっ…はっ…いたくっ…なっ…」
「そ…よかった」
「あ゛っ…!も…いっ…くっ…」
慣れていなくて、少し触られただけで俺はもうだめになりそうだった。
「まだだめ」
圭介がポケットからゴムを出す。
「ん…え…ちょ、いつからこんなもん持ってたんだよ」
「いつでもいいだろ」
圭介が俺の頬を触る。
「裕太…俺よりも裕太の方がしんどいと思う、やめるなら…」
「…して」
「いいんだな」
「お前はともかく…俺はずっとこうしたかった」
「…」
ズプッ…
ゆっくり挿れられ、すぐ奥まで来ないもどかしさが襲いかかってきた。
「ぅっ…けいっ…すけ…」
「裕太、大丈夫…?」
「うんっ…」
グッ…
奥まで来て、体がビリビリする。
「うぅ…」
「…」
「け…すけっ…すきっ…」
俺が手を広げてハグを求めると、圭介は応えるように俺を抱きしめてくれた。
「裕太、俺も好き」
耳元でそう囁いた直後、圭介は腰をゆっくり前後に動かし始めた。
中で擦れて、足が震える。
「あっ…!やぁっ…」
「いやじゃないでしょ」
圭介がキスをして、舌を入れてくる。
クチュ…クチッ…
「ん〜っ…んっ…ふぁっ…」
圭介の腰の動きが徐々に早くなっていく。
ズチュッズチュズチュッズチュッ!!
「はげしっ…!あぁっ…やぁっ…!」
「はっ…っ…」
奥を激しく突かれて、気持ちよくて、目がチカチカする。
「ふっ…裕太、出すよ…」
腰の動きがさらに早くなって、強く奥を突かれる。
パチュッパチュッパチュッ
「ッあんっ…ん゛んっ…!!!」
「っ…!」
ビュッ…!
中で圭介の精液が入ってくるのがわかった。
「〜!!」
「裕太…」
圭介が俺の首にキスをする。
「お前…激しいっ…」
「ごめん、裕太可愛くてつい」
俺が疲れて息を荒くしていると、圭介が新しいゴムを開けてるのが見えた。
「…圭介?」
「ん?」
「なにしてんの…?」
「付け替えてる」
「まだすんの…?」
「俺のまだ勃ってる」
「え、まじで…?」
「まだ寝かさないけど。」
真顔で言われて俺は逃げようと毛布に包まろうとするが、すぐに剥がされる。
「ゆーたっ、もっかいしよ?」
「お前絶倫かよ…」
結局もう1回どころか3回になった。
・
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・
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・
朝、聞き慣れないアラームで目が覚める。
(そうだ…ここ圭介の家だ)
横に裸で寝てる圭介がいた。
「…かわい」
圭介の頬にキスをしてみる。
すると、急にベッドに押し付けられた。
「起きてるよ?」
「っ…!!」
圭介がいたずらっぽく笑った。
「あーあ裕太がそういうことするから勃っちゃったじゃん」
そう言って俺の乳首を触ってくる。
「ンあっ…もう体力ねぇよ!」
「ははっ、冗談冗談。また夜な。今日は俺会社に行ってお前の誤解とかないといけないから」
「…」
また夜もあんなに激しくされたら、頭がおかしくなりそうだ。
スーツを着て、髪をセットする圭介を眺めていると、圭介が急に俺に抱きついてきた。
「そんなに眺めて、俺かっこいい?」
「…うん」
「素直じゃん」
「別に」
俺の頬にキスをして、圭介は仕事鞄を持った。
「可愛い。待っててな」
「ん、行ってらっしゃい」
「おー恋人っぽい、行ってきます。」
家を出ていく圭介を見送った後、寂しさが少し心をつついてきた。
「…」
前から圭介とこうしたかった。
昨夜あんなに求められて、好きと言われて、俺はもう耐えられないくらい幸せだった。
今思い出して、興奮してしまう。
「…けーすけ」
あえて1人ではしないで、夜まで圭介を待つことにした。
お昼になって、圭介が冷蔵庫に入れておいてくれたご飯を食べていると電話が鳴った。
「もしもし…」
「裕太!圭介。誤解ちゃんと解けたから安心しろ!あと社員に俺ら付き合ってるって言っちゃった!でも、皆おめでとうって言ってくれてたぞ!それと、部長から。3日後に復帰してくれだって!」
嬉しそうに話す圭介の声が聞こえた。
「ん…よかった、ありがと」
「おう!仕事終わったらすぐ帰るから!」
電話を切り、俺は嬉しい気持ちで食卓に戻ろうとすると、また電話が鳴った。
(圭介…まだなんかあったのかな)
「もしもし?」
「圭介!!」
花森の声だ。
「…圭介いないけど」
「は…!?なんで裕太君が圭介の電話に出るの!?」
俺は誤魔化そうと思ったが、あえて意地悪く伝えてみることにした。
「圭介は俺が好きだから」
「は…そんなわけないから、圭介はどこ!」
「俺と1晩過ごして、そのまま仕事行ったよ」
「えっ…」
「ばーいばーい、クソビッチ」
受話器からすごい勢いで罵声が聞こえたが、無視して切った。
それから何度も電話が鳴ったりしたが、もう出ずに無視した。
全部が丸く収まって本当に良かった。
夕方、俺は買い物をしたあと圭介の家のキッチンで料理をしていた。
全部の料理が終わって、時計を気にしながら食卓を整える。
箸を置き終わったところで、鍵が開く音がした。
「!」
「ただいま〜」
圭介だ。
「おかえり」
玄関で迎え、俺は圭介にキスをした。
「お、いい匂い」
「暇だから作ってた」
「可愛い」
圭介がクローゼットにスーツをかける姿を眺めて、俺は噛み締めるように思った。
(あぁ…ようやく俺の恋人になってくれた。)
圭介が見つめられて、ん?と言ったがなんでもないと答え、2人で食卓に座った。
いただきます、と言って圭介が美味しそうにご飯を頬張る。
「…圭介」
「なひ?」
「好きだよ」
ご飯を口いっぱいに詰めた圭介が返事ができなくて困っている。
「言わなくていいよ、分かってるから」
そう言うと圭介は微笑んだ。
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コメント
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うわあ…読み終わったあと、なんかじんわり胸が熱くなったよ…🥺 最初は裕太くんの片思いが切なすぎて、圭介に殴られるところとかもう胸が苦しくなったのに、最後にああやってちゃんと想いが通じ合って、しかも圭介が全部ひっくり返してくれたの、本当に良かった… 「好きだよ」って言い合える関係、やっと掴んだんだね。 ゲファーさん、尊すぎてしんどいです……ありがとうございました🤍