番外章「星を想うひととき 〜セレナの手記(修正版)〜」
――静かな夜。
神殿の片隅で、セレナはひとり、小さな光の端末を開いていた。
そこには「手記 No.23」の文字。彼女はそっと指を動かし、言葉を綴っていく。
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【セレナの記録:手記 No.23】
記録時間:地球暦 〇〇年・夜、星の見える場所にて
ゲズと過ごす、何度目かの夜。
世界はまだ壊れかけていて、ルシフェルの脅威も消えていない。
だけど今夜だけは、胸の奥が、ほんの少しだけ温かい。
今日、私はゲズと――キスをした。
たぶん、生涯で忘れられない夜になると思う。
それが戦いの終わりじゃなくても、
それが勝利の証じゃなくても――
私は、確かに“彼”を想っている。
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【あの背中に惹かれて】
あの日。
ひとりで雷をまとい、敵に向かって立ち上がった彼の背中を見たとき――
私は、ただの仲間じゃいられなくなった。
強くて、傷だらけで、それでも誰より優しい彼。
最初は「守らなきゃ」って思ってた。
でも今は、「この人と、生きたい」って思う。
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【わたしにできること】
戦うことも、前に出ることも、私は得意じゃない。
それでもゲズが戦ってくれる限り、
私はこの手で、彼の背中を支えたい。
ゲズが黙ると、星が遠く感じる。
ゲズが笑うと、希望が近くに見える。
きっと、私は彼のことを……
ただの仲間以上に、ずっとずっと、想ってた。
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【未来がまだ見えなくても】
戦いは終わっていない。
ルシフェルの影は、すぐそこにある。
けれど――
もし、すべてが終わったその先に“平和”があるなら、
私は彼と一緒に、小さな場所で暮らしてみたい。
静かな星。
やわらかい風。
そして、隣にはゲズがいてくれたら――
それだけで、私はもう、充分に幸せ。
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(記録終了)
端末の光が消え、セレナは静かに空を見上げる。
星がまたたく夜空に、小さな祈りをこめて。
そして――
ゲズのそばに寄り添い、小さな声でつぶやく。
セレナ「……おやすみ、ゲズ。
明日も、そばにいるから」