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終わった…。
店長としても夫としても。
脱力したまま、佳苗にされるがままで時間が過ぎた。
最後まではできなかった。
佳苗は、口と舌と指とそして乳房や腿までのありとあらゆる彼女自身を使って、俺を勃たせようとしていたけれど。
汗だくになって髪を振り乱して俺を勃たせようとしている佳苗を見ても、まったく欲情しなかったことにホッとした。
「どうして?」
なにをしても元気にならない俺を持って、半べそだ。
「だから、無理だって言ったよ。こういうことって、お互いがお互いを思いやってないとできないことだと思うよ」
「奥さんとはしてるんでしょ?男は若い女の方が好きなんじゃないの?」
「たしかにそういう男もいるけど、俺みたいな男もいるってこと。さぁ、もう服を着て帰らないと」
そう言うと、服を集めて着ていく。
佳苗も仕方なく服を着ていく。
身支度を整えて。
「あ、そうだ、さっき俺が撮った写真、送るね。それを見せて、ちゃんとご主人と話をしてね」
「……」
「さ、近くまで送っていくから」
「また会ってくれますか?」
「うーん、それはできない」
「写真、ばら撒きますよ」
「さっきのあれ?恥ずかしいからやめてほしいな。でも、もうこんなふうには会わない、何を言われても」
「……」
その後はなにも会話もなく、佳苗の家の近くまで送った。
スマホで時間を確認しようと開いたら、着信履歴があった、妻の冬美から。
あー、ほんとに終わった…
そう思った。
佳苗との話が終わったら行くはずだったお店は、閉店時間になろうとしていた。
明日は冬美との15回目の結婚記念日なのに。