テラーノベル
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ウェルウェルプラザの正面入り口外、帰って行く親子連れを後ろから眺めているチバラキV5人、北野、林田。チバラキVのメンバーは頭のマスクを外して脇に抱えている。
林田「予定の半分の時間で中止になっちゃいましたね」
北野「ううん、何がいけなかったのかな?」
玲奈「みんな幼稚園か保育園の年齢ですからね。難しいですね」
沙羅「つうか、親の見栄なんじゃないの? 子どもは全然楽しそうじゃないぞ」
一階のトレーニングジムの部屋から、トレーニングウェア姿の高齢者が3人出て来て北野に声をかける。
高齢者男A「あんたたち、市役所の人かい?」
北野「はあ、そうですが」
高齢者男B「役所のする事にケチつけるわけじゃないが、今日のあれはどうかと思うぞ」
林田「申し訳ありません。騒がしかったですよね」
高齢者女「そうじゃなくてさ。あれは何の集まりだったんだい?」
林田「はい、幼児教育を充実させようという市役所の試みの一環でして」
男A「子どもの才能とか適性とかを、早いうちに育てようって、今流行りのあれかい?」
北野「まあ、そういう事ですね」
男B「だったら孝太郎さんが参考になるかもしんねえぞ」
女「じゃあ立ち話もなんだし、あそこでお茶でも飲みながら話しちゃどうだい。運動したとこなんで、あたしのど乾いてるしね」
場面転換
ウェルウェルプラザ一階のカフェ内。窓際の4人掛けテーブルに林田と高齢者3人が座り、その周りに椅子を運んで来て北野とチバラキVのメンバーが座る。
林田「それでさっきおっしゃっていた孝太郎さんというのはどういう方でなんですか?」
男A 「奈良漬の老舗の店の5代目の店主でね。いやこれが、漬物職人としては天才としか言いようがない名人なんだよ」
男B「実は俺も漬物の製造会社やってたんだ。今は引退してるがね。悔しい話だが、どんなに工夫しても孝太郎さんの作るあの味は出せなかった」
林田「なるほど。まさに才能のある方なんですね。その方がどうやって才能を開花させたかが分かれば確かに参考になるかも」
倫「けど、代々の名店の跡継ぎだから漬物作りの名人なんじゃないのかい? それだったら生まれの問題で、育てられた才能じゃないんじゃないかい?」
北野「ああ、それだと早期教育の話じゃなくなりますね」
男B「ううん、やっぱり老舗の血筋なのかねえ」
男A「いやちょっと待て。孝太郎さんは、確か婿養子(むこようし)じゃなかったか?」
女「そうだよ! あの店の先代には女の子しか生まれなかったんだよ。だから孝太郎さんを長女の婿にして店を継がせたんだよ」
林田「では孝太郎さんは別の老舗とか名店とかの息子さんですか?」
男B「いや、孝太郎さんの実家は確か普通のサラリーマンの家だったはずだ。漬物作りは婿に入ってから修行始めたって本人から聞いた事があるぞ」
男A「本人もさることながら、あの人の子どもたちもすげえ才能持ってたじゃねえか。長男は一流大学卒業して、外交官になったよな。今はどっかの大使館に勤めてるらしい」
林田「外交官試験に合格? それはすごいわ」
男A「そんで真ん中の娘はピアノ習ってたな。今はプロのピアニストやってるらしいぞ」
女「そんで一番下の息子は絵描きになったんだっけ?」
男B「イラストレーターって言うんだよ。東京のそういう会社に就職したって聞いたぞ」
北野「子ども3人とも、才能全開じゃないですか! 林田さん、これは訪ねてみるべきですよ」
林田「確かに! あのすいません、その方に連絡を取りたいんですが」
高齢の女が林田からもらった名刺を手に持って見ながら言う。
女「じゃあ、あたしたちが話を通してあげるよ。ここの番号に電話すればいいのかい?」
林田「はい、ぜひお願いします」
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