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イベント当日。ウェルウェルプラザの2階と3階を貸し切って、そろばん、ダンス、プログラミング、ピアノなどなどの幼児向け教育講座の準備がされている。
各講座の講師と助手が待機しているところへ北野とチバラキVの5人がコスチュームを着て入って来る。林田が速足で近づいてくる。
林田「お待ちしてました。今日はよろしくお願いします」
北野「こちらこそ。それでうちの戦隊のメンバーの配置はどうすればいいんでしょう?」
林田「特に場所は決まっていません。適当に会場内を移動して、ぐずっている子を見かけたら、あやしてあげて下さい。では、15分後に開場です」
建物の入り口から親に連れられた子どもたちが入って来る。ほとんどは母親か、夫婦そろっての入場。
近くで待機している玲奈/レッドと智花/イエロー。父親に連れられて入って来た拓の姿を見つけた玲奈が智花にささやく。
玲奈「あれ拓君ですよね。じゃあ、あの方は智花さんのご主人ですか?」
智花「そう、うちの亭主。今日はあたしが連れて来れないから頼んだの。息子にもあたしがご当地戦隊やってる事は内緒だし」
玲奈「ご主人さん、そのために仕事お休みしたんですか? 平日の昼間ですよね、今」
智花「うちは電気屋やってる自営業なんですよ。だから時間はわりと融通効くんですよ。ただ、このところ経営楽じゃないから、あたしがこの市役所のバイトしてるの」
イベントが各所で始まりしばらく経った頃、あちこちで子どもたちの泣き声、わめき声が響き始める。
玲奈が近くで床に仰向けにひっくり返って手足をバタバタさせてぐずっている女の子の所へ駆けつける。
玲奈「あれえ? どうしたのかな? どこか痛い?」
女の子「もう、やだ! おうちに帰る!」
その子の母親がおろおろして様子で声をかける。」
母親「もうちょっとで出来そうじゃない。駄々こねないでよ」
玲奈「あの、お子さんどうかなさいました?」
母親「はい、ダンス教室で他の子になかなかついて行けなくて。もうちょっとだから、がんばりなさいと言い聞かせてたらこうなってしまって」
場面転換。
ピアノがある大ホールの扉の前。玲奈が通りかかると、男の子が半泣きの顔で飛び出して来る。その後ろから瑠美/ブルーが追いかけて扉から出て来る。
瑠美「待って、待って、走っちゃダメだよ」
玲奈がしゃがんで男の子を抱きとめる。
玲奈「ぼくちゃん、どうかした?」
瑠美「ああよかった、つかまえといてくれ。その子のお母さん連れて来るから」
玲奈「何かあったんですか?」
瑠美「ピアノの鍵盤、なかなか思うように弾けなくて癇癪おこしちまったんだよ」
プログラミング講座のゾーン。拓がプラスチックのボードを床に放り投げて廊下に向かって走り出す。
拓「もうやだ! お外で遊ぶ!」
智花/イエローが拓を正面から抱き留めて言う。
智花「ほらほら、まだ途中でしょ。さ、お席に戻って」
拓「やだ! つまんない!」
智花の声が多きく厳しくなった。
智花「どうして分からないの! 拓君のためを思ってやってるのよ!」
剣幕に驚いた拓が、火がついたように泣き出し、父親にしがみつく。
智花「待ちなさい!」
拓に近づこうとする智花を沙羅/ピンクが肩をつかんで引き留める。
沙羅「何やってんだ! あやす係のあんたが子ども泣かせてどうする?」
智花はハッとして、後ろを向き、足早に去る。辺りは子どもたちの泣き声で満ちている。