第3話:首筋に落ちた、熱
先輩のキスは、思ってたよりずっと深くて。
口の中まで舌が入ってきたとき、体がびくって震えた。
「……は、ぁっ……ん、や、やだ……」
拒む声すら、飲み込まれる。
先輩はオレの唇を離さず、何度も、角度を変えて――キスを続けた。
「……やだ、って言ってるわりに、抵抗しねぇな」
クスクス笑う声が、意地悪すぎて、悔しくて。
でも、それ以上に――
気持ちよくなってる自分が、こわかった。
「……そんなん、わかんない、よ……っ」
情けない声を漏らした途端、首筋に先輩の唇が落ちた。
「――可愛すぎ。ほんと、もう……限界」
そのまま、ゆっくりと制服のボタンが外されてく。
冷たい空気と、先輩の手のひら。
ゾクリとした感覚が、背骨を伝って落ちていく。
「葵、だめって言うなら止める。でも――お前が少しでも、俺のこと欲しいって思ってるなら、俺、全部持ってくから」
耳元で囁かれた声に、思考が溶けてく。
ずるいよ、そんなの。優しくて、熱くて、逃げられない。
「……やだ、けど……先輩に嫌われるほうが、もっと……やだ……」
ボロボロに崩れてく声と一緒に、オレは先輩に、抱きしめられた。
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