テラーノベル
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初めまして。ないふ推しのだいす🎲です。
初投稿で自己紹介程度に重めの曲パロnmmnぶち込みますが、どうぞ見ていってください
⚠️注意⚠️
ないふです
本人様には一切関係ありません。いれいすというグループは存在していない前提で物語を進めているので、それを含め苦手な方はブラウザバックをお願いします
エセ関西弁
夜の静寂が、街の灯りを冷たく濡らしていた。
俺——Ifは、深夜の橋の上でその姿を見つけた。
欄干の向こう側、わずかな足場に爪先をかけ、夜風に髪を揺らしている男がいた。
月光を浴びたその横顔は、言葉を失うほどに美しかった。けれどそれ以上に俺の心を強く揺さぶったのは、彼の瞳だった。
そこに灯る光は一切ない。希望も、絶望すらも通り過ぎて、世界の一切合切を諦めきった、どこまでも深く、透明で、残酷なほど無の瞳。
——綺麗だ、と思ってしまった。
息が止まるほどの「一目惚れ」だった。
同時に、強烈な羨望と惨めさが胸を突き上げる。
俺だって、本当はもう消えてしまいたい。こんな苦しい世界から逃げ出したい。けれど、俺には死ぬことへの圧倒的な恐怖があった。やり残したことへの見苦しい未練があった。土壇場でいつも足がすくみ、生にしがみついてしまう自分が吐き気をもよおすほど嫌いだった。
それなのに、彼は違う。
今まさに、すべての未練を捨て去って、軽やかに向こう側へ堕ちようとしている。
羨ましかった。美しかった。手を伸ばしたくて——そして、失いたくなかった。
彼が、ふっと重力を解放しようと身体を傾けた、その瞬間。
身体が勝手に動いていた。思考よりも早く欄干を越え、俺は彼の細い手首を強く掴み、力任せにこちら側へと引きずり戻していた。
「……ッあぶな……!」
もつれ合うようにアスファルトへ倒れ込む。
腕の中に収まった彼の体温は、驚くほど冷たかった。無事に引き留めた安心感の直後、激しい自己嫌悪が襲いかかる。
……やってしまった。
俺は、この人が辿り着くはずだった解放を奪ったんだ。死にきれない自分の惨めさを埋めるために、彼の覚悟を汚したんだ。
腕の中で、彼——ないこが、ゆっくりと目を開けた。
光のない瞳が、静かに俺をとらえる。怒りすら浮かんでいない。ただ「なぜ邪魔をしたのか」という淡々とした困惑だけがそこにあった。
「……なにしてんの」
低く、温度のない声。その一言だけで、俺の胸は罪悪感で押し潰されそうになる。
絶対に嫌われた。当たり前だ。死にたがっていた人間の救いを、見知らぬ他人がエゴでぶち壊したのだから。
それでも、一度触れてしまった温もりを手放すことなんて、今の俺には到底できなかった。
「……なぁ」
喉がカラカラに乾いていた。自分の声がみっともなく震えているのがわかる。
俺は地味に彼を抱きしめたまま、歪んだ笑みを浮かべるしかなかった。身勝手で、惨めで、どうしようもない俺の本音を、関西弁のフィルター越しに吐き出す。
「助けてもうた手前、無責任なこと言うけどさ……。俺、君に一目惚れしてもうてん」
ないこが微微たる拒絶のように眉をひそめる。構わず、俺は言葉を続けた。
「死にたい気持ちを邪魔されて、俺のこと死ぬほど嫌いになったやろ? 怒ってもええし、なんなら一生恨んでくれてもかまへん。俺の勝手なエゴで、あんたの覚悟を台無しにしたんやから」
息を吸い、彼の冷たい瞳を正面から見つめ返した。
「だから……償わせてや。俺に、君を養わせてほしい」
「……は?」
初めて、ないこの表情に微かな亀裂が入った。呆れと、不快感の混ざった視線。
それでも俺は、すがりつくようにその手首を握りしめ続けた。
「君がもう一回死にたくなるまででいい。何もせんでいいから、俺の家で、俺の金で生きててくれへん?…嫌いな俺の顔見ながら、メシ食って、寝て、ただ息だけしててくれたらええから」
自分の弱さとエゴをすべて晒し出す。
死にきれない俺が、生きることを諦めた彼を縛り付ける。
最低で、最悪なラストリゾート。
「……お願いやから、俺を置いて行かんといてくれ」
夜風が二人を吹き抜ける。
俺の手の中で、ないこはただ静かに、冷たい瞳で俺を見つめ続けていた。
コメント
1件
第1話、めちゃくちゃ引き込まれました……! 夜の橋の上の静寂、月光を浴びたその横顔、そして何より「無の瞳」に一目惚れするIfの心理描写が鮮烈すぎて、一気に読んでしまいました。 「助けてもうた手前」からの関西弁の告白、エゴまみれで最低なのに、それでも置いて行かないでとすがる切実さが痛いほど伝わってきて……。ないこがどんな表情を見せるのか、続きが気になります。素敵な作品をありがとうございます🌷