TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

俺は今、とても困っている。恋人である翔太が、寝室に籠城してしまったからである。

寝室には鍵が付いてるため、閉められてしまって何も出来ない。

しかも、翔太は微熱とはいえ熱がある。体調不良。それに加えて頭痛もちだし。

俺としては、一刻も早く鍵を開けてもらい、あれこれお世話をしたいところ。

だけど、ドア越しに声をかけても無言。

たまに「もう、ほっといて」とか「涼太の解らずや」とか聞こえてくるけど、鍵を開ける気はないらしい。


事の発端はというと、今日は3ヶ月振りにオフが重なり、朝早くから出かけようと前から計画していた。

翔太も俺も楽しみにしていた。

特に翔太はメンバー、スタッフ、共演者の方ににオススメの場所を聞くなど、行先の下調べを入念にしていた。

当日になって、幼なじみの性というか、勘というか、朝起きてきた翔太が体調が悪いことに気が付いてしまった。

翔太は必死に俺に悟られないよう、オフなのにメイクで誤魔化そうとしたりしてたみたいだ。

そんなことしても、翔太の体調不良には気付いてしまう。

何年、一緒に居ると思ってんの。

それで、熱を計るのを嫌がる翔太を押さえつけ半ば無理やり計った。

体温計には37.0と表示されていた。

微熱だ。微熱とはいえ頭痛もちの翔太に無理をさせて悪化させるわけにはいかない。

今日は行くのやめようと言ったら、絶対嫌だ微熱なら大丈夫というから、大丈夫なわけないだろう悪化したらどうするのと言ったら、行く行かせないの口論になり、喧嘩してしまった。

その結果、翔太は寝室に籠城して今に至る。

さて、どうしたものか……。

翔太は頑固だからなぁ……耐久戦になるよなぁ……

とりあえず、リビングに戻って方法を考えるか……


その時、スマホのメッセージを知らせる音がなった。

見てみると相手は目黒だった。

『舘さん、しょっぴーが舘さんに八当りしちゃったってしょげてる。体調不良なのは自分のせいなのにって。引くに引けなくなってしまったみたいで。今日は自分からは謝れないみたいだから、舘さんから仲直りお願いします』

目黒に相談したのか……本当に素直じゃないねぇ。

翔太は俺と喧嘩した時、目黒かふっかに相談する。

今回は目黒にしたらしい。

思わぬ救世主に感謝だ。

目黒に『うん、解った。仲直りするから大丈夫だよ。いつも、ありがとう』と返信すると、また寝室の翔太に向かって声をかける。

「翔太、俺も出かけるの凄く楽しみにしてたよ。でも、翔太の体調の方が心配だから今日は行くの止めよう?強く言ってごめんね。ここ、開けて」

優しい声色で語りかけるように声をかける。


ガチャっと鍵の開く音がした。

ドアを開けて中に入ると、翔太が抱きついてきた。

「…………涼太……ごめん……」

小さく呟くと胸に顔を埋める。

「俺もごめんね。大丈夫?体辛くない?」

「……頭……痛い……」

もう!!だから早くお世話したかったのに!!という気持ちは抑える。

また喧嘩になったら嫌だしね。

翔太を抱き上げて、ベットに寝かせて布団を掛けてやる。

「お世話させてね、たくさん甘えて良いから。まずはお粥作ろうか?」

髪を撫でてから、頭をポンポンすると、翔太は満足そうに頷く。

はぁ、可愛いねぇ……


「お粥の前にちょっと寝たい……一緒に寝て……」

そう言って、奥に詰めてスペースを空けてくれた。布団を捲って隣に潜ると翔太を抱き寄せた。

腕の中の翔太は既に眠そうだ。

「翔太、おやすみ」

「……おやすみ……」

直ぐに寝息が聞こえてきた。

これで一安心。

素直じゃない君だけど、そんなところも可愛くて愛おしい。


翔太の温かさとといつもの匂いに俺も何だか眠くなってきた。

一眠りしますか……お粥の具は何が良いかな……

そのまま静かな微睡にとけていった……




END

loading

この作品はいかがでしたか?

30

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚