手術も無事終わり、その後も順調に回復していった。2週間ほど入院し、退院した。
ーーー退院前日ーーー
俺は瞬にメッセージを送った。
ーーーメッセージのやりとりーーー
零「瞬、明日少し時間あるか?退院した後、話したいことがある。」
瞬「おめでとう。全然大丈夫だけど、退院直後で体調大丈夫か?無理するなよ。」
零「体調は大丈夫。じゃあ、明日14時に俺の家に来て。」
瞬「わかった。また、明日。」
零「また、明日な。」
その夜、早く眠りにつくことができた。
ーー翌日ーー
病室の扉が開く。
看護師「失礼します。如月さん、退院前の診察の時間です。バイタル計測後、先生の診察をしますね。」
零「はい。お願いします。」
医者「うん。バイタルも安定してるし、体調も良さそうですね。予定通り、今日、退院しましょうか。」
零「はい。お世話になりました。」
医者「ただ、今後体調が少しでも悪くなったらいつでも来てください。」
零「分かりました。」
看護師「それでは、退院の手続きを行いますね。」
その後、手続きを終わらせて、退院することができた。
ーーー零の家ーーー
零「久しぶりに帰ってきた。色々散らかってるな。瞬が来るまで2時間あるし、掃除とかするか。」
それから瞬が来るまで掃除や洗濯をした。
ーーー2時間後ーーー
チャイム「ピーンポーン」
ドアを開ける
零「はーい。きたか。」
瞬「久しぶりだね。元気になった?」
零「ああ、この通り、元気だ。暑かっただろ。上がって」
瞬「めちゃめちゃ暑かった。お邪魔しまーす。」
瞬「2週間ぶりだね。零の家涼しい〜。」
瞬「あ、そうだ、はいこれ。退院祝い。大したものじゃないけどな。おめでとう。」
そう言うと瞬は紙袋を差し出した。
零「わざわざありがとうな。」
瞬「零の好きなもの買っておいたから食べて。」
零「…色々心配かけて悪かった。」
瞬「気にするな。びっくりはしたけど零が無事で良かったよ。」
零「全部ちゃんと話すから。お茶淹れてくるから待ってて。」
俺はお茶を淹れながら、きつね様の言葉を思い出していた。
きつね様「瞬くんは君のこと〝家族〟だと言ってたけどね。」
零(瞬は俺にとって家族…。小さいときから一緒で、ほとんど毎日過ごしてきた。家族ならちゃんと言わないと)
零「お待たせ。緑茶大丈夫だよな?」
瞬「うん。ありがとう。」
零「えっと…まず、ごめん。」
瞬「…」
零「瞬は俺のこと家族って言ってくれたけど、俺、瞬のことちゃんと家族だと思ってなかった。」
零「家族は母さんと父さんだけだって、壁を作ってた。瞬は友達だって。でもっ!考えてみれば母さんと父さんよりも長く一緒に居て、俺のことわかってくれてる。」
零「もう、とっくに家族だったって、瞬に言われて気づいた。本当に、ごめん。」
瞬「そんなに謝らないで零。俺も言い過ぎた。
もっといい伝え方があった。冷静になるべきだったよ。ごめんね、零。」
零「いや、今まで何も言わなかったのが悪いから。」
瞬「それじゃあ、今回のことはお互い様ってことで!零も俺も悪い。これで終わり。それで、今日は何の話をするために呼んだの?」
零「病室でも伝えたように10年前の放火の犯人を探したいんだ。」
瞬「探すって言っても、手掛かりは?何か断言できる判断材料があるってこと?」
零「いや、今はまだ何もないけどこれから見つけていく。」
瞬「つまり、警察署に行って、当時の資料や捜査書とかを見てみないとわからないな。」
零「そのつもりだけど、もう、10年も前のことで時効になってる可能があって、資料があるかどうかもわからない状態。」
瞬「まあ、でも行ってみる価値はあるだろう。」
零「だな、そうと決まれば明日、さっそく一緒に行かないか?」
瞬は少し嬉しそうだった。
瞬「うん!わかった、明日な。」
瞬「でも、なんでいきなり犯人を見つけたいなんて思ったんだ?」
俺は屋上で死のうとしたこと、きつね様に出会って、5歳の頃遊んでいた帆花のことを話した。
瞬「なるほどな。てことはその、帆花ちゃんに会って真実を聞くのが1番早いけど」
瞬「もう、何年も会ってなくて、連絡も取れないからその子も探すってことでいい?」
零「ああ。でも見つかるかはわからない。」
瞬「そうだけど、零は帆花ちゃんも、10年前の資料もどっちも知りたいんでしょ?」
零「うん。」
瞬「だったらやるしかないね。」
瞬「どこまでも付いて行くよ。だって家族だもんね。」
零「しゅん…」
瞬にはいつも支えて貰ってる。俺も頑張らないと。
瞬「夏休みが終わるまであと3週間。やれることはやるよ、零。さぁ、ここからだよ。準備はいい?夏休み遊べると思うなよ。」
そう言うと瞬はニヤリと微笑んだ。
零「ああ。ここからが始まりだ。絶対あの日の真実を見つけ出してみせる。」
そして、明日、駅で待ち合わをする約束をして解散した。
ーーーその頃ーーー
きつね様「まったく、君はいつも遅いんだから。スタートラインに立つまで1ヶ月なんて。」
きつね様「あの時ももっと早く来てくれれば…
そろそろ前を向かないと。過去に縋り付いてばかりじゃだめだね。」
きつね様「さぁ、ここから君たちの答えを見つけてもらうよ。」
つづく
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