テラーノベル
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〚ね、匿ってよ〛
「・・・っは、?」
ねー!ちゃんと聞いてるー!?、なんて頬を膨らませながら俺の目を真っ直ぐ、ムッとした顔で見つめながら言う。
聞いてない訳がない。
今ここにいるのは俺と、カナの二人だけなのだから。
「ぃや、匿うって、どういう、」
俺が心底困惑しながら聞くと、途端にカナは目をキョロキョロと動かし、あー・・・えっとぉ・・・その・・・なんて言えばいいかなぁ・・・なんて口をもごもごさせてから、実は・・・、と話しだした
〚・・・奏斗と喧嘩した、みたいな、?〛
「・・・ッはぁ?!」
うーだから言いたくなかったのに〜、なんて言っている。
いや言いたくないじゃないだろ、
「・・・まぁそれは一旦置いとくけど。匿うにしても俺今風邪ってことになってるんよな、」
〚え!仮病でサボったってこと!?カナと一緒じゃん!〛
オソロ〜!、なんて言ってハイタッチを求めてくる。
いやだから違うやろ。
「だーかーらー!風邪ってことになってるんやって!」
〚う〜・・・でもぉ、〛
〚・・・どーしても、だめ?〛
〚ね、お礼はちゃんとするから!えーと、遊び相手とか!あ、そうだ!ゲーム!ゲームしようよ!〛
カナはうるうるとした目をして上目遣いでお願いするようなポーズをして俺を見ている。
俺の喉からは、えー・・・、なんて声が漏れる。
・・・いや、でも、
今一人になって、平気でいられる気がしない。
「・・・わかったよ。ちょっとだけなら、うちに居な」
〚ほんと!?ヤッター!!〛
さっきの顔が嘘かのようにすぐに、お邪魔しまーす♪、なんて言って俺の横を通り抜けていく。
俺が断っても無理やり入ってくる気だっただろ、と思いながら、はぁ、とため息を吐く。
それでも、誰か一人でも居てくれるだけで、カナがそこに居るだけで、これから楽しくなりそうな予感に自然と笑みが零れていた。
〚はぁ〜!?ちょっとぐらい手加減してよ!!カナ初心者なんだけど!?〛
「いーーや?やりたいって言ったのカナちゃんやもんなー?」
〚あー!!もうカナ怒ったからね!そんなに言うならカナの得意なゲームで勝ってみなよ〜ゼロ勝のひばりきゅーん!〛
「はぁぁぁ??言ったな〜・・・?ぜってぇ勝つ!」
煽り合いながらゲームをする。
ふと時計を見てみると、13:04。
「あ、そろそろ昼でも食うか?」
流石にセラおが買ってきてくれたものをカナに出すのはどうなんだ、と思ったから、俺何か作るよ、と言って立ち上がる。
〚え!!ひばの手料理!?作ってくれるの!?ヤッター!!ひば最高!大好き!ひばが作ったの美味しいんだよねぇ〜〛
俺がそう言うと、カナは心底嬉しそうに、カナ手伝うよー!、なんて言って駆け寄ってくる。
「いやええよ、お客さんは座ってな〜」
そう言ってグイグイ背中を押すと
〚むぅ・・・じゃあ全部シェフにお任せしまーす〛
楽しみにしてるからね!、と言ってカナはソファへと戻っていった。
本当に、似ている。
なのに、似ていない。
、俺は、奏斗を基準に二人を比べているんだろうな。
・・・もしも、好きになったのが、奏斗じゃなくて、カナだったら、なんて
「、ひでぇ、やつ、」
・・・今はこっちに集中しよう
そう思い、俺は調理にだけ意識を向けることにした。
カナ side
ひばが休みだって聞いたから、とりあえず来てみただけなんだけど、
ドアが開いて抱きついて、顔を上げた瞬間に見えたあの顔
あんな顔見たら、”わかりました、帰ります”、なんて言えないでしょ?
チラりとひばの方を見てみる。
泣いたんだってわかるような、あの赤さの残った目と薄く残った涙の跡。
・・・カナには、原因がわかる。
また、奏斗なんでしょ?
・・・奏斗、
あんな顔するぐらいなら、やめればいいのに。
ひばにあんな顔させるぐらいなら、正直になればいいのに。
・・・ひばがどんな気持ちで、どんな顔でアンタのこと見てるかわかってるワケ?
違うよね、わかってないから奏斗は変わらないし、変われないんだ。
遠くにいる奏斗を、ひばが見かけた時の顔、カナは知ってるの。
いつもいつも、カナがひばを見かける度に見る顔は、哀しそうで、苦しそうで、辛そうで、正直に言うと見ていられない。
「お待たせ!」
〚!、わ、美味しそ〜!〛
「んふ、ありがとな」
あぁ、もう、こんなに優しい人なのに。
「ゆっくり食べな?」
こんなに、優しい顔で笑いかけてくれる人なのに
〚、ううん!カナの方こそありがと!〛
・・・まずは、ひばが作ってくれたパスタが冷めないうちに食べてしまおう。
全部全部、それからだ
その後もゲームをしてたけど、ひばは泣いてたこともあって随分と眠そうにしていた。
寝なさーい!、なんて言って、ひばがソファに倒れるようにぶつかって、倒れたひばにブランケットをかける。
最初は眠気に抗おうとしてたけど、カナのポンポンには適わなかったみたい。
・・・ひば、あのね、カナ、最近奏斗と喧嘩したって言ったけどさ、嘘なんだよね。
でもね、嘘はついたけど、全然これから喧嘩する気はあるの
だって奏斗が悪いもん。
📸
スマホで寝てるひばとのツーショットを撮る。
寝てるとこ撮ってごめんね、ひば
でもアイツにはこれが効くと思うの。
そう誰に聞かせるでもない言い訳をしながら、その写真を奏斗に送る。
〚”(ひばとカナのツーショット)”〛既読
📞プルルルル………
ポチッ
〚えー急になに〜?〛
『・・・なにはこっちの台詞だろ、なんな訳?てかあの写真何、なんで雲雀写ってんの 』
イラつきを抑えるかのように、低い声で話している。
全然隠せてないよ、奏斗
〚もー質問多いな〜〛
一個ずつ聞いてよね〜、と言うと
『話逸らそうとすんな、言えよ』
急かすようにそう言ってくる。
既読がすぐついたのだって、ひばのことが心配でメッセージを送っていて、ひばから返信がきたらすぐ返せるように、なくせに
だというのに、すぐになんて返せないくせに。
〚・・・そんなに焦るんならさ〛
〚言動からも行動からも、大事だって伝わるようにするべきなんじゃない?〛
『、は?何言っ〚じゃないとカナがひば貰っちゃうからね〛は、』
そこで電話を切る
ここまでやったら流石にいいかな。
まったくもう世話が焼けるんだから。
これじゃあカナが奏斗のお姉ちゃんみたい。
あーあ、奏斗を焚きつけるために”貰っちゃう”なんて言っちゃったよ〜
・・・もしかしてこれからもことある事に焚き付けなきゃダメ?
ふと寝ているひばに視線を向けると、規則正しく寝息をたてていた。
〚いい方向に進むといいなぁ〜〛
そう一つ呟いてから、カナは、ゲームでもしよ〜っと、とスマホを開いた。
コメント
2件
続き待ってます!
カナちゃんがいい子すぎる、、