テラーノベル
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題名 ... 。
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視点 古墳 。
登場者 戦国 。
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自分の部屋は、埴輪でいっぱいだ。
右を向いても、左を向いても、足元にも、棚の上にも、埴輪。どの子にも名前があって、性格があって、毎日話しかけてる。だってこの子たちは、自分の“家族”なんだもん。
「 よもち~ . 今日 も かわいい ねぇ 。あっ . でも よもぎ も 負けて ない から 大丈夫 だよ ~ 」
ひとつずつ撫でながら話しかけるのが日課。今日もそんなふうに過ごしてたら ___
とことん静かな足音がして、ふすまが開いた。
「 …… 来た !! 」
戦国さんだ。ぶっきらぼうで、いつも無口で、片目は傷跡があり閉じたまま。だけど自分は知ってる。あの人、すっごく優しいんだよ。
「 ねぇ ゝ 戦国 さん . "ひまこ" と "ひまる" . どっち が どっち か 言える ¿? 」
試すような気持ちじゃない。ただ、知っててくれたら嬉しいなって。ほら、自分、ちょっと埴輪に関しては厳しいから。
戦国さんは、ゆっくりと埴輪を見たあと、静かに言った。
「 …… "ひまこ" 」
「 ちがっ ── ⋯ えっ !! あってる !? ほんと !? 」
思わず叫んじゃった。だって、“ひまこ”は地味だけどかわいい子で、“ひまる”はやんちゃな子。よく間違えられるんだよ。それをちゃんとわかってくれてた。
「 じゃあ ゝ . "けんたん" は ¿? 」
「 …… 斜め 」
「 はああああああ !?!?!??? 」
もう感動で床ゴロゴロした。だって、角度まで見抜いてるんだよ!?ちょっと斜めになってるだけなのに!!自分でも今日気づいたばっかなのに!!!
「 戦国 さん …… すごい …… 」
そう呟いたら、戦国さんは言った。
「 …… 全部 . 覚えた 」
「 えっ ¿? 」
「 "たろらん"は . 武人 。 "よもぎ" は 笑わない 。"よもち" は 笑う 。 "くるる" は 馬 。 "はにのすけ" は …… 一番上 」
「 ………… 」
息が詰まった。
涙が、にじみそうになるのをこらえた。
「 …… この前 . "はにのすけ" ぶつかった 。 …… "はにこ" って 、 言った 。 …… 泣かれた 」
「 …… うん 」
あのときのこと、自分も覚えてる。泣いちゃって、情けなかった。でも、"はにのすけ"を傷つけられるのが嫌で……。
「 だから . もう 間違えない 。 …… 二度 と 」
──ぽとっ。
気づいたら、涙が一粒だけ、畳に落ちてた。
「 戦国 さん …… ッ 」
「 …… うるさい 」
そう言って立ち上がる彼の背中を、見上げた。
大きくて、静かで、だけど、ちゃんと全部見てくれてる背中。
ふすまを開けて、出ていく前に──
「 …… 御前 に . 泣かれる のは 。 …… もう . いい 」
小さな声で、それだけ残して。
閉じられたふすまの先、静かな足音が遠ざかっていった。
ぽかんとしながら、自分は"けんたん"を抱っこし抱き締める。
「 …… ふへへ 。 けんたん . 戦国 さん . かっこよ すぎる ~~ …… 」
埴輪たちに囲まれながら、黙って幸せそうに微笑んだ。
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コメント
4件
無口でもちゃんと古墳さんの読んで欲しいことを見抜ける戦国さん‼︎心刺さりました!!!!!
すうううううううきすぎるうう、、、、、、、、、、、、、、、、、、いいですねぇ、、、、、あんまり見ないカプですけど!!!!!!マイナーカプ良き、、、😇😇