2人は順調に仲を深めていた。
ある日の閉店後。照と翔太は並んで食器を片付けていた。
「今日さ、昼寝してたらバイト遅れそうになった」
「また?ほんとマイペースだよね」
「照が起こしてくれればいいのに」
「え?なんで俺が」
「……だって、照からの電話なら絶対起きる」
耳が赤いのは厨房の熱気だろうか、それとも気のせい?
だけどその横顔に照はドキッとする。
(なんだよそれ、期待しちゃうだろ……)
そこに康二が顔を出す。
「おーい、レジ締め終わったで!また二人でイチャイチャしとるん〜?ほんま仲良しやな」
「店長、からかわないでください」
「からかってへんよ、えーなー思って。やけどはよしい!閉めるでー」
「「はーい!」」
帰り道、二人はコンビニの袋を片手に歩く。
「……翔太、今日どうする?」
「んー、マリカーでもやる?」
「弱いのに?」
「いや、今日は負ける気がしないね!」
「いひひ!じゃあ俺ん家ね!」
「おっけ!」
もはやバイト終わりに照の家でゲームをするのは当たり前になってきた。
なのに直前に店長から言われた言葉を思い出すと、手が少し触れただけで心臓が跳ねる。
「……なぁ照」
「ん?」
「いや……なんでもない」
飲み込んだ言葉が胸の奥で熱を持つ。
照も同じ。
(……ほんとはもっと翔太に触れたい)
互いに想っているのに、踏み出せない。
だけどそんなもどかしい時間も、きっと二人の関係を甘くしていく。
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きゅんきゅんだ🫶🏻
もやもやそわそわ