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どうも、モブおくんです。
投稿遅れました…
スライディング =͟͟͞ _|\○_土下座
⚠注意事項⚠
⚠em主人公
⚠これは主の妄想です。
⚠誰かの萌えは誰かの地雷
⚠地雷を感じたら回れ右
⚠誤字脱字あるかも
⚠御本人様達に迷惑のかからないよう配慮を
では、スタート
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【願いの形】
江見昴は、眠っていた。
水晶との接続から三日が経っていたが、いまだに目を覚まさない。
肉体の損傷はない。脳波も異常なし。だが、彼は“戻ってこなかった”。
紅狂生一はモニターの光に照らされながら、昴のそばに座っていた。
「……お前の“願い”は、こんなかたちだったのか。」
テーブルの上には、昴の手記が一冊置かれていた。
それは、あの接続の直前まで彼が書いていたもの――
『願いとは、形がない。
だからこそ、人はそれを幻想だと笑う。
でも俺は、あの瞬間、確かに感じた。
声があった。温度があった。記憶ではない、現実だった。
あれが“叶う”ということなのだとしたら、俺は……。』
紅狂生一は、そのページを指でそっとなぞる。
昴の文字は、乱れていた。
理論家であり、冷静であるはずの彼の記録が、どこか子供のような震えを持っていた。
「……やっぱり、危ういな。お前は。」
紅狂生一の視線は、研究室の奥にある“第二水晶”へと向いた。
昴が接続に使った第一結晶とは別の、新たに調整されたものだ。
彼は、これを“次の段階”に進めるために用意していた。
だが――
「これは、俺がやる。お前にもう、同じものを見せるわけにはいかない。」
そう呟いて、紅狂生一は白衣を脱ぎ捨て、記録装置の前に立つ。
準備は整っていた。昴の意識が戻らない以上、研究は止まってしまう。
だが、それでも前に進めるために。
“記録者”が、実験者となる。
機材のスイッチを入れる。結晶が微かに共鳴し始める。
「……さあ、“願い”よ。俺に“お前”の正体を見せてみろ。」
まばゆい光が走った。
次の瞬間、紅狂生一の瞳に“何か”が映る。
――暗闇の中で、誰かが笑っていた。
背中を向けて立つ、ひとりの青年。
その手に、水晶を持ちながら、ひとりきりで、笑っていた。
(……昴?)
だが、彼の背中は答えない。
代わりに、周囲に響く“声”があった。
『ぼくの、ねがいは……おわらせること。』
(……終わらせる? 何を?)
『ぼくが いるから みんなが しあわせになれない。』
(それは……違う。違うだろ、お前がそんなことを願うはずが――)
『だから すべて 消して。
ぼくも、記録も、水晶も、“願い”も。』
その瞬間、紅狂生一は理解した。
昴の“願い”は、もう研究ではなかった。
彼の内側に巣食っていたのは、かつて失った者への“贖罪”そのもの。
あの子の声、あの声が、彼を導いたのではない。
昴自身が、その声を“再構築”し、
自分を、罰しようとしていたのだ。
「――ふざけるな、江見昴ッ!!」
紅狂生一の絶叫が、精神空間を突き破る。
光が砕け、水晶が悲鳴を上げるように軋む。
そして――
次の瞬間、彼の目の前で、昴のまぶたが、微かに動いた。
翌朝――
「……紅狂生?」
その声に、紅狂生一は息を飲んだ。
寝台の上で、昴が目を開けていた。
「……おはよう。俺、まだ、生きてるんだな。」
「馬鹿野郎……!」
紅狂生一は拳を握りしめた。
「お前、何をしようとしてたか分かってんのか!? “願い”を使って、自分ごと全てを消すなんて――!」
昴は、苦笑した。
その顔は、疲れ果てていたが、どこか穏やかだった。
「……叶わなかったよ。俺の“願い”は。」
「……ああ、当然だ。願いってのはな、そう簡単に叶っちゃいけねぇんだよ。
そうじゃなきゃ、人は立ってられねぇ。」
その言葉に、昴は目を閉じる。
「……ありがとう、紅狂生。」
「礼はいい。これから全部、書いて残せ。お前が“見たもの”も、“聞いた声”も。“願い”ってやつの形を、ちゃんと記してくれ。」
「……ああ。」
その日、江見昴はまたひとつ、“記録”を残した。
だがそれは、研究ではなかった。
一人の人間が、願いに触れて、それでも“戻ってきた”という――
生きた証だった。
END…
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終わりです。
どうでしたか?
感想もらえたら嬉しいです(*´˘`*)
じゃあね(*-ω-)ノジャアネ
コメント
2件
コメント失礼します! 今回も素敵なお話ありがとうございました。 個人的に江見昴が解釈一致過ぎてめっちゃ刺さりました。