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ダイヤの瞳

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ダイヤの瞳

1 - 第1話

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2022年04月16日

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「ふう……」

緊張した面持ちの樹は一つ大きく息をつき、会場に足を踏み入れた。


控室に着くと、他のメンバーはすでに来ていた。

樹を認識すると口々に挨拶をする。

ジェシー「おはよ、樹!」

大我「おはよー」

北斗「おはよう」

慎太郎「あ、おはよー!」

高地「おはよう!」

それに応える。「おはよう。遅くなかったかな」

高地「大丈夫だよ、そんなすぐには始まらないでしょ」

今日は、アルバムのライブの日。ツアーの最終日、横浜アリーナでやる。

樹「リハーサルって何時からだっけ?」

北斗「あと…30分くらいじゃない? まあ余裕持って準備できるね。もう着替えちゃお」

そう言い、北斗は置いてあった衣装に着替え始めた。

慎太郎「俺も着替えよっと」

ジェシー「俺もー」

と手に取るが、

大我「ん? ねえちょっと! それ俺の衣装なんだけど」

ジェシー「え! あ、ホントだ! ごめーん、間違えた」

樹「なんで赤とピンクを間違えるのさ」

ジェシー「ちゃんと見たつもりなんだけどねー、取り違えたのかな?」

大我「早く貸して。俺の」

高地「これ向きどっち?」

慎太郎「タグ見ればいいじゃん」

高地「ああそうか」

北斗「前後ろ合ってる?」

樹「合ってるんじゃない」

そんなこんなで話しながら着替えていると、あっという間に休憩時間は過ぎた。

スタッフが控室に顔を出し、リハーサルの時間だということを告げる。「あの、もう時間です、ステージの方来てください」

樹「今行きまーす」


北斗「いやー緊張するね。横アリだよ、横アリ。まあ何回もやってきたし、お客さん少ないけど…会場がデカいからさ、開放感ありすぎて逆に緊張する」

樹「あの……それ、独り言? 一応みんなに向かって言ってる?」

北斗「いや、みんなに向けてるよ」

ジェシー「ああそう。ま、俺らがいれば大丈夫よ」

大我「頼もしいw」

慎太郎「でもまだリハじゃん。本番じゃないのに」

北斗「……練習の時も本番のようにって、よく言うじゃん! そういう気持ちで挑むのは大事だよ!」

高地「なんか新しい反論の形だね」


ステージに上がると、早速リハーサルが始まる。

順調に進んでいき、終盤に差し掛かったところで、ディレクターが声を上げた。どうやら、気になったところがあるらしい。

そのディレクターから説明を聞き、また6人はステージへ向かう。

だが、突然、樹はめまいを覚えた。

一瞬足元がぐらつく。目頭を押さえ、立ち止まる。

他5人はその様子に気付いていない。スタッフも、樹を見ている人はいなかった。

樹「ん……危ない。しっかりやらないと…」

何事もなかったかのように歩き出した。


無事、リハーサルが終わった。

本番まではまだ時間がある。あと小一時間といったところだ。一旦控室に戻り、休憩に入る。

ジェシー「さー休憩だー。時間的には寝れるよね?」

北斗「寝てさっきの変更点忘れんなよ!」

ジェシー「ダイジョブ、ダイジョブー」

慎太郎「ぜってー忘れるやつ」

大我「だな」

樹「ちょっと俺も寝るわ。ジェシー、もうちょっとそっち行って」

ジェシー「はいはい」

樹(ちょっと寝たら、めまい治まるかな…。どうか本番はなにもありませんように…)

ジェシーと樹は、二人揃って眠りについた。


北斗「……り! …じゅり! 樹!!」

ハッとなって、目が覚める。北斗が樹の名前を呼び、起こしていた。「早くして、時間ないから!」

時計の針は、本番が始まる10分前を指していた。

「え、あ、うん」

慌てて部屋を出る。先程のようなめまいは感じなかった。


6人はステージ袖でスタンバイする。

高地「暗いまま出て、位置についたら明かりがついて、そしたら曲が始まるんだよね?」

大我「そうだけど。こーちは歌い出しのパートじゃないんだし、そんなに気にしなくてもいいんじゃない? 最初の樹はちゃんと覚えてるはずだし。ねえ、樹?」

大我は樹の方を振り返る。

しかし、樹はまたもや目元を押さえていた。その表情は、僅かに歪んでいた。

大我「え? 樹、どした? 大丈夫?」

樹「……ん、あ、大丈夫だよ」

ジェシー「なんか目押さえてたけど、痛い?」

樹「ううん、全然平気。それより、もうすぐでしょ。心の準備しないと」

平静を装い、笑顔をつくった。

6人がいつものように、それぞれと軽いハグを交わしたところで、スタッフの声が舞台袖に響いた。

「本番始まりまーす! SixTONESの皆さん、出てくださーい!」

6人はステージへ。夢の時間を届けに行った。

樹の体から鳴り響くSOSにも、気付かないままで――。


続く

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