テラーノベル
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楽屋のソファのクッションに顔を埋め、タクヤは小さく息を漏らしていた。連日の激しいダンスレッスンとタイトなスケジュールのせいで、腰に疲労が限界まで溜まっているのは誰の目にも明らかだった。
「……っ、痛……」
小さく身じろぎをしたタクヤの隣に、リョウガが静かに腰を下ろした。
「無理すんなって。ほら、ちょっと力抜いて」
リョウガは慣れた手つきで、タクヤの腰の張っている部分にゆっくりと手のひらを当てた。大きな手から伝わる温熱と、的確にツボを捉える優しい圧。凝り固まった筋肉がじわじわと解されていく感覚に、タクヤの身体からすっと余計な緊張が抜けていく。
「……ん、……そこ、……ぁ、」
痛みが快感に変わる絶妙な強さに、タクヤの口から熱を帯びた吐息が溢れた。無意識にリョウガの服の裾をぎゅっと掴む指先や、潤んだ瞳が、静かな楽屋の空気をごとりと重く変えていく。
リョウガの手がピタッと止まった。
「……タクヤ、誘ってんの?」
低く掠れた声で呟いたリョウガは、タクヤの手首を優しく掴んで引き起こした。他のメンバーがいつ戻ってくるか分からない楽屋の空気を嫌うように、二人は示し合わせたように立ち上がり、楽屋の奥にある薄暗い仮眠室へと移動した。
パタン、とドアが閉まり、完全に二人きりの空間になる。
「……リョウガ、……っ、」
言葉を紡ごうとしたタクヤの唇は、すぐにリョウガの強い力によって塞がれた。
驚きで揺れたタクヤの身体を、リョウガは大きな腕でしっかりと抱きすくめる。何度も角度を変えて重ねられる、深く、熱い口づけ。仮眠室のわずかな光の中で、お互いの吐息と体温だけが密に混ざり合っていく。
外の喧騒を完全に遮断した狭い部屋の中で、二人はどちらからともなく何度も唇を貪り合い、お互いの存在を深く確かめ合うように、長い時間をかけて不器用で情熱的なキスを交わし続けた。
仮眠室の静寂の中、二人の唇はなおも離れることなく、深く重なり合い続けた。
リョウガの大きな手がタクヤの背中へと回り、腰の痛みを気遣うように優しく引き寄せる。タクヤは小さく鼻を鳴らし、その首元に細い腕を絡ませて、さらに自ら唇を押し当てた。何度も角度を変え、隙間を埋めるように繰り返される柔らかな口づけ。お互いの熱い吐息が密室の空気に溶けていく。
「……ん、……リョ、ガ……っ」
一瞬だけ隙間ができた唇から漏れたタクヤの声は、いつものツンとした強がりなど微塵もなく、ひどく甘く揺れていた。その潤んだ瞳に見つめられ、リョウガは愛おしさを堪えきれないように、今度はタクヤの目元や頬、そして再び色づいた唇へと優しく、けれど執着を込めて何度も何度もキスを落としていく。
ドアの向こうからは、微かにメンバーたちの戻ってくる気配や足音が聞こえ始めていた。
「……そろそろ、戻んないと……」
タクヤが息を弾ませながら胸元を軽く小突くが、リョウガは離れるのが名残惜しそうに、最後に一度だけ深く唇を重ねた。そして、そっと身体を離すと、タクヤの乱れた髪を優しく指先で整える。
「腰、少しは楽になった?」
「……お前のせいで、ドキドキして痛さ忘れたわ」
少しだけいつもの調子を取り戻したタクヤが、顔を真っ赤にしながらそっぽを向く。そんな恋人の愛らしい姿に、リョウガは満足げにふっと微笑み、二人は何事もなかったかのように、光の射す楽屋へと静かに戻っていった。
𝐹𝑖𝑛.
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コメント
1件
うわあ、第22話、読み終わりました……! もうね、最初から最後まで甘やかでドキドキが止まらなかったです。 リョウガがタクヤの腰の痛みを気遣うところから、あの空気に変わっていく流れが自然すぎて、逆に「え、待って今のうちに他のメンバー戻ってこないで!」ってハラハラしちゃいました(笑)。マッサージの手が止まって「……タクヤ、誘ってんの?」の低い声、震えました。その後の仮眠室のシーン、キスが何度も重ねられる描写がすごく丁寧で、リョウガの優しさと執着が両方伝わってきて、もう胸がいっぱいに。 あと、最後の「腰、少しは楽になった?」「お前のせいでドキドキして痛さ忘れたわ」の掛け合いが最高すぎる。ツンデレなタクヤが愛おしすぎて、リョウガが微笑む気持ち、完全に分かります。 大畑弥雅さん、この22話、二人の関係性がぎゅっと詰まっていて、本当に素敵なエピソードでした。続きも楽しみにしてます!