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「……今日は、自由に外出していいよ」
そう言われたのは、数週間ぶりだった。
悠真の瞳はいつもより柔らかく、晴人を信じようとしているように見えた。
「ありがとう……悠真、ちゃんと戻ってくるから」
「……当たり前だ。お前は僕のところに戻るしかない」
(ちゃんと、信じてくれてるんだ……。裏切らない。絶対に)
晴人はマスクをつけて街へ出た。人の目に慣れていないせいか、少しふらつきながら歩く。
その時、後ろから声をかけられた。
「……晴人?」
振り返ると、大学時代に同じゼミにいた女性、**橘 環(たちばな たまき)**がいた。
「うそ……久しぶり! こんなところで会えるなんて!」
彼女はすでに酒気を帯びており、赤らんだ顔でフラフラと晴人に寄りかかってくる。
「あの時、私……ずっと好きだったのに……晴人、何も気づいてくれなかったんだから……」
「た、環さん……もう、やめ――」
ふらついた拍子に、彼女の唇が晴人の頬をかすめ、そして軽く唇を押し当てられた。
次の瞬間――
「……何してるんだ、お前」
氷のように冷たい声が、すぐ背後から響いた。
振り返ると、悠真が立っていた。
その顔は、怒りも呆れも超えていた。燃えるような独占欲と、圧倒的な“否”があった。
「違うっ、違うんだ! これは事故で、俺は――!」
晴人が叫んだ瞬間、悠真は女性の腕を取って言った。
「……タクシーに乗って。少し話をするだけだから」
⸻
ホテル――
環はベッドに倒れ込むようにして眠っていた。
晴人は必死で説明しようとした。
「本当に……本当に事故だったんだ。環さんは酔ってて、俺は止めようとして……!」
「……じゃあ、なぜあの女を拒まなかった?」
カチャン――
右手首に冷たい鉄が巻きついた。ベッドのフレームに繋がれた手錠。
「っ、悠真……っ、やめっ……!」
「もう言い訳はいい。……罰だ、晴人」
悠真の手が首元を這い、舌が耳をなぞる。
「キスされたその唇。僕のじゃなくなったのなら、全部取り返すしかないよな?」
ぐいと身体を押し倒され、シャツを引き裂かれる。
乳首を吸われ、指で執拗にこねられ、腰を強引に押さえられる。
「他人に触れさせた口も、肌も、全部、汚れてる。俺が浄化してやる」
「ちが……っ、ちがう、ちがうのに……!!」
ぐちゃり――
下肢に差し込まれた指が、容赦なく内部を掻き回す。
「ほら、感じてる。……俺のじゃないと満たされないんだろ?」
「い゛っ、あっ、っああっ……っ!!」
ズンッ!
勢いよく挿し込まれ、悲鳴が喉から洩れる。
「環、とか言ったか……あの女はすでに帰した。金を渡してな」
「な、なんでそんな……!」
「僕以外の名前なんて、忘れていい。……君はもう、俺の以外を知る必要はない」
ズチュズチュと淫らな音が響く中、悠真は熱く突き上げる。
「全部、俺に返せ。お前の快楽も、痛みも、心も、身体も……」
「うっ……ひぁっ、っあっ、やだ……ごめんなさいっ、悠真っ……!!」
悠真の動きがさらに激しくなる。
「……信じて、いたのに」
ガリッ
舌を、噛んだ音。
晴人の唇に熱い滴が落ちた。
「――っ……!?」
「これが、裏切りの代償だよ。……泣いて、許されると思うな」
晴人はその血を、舌でぬぐい、飲み込むように口を吸い寄せた。
「ごめんなさい……許して、許して、悠真だけが、俺の全部で……っ」
「……二度と、誰にも笑うな。お前は俺だけのものだ」
その夜、何度も身体を貫かれ、汗と涙と血が混じったまま、晴人は悠真の腕の中で嗚咽しながら果てた。