大学近くの居酒屋。
照はバイト初日、制服に袖を通しながら少し緊張していた。
一通りのドリンクを店長の康二さんに教えて貰いながら、ひたすらドリンクを作った。
「……こんなに忙しいのか?」
レジ前で独り言をこぼす。
そこへ先輩がスッと現れる。
「お前、初日?」
「……あ、ああ、初日です。」
「じゃあ俺が教えるね。こっち見てて。」
先輩は名札に【しょっぴー】と書いてあった。
翔太は手際よくカウンターを動きながら、笑顔で照に教える。
でも照は真剣に見すぎて、ちょっと無表情。
「……顔こわいって言われない?」
「え?いや、そうでも……」
「俺、ちょっと怖い人苦手でさ。」
翔太の天然ボケに、照は口元がわずかに緩む。
「……いや、意外と面白いかも。」
「ふふ、じゃあ今日からよろしくね。俺、翔太。しょっぴーでいいよ。お前は?」
「ひかるです。照らすって書いてひかるです」
「へー!いい名前だね」
その日から、バイト中に二人で目が合うたびに小さく笑う時間が増えていった。
力仕事で重い荷物を運ぶ翔太に、照がさりげなく手を貸したり、
注文ミスした照を翔太がフォローしたり。
バイト仲間からは、「あの二人、なんか楽しそう」と密かに噂されるくらいの距離感。
だけど本人たちはまだ、自分たちが“気になる存在”だと自覚していない――
コメント
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どきどき💛💙
いわなべ、という題材をいただきましたので(笑)書き始めてみました。