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宮島インターの駐車場であたしは車を降り、晴馬を抱きながら授乳室がある「赤ちゃん休憩コーナー」へ足早に駆け込む



土産物屋の軒先で鹿の置物や宮島杓子が並ぶ中、観光客の視線がチラリとあたしに注がれるとビクッとしてしまう




晴馬の泣き声が響き、若い母親がこちらを振り返る・・・あたしは頭を下げて視線を逸らす・・・全ての人に知られているような気がする、俊太の家に行く時、ここに寄った時はおばあさんに晴馬を褒めてもらったあの時の誇らしさが蘇る、今は誰にも晴馬を見せたくない



遠くでサイレンの音が微かに聞こえると思わず自分をつかまえに来たのではないかと思ってしまう


晴馬のオムツを取り替えて、ミルクを作って口元に持っていく・・・だが晴馬は飲まない・・・


そっと体を触ってみる、少し熱っぽいかもしれない



やっぱり・・・母乳を飲まさないといけないのだろうか・・・このままでは晴馬は死ぬ、赤ん坊はとても弱い



一度晴美ちゃんの母乳を飲ませて、晴馬が元気になったらまた連れて逃げよう、私は晴美ちゃんの弱みをにぎっている、あのクソ浮気男の康夫の弱みも握っている、あの二人はあたしの言う事を聞かずにはいられないだろう



苦肉の策だ、この子はあたしが育てる、一度だけ晴美ちゃんの母乳を飲ませるだけだ



あたしはそっとため息をついた


新しいスマホで晴美ちゃんの電話場番号をタップする、2コールで女性が電話に出た




『もしもし・・・』


「沢村晴美と話がしたいの」


『取材の依頼でしたら、アポイントは取れかねません』


「ちがうわ」


『沢村晴美さんのお知り合いですか?』



「真希が電話をかけてきたと晴美ちゃんに言ってちょうだい」





電話の向こうの女性は一瞬息をつまらせた



『・・・ご本人に代わります』



通話口の向こうでザワザワと大勢がうごめく音が聞こえる



『真希ちゃん!』



必死の晴美ちゃんの声が通話口に響いた



「警察が聞いているのね」


『いっ・・・いいえ!』


「嘘をつかないで」


『ご・・・ごめんなさい!部屋に来たわ!今は本当に一人よ!今どこにいるの?』



「どうしてあなたに教えなきゃいけないの?」



『真希ちゃん!いいかげんにしてっっ!自分のやっていることわかっているの?!』




あたしはプツッと通話を切った






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