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窓の外では、薄桃色の花びらが風に攫われはらはらと舞い落ちていた。
春の終わりを告げるようなその光景に、誰も気が付かない。
ただは1人、彼奴だけが黙って景色を追っていた。
mz「…また外ばっか見てる」
心の奥で呟いた言葉は、空気に紛れて誰の耳にも届かない。
彼奴の横顔は穏やかで、でも何処か遠い。
俺が話しかけても、返ってくるのは短い返事だとか、曖昧な視線だけ。
嬉しいはずなのに、どこか寂しくなる。
_どうして俺にはそんなに無関心なんだ。
胸の奥がぎゅっと締め付けられる。
Pr「おい、聞いてる?w」
隣で友達が笑いながら肩をつついてくる。
Mz「き、聞いてるってw」
慌てて笑い返すけど、俺の視線の先はやっぱり彼奴の背中に引き寄せられていた。
昼休み、彼奴は静かに立っていた。
誰かに囲まれて笑うわけでもなく、孤独を好むように窓辺に寄りかかって。
その姿に、俺はどうしようもなく惹かれてしまう。
Mz「…ほんと、なんでこんなに 」
小さな独り言を、誰にも聞かれないように飲み込む。
彼奴が俺に振り向いてくれる日は来ないかも知れない。
それでも、心はもう後戻り出来なくて。
届かなくても、苦しくても、追いかけたいと思ってしまう。
_君が振り向くその日まで。