はいどうも皆さん、からでございます!
いやぁ、書いてて思うんですけどやっぱり軍パロっていいですねぇ
設定が好きなのもそうですが何よりもご都合主義が成り立つ! 細かい辻褄を合わせるのが苦手な主は大変助けられております…
ということで、今回は軍パロです。苦手な方はここで戻っちゃってください!
・軍パロ
・四流(付き合う前後のお話です)
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こちらの作品はご本人様とはなんの関係もございません
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私には大切な場所がある。
数年前、全てを捨ててこの世を去ろうとしていた時に今の総統であるグルッペンさんが偶然私を見つけて軍に引き入れた。
「今私たちには人手が足りなくてな、その命、捨てるぐらいなら私が買おう。」
それは今まで掛けられてきたどんな言葉よりも効率的で薄情で、けれどもどんな言葉より私を救ってくれた。その後、私は正式にグルッペンさんの軍に入り、幹部としてここにいる。周りから見れば役に立たないと思われているだろうし、実際に他の皆さんと比べた時に私が優れている点は少ない。
以前の私ならすぐに投げ出していただろう。けれど今の私には仲間がいる。私の事を認めて受け入れてくれる仲間、そして何よりも大切な人が
「エミさーん、どーん!!」
「い゛ったぁ゛!?ちょっとゾムさん、後ろから飛び付かないでくださいって!」
「えー、ええやん別にぃ…エミさんも楽しいやろ?」
「楽しいとかじゃなくてですね…」
この人はゾムさん。私がここに来たばかりの時に1番気にかけてくれた人。戦闘能力は幹部の中でも随一で周りからは脅威なんて呼ばれているけれど、実は誰よりも寂しがり屋でなんだかんだ優しくて、私が密かに想いを寄せる人。
「エミさん今度の戦争の準備できたん?」
「はい、向こうの領地と兵の数は資料にまとめて ロボロさんに渡しておきました」
「はぇー、グルッペンに言われたの3日前やろ?仕事早いなぁ」
「いえ、明日からトントンさんに訓練つけてもらう予定なんで終わらせておかないと」
「そっか、今回はエミさんもこっちやもんな」
「はい!久しぶりに実戦なので慣らしておかないと…」
「頑張ってな!なんかあったら俺も手伝ったるわ!」
「ありがとうございます!」
こんなに優しい人たちと、そしてこんなに愛しい人と一緒にいる事が出来るこの暮らしがずっと続けば良いと思っていた。続くと、思っていた
ーーー
「さぁ、君には選択肢をあげよう」
私は今、敵国の王の前にいる。事の成り行きは単純明快。戦争の最中、こちらが優勢であると言う状況に浮かれ他の幹部のメンバーが見ていない隙に相手の軍に拉致されてしまった。あまりにも力の無い自分が不甲斐なくなる。だが、今は後悔している暇など無い。
「君は彼方の国にいる時には戦闘こそ出来なくとも知能に長けていたそうではないか?そこでだ、もしあの国を捨て私の国に来ると言うのならば命を保証しよう。なんならそれなりの地位にも着けてやる。選べ、ここで死ぬか、這いずってでも生きるか」
そんな質問、答えなど既に決まっている。
「…この国で、生きていきます」
「そうか、良い判断だ。では今日からこの国の為に尽くしてもらうぞ」
「…はい」
たとえ敵に捕まろうと、私はあの国の幹部だ。あの場所には私を大事に思ってくれる人が沢山いて、私だって皆んなの役に立ちたい。もう以前のように簡単に命を捨てるわけにはいかない。長い期間あのメンバーを心配させる事にはなるが、必ず生きて、情報を持って帰ってみせる。
ーーー
この国に来てから四ヶ月近く。ようやくあの場所に帰れる。何度絶望しても心の中にあの人たちが、ゾムさんがいた。一刻も早く会いたい。会って話がしたい。その一心でひたすらにあの場所に向かって走った。
しばらく走り続けて見覚えのある景色が広がる。あぁ、帰ってきたんだ…と、想像していたよりも冷静に理解した。裏口から入って真っ先に目に入ったものに目を見張る。
私がここを離れる前にはひとらんさんの手入れで美しく咲き誇っていた色鮮やかな花々。その花壇の一角が一面緑色に変わっていた。その所々に赤い花がちらほらと咲いている。
一体何が?ひとらんさんはこれを知っているのか?もしや皆に何かあったのか?
様々な考えが頭をよぎる中、進んでいった先に見えたものに今までの疑問が全て吹き飛んだ。美しい花々と変わり果てた花壇のその狭間。そこに倒れている鮮やかな緑。あれは…
「ッゾムさん…!?」
気がついた瞬間には私は駆け出していた。ゾムさんの元へ辿り着く。体をゆすって声を掛けるが反応が無い。次第に彼を呼ぶ私の声が大きくなってゆく。
「ゾムさん、ゾムさんッ!」
「そこにおんの誰や?」
突如背後から聞こえた恐ろしく冷たい声に、思わず背筋が震える。でもこの声は、
「ットントンさん、私です、エーミールです」
「…エミさん!?なん、何でここに、てかどうやって、いつ…!?」
「トントンさん、詳しい事は後で話します、今はゾムさんを助けてくださいッ…ゾムさんがここで倒れて…!」
「…わかった、エミさんは一回落ち着け。俺がゾムの事ペ神のとこまで運ぶから、エミさんはまずグルさんのとこ行って状況説明してきて、おけ?」
狼狽えてばかりでどうしていいか分からない私をトントンさんは宥める。…彼の言う通りだ、今は落ち着いて出来る事を。
グルッペンさんの元へ行き、手短に事の成り行きを話す。部屋に入った時には流石に驚いた顔をされたが、冷静に話を聞き、先にゾムさんの元へ行くよう促された。どうやら他のメンバーにも連絡して集合をかけるらしい。
急いでゾムさんの元へ行くと、ベットですぅすぅと寝息を立てているゾムさんと、話し込んでいる2人の影があった。
「あの、トントンさん、しんぺい神さん…?」
「あ、エミさん!本当に帰ってきたんだねぇ、おかえり!」
「ありがとうございます、それよりゾムさんは…?」
「あ〜、それなんだけどね…」
そこでしんぺい神さんの言葉が止まる。何だろう、もしこれで病気とかだったら…
「こらぺ神、思わせぶりな言い方すんな、ただでさえエミさん疲れとるんやぞ」
「ごめんって、冗談じゃん。エミさん、ゾムはね、ただの疲労と寝不足だから大丈夫だよ」
「…え、?」
疲労と寝不足…?でもそれであんなに倒れるほどまでになるって…安堵と共にさらなる疑問が浮かび上がる。
「とはいってもゾムの場合は確実にやり過ぎだね」
「まぁ、2ヶ月近くまともに長時間の睡眠も取らずにずっと動きっぱやったらそらそうなるやろな」
「2ヶ月って、なんでそんなに…!?」
そんな事をしていたら倒れて当然だ。それに何故トントンさん達は止めなかったのだろう。
「一応ちゃんと止めたんやで?でもな、エミさんのこと助けなあかん言うてずーっとあの国の事調べて1人で作戦練っとんねん。俺らも手伝っとったんやけどな、流石に休み無しであれは俺も無理やわ」
「俺も止めたんだけどねぇ…やる分には良いけどちゃんと休めって言ってゾムは分かったって言ってたんだけど、この様子だとずっとやってたんだろうね。ここ最近、気付いたら包帯とかの数が減ってたりもしてたし、1人で訓練して怪我しまくってたんだと思う。さっき調べた時に痣だらけだったから。」
「あとは多分、花の手入れやろ。ひとらんの事 問い詰めながら育て方聞いとったし」
「あの時のらんらん、面白いぐらい押されてたしね…笑」
「花…?」
そういえば、ゾムさんが倒れていたのは花壇だった。それにあの緑一面の変わり果てた花壇。何か関係があるのだろうか?
「あの…花壇の一角にほとんど花の咲いていない場所があったんですが、あれは…?」
「あぁ、あれな、ゾムがひとらんに許可もらって新しい花に植え替えたんよ。アネモネ…やったかな?ただでさえずっと動き回って休んどらんのに花の手入れまでしとったからな、あいつ」
なぜ、と聞くとトントンさんとしんぺい神さんは少し曖昧に笑って答えた。
「すまんな、エミさん。そこは本人の口から聞いたってくれ」
「?どうゆう…」
「「「「「「エミさん!!!」」」」」」
尋ねようとした時、耳に爆音が飛び込んで来る。思わず振り返ると、そこには数ヶ月ぶりに見る仲間たちがいた。
「グルちゃんから聞いたで、エーミールお前やるやんけ、今度飯奢ったるわ」
「ほんまにエミさんやぁ…(泣)」
「チーノお前なんだかんだ言ってめっちゃ心配しとったもんな笑」
「エミさんやるやんか!話聞かしてや!」
「部長、うるさいっす」
「いやお前ら全員うるさいねん!ゾム寝とんやぞ!」
病室が一瞬でうるさくなってしまった。少し呆れると共に、今度こそ、本当に帰ってきたんだと胸の奥が熱くなる。
その時、ベットの方から小さな呻き声が聞こえた。示し合わせたかのように全員の声が止まる。薄く目を開けて体を起こすゾムさんを皆がが無言で見つめる中、沈黙を破ったのはトントンさんだった。
「ゾム、お前はしばらく安静にせえ。後の事は俺らがやる」
「っでも、エミさんのこと早く助けな…!もしエミさんに何かあったら俺、っ…」
今のゾムさんの目に私は映っていなかった。当然だ、ただでさえいると思っていないのに加えて私は今彼が見ているメンバーの方向とは逆側にいるのだから。それでも、こんなにも近くにいて気付かないほど彼は必死だった。だから、私は驚かせないようにそっと声をかけた。
「…ゾムさん」
私の声を聞き、彼は少し肩を跳ねさせながら後ろを振り返る。
「っえみさん…?」
「…はい、帰ってきましたよ、ゾムさん」
そう口にした瞬間ゾムさんは私の胸に真っ直ぐ飛び込んできた。ほんの数ヶ月前までは私を吹っ飛ばす程の強さだったはずの彼は今、あまりにも弱々しく軽く押せば倒れてしまいそうな力で私の胸の中に蹲っている。
「えみさん、よかった、ちゃんと、ちゃんと帰ってきてくれたっ…」
そう言いながら顔を上げた彼を見て、改めて己の愚かさを痛感した。普段は楽しそうな光が輝くその瞳には大粒の涙が溢れ、凛々しかった顔には憔悴の色が浮かんでいる。私が自分のことを優先したが故にこうさせてしまった。
「っ、ゾムさん、ごめんなさい、私…」
「えみさん、」
「はい…?」
「ほんまに、ほんまに本物のえみさんなんよな、夢やないよな、?」
「ッはい…!ちゃんと、本物の私です…!」
「おれな、ひとらんに手伝ってもらって綺麗な花育てたんやで?えみさん前に明るい花好きって言ってたやろ…?喜んでもらおうと思って…どう、嬉しい…?」
「はい、とても、とっても嬉しいです…!」
こんなにも優しくて誰かの事を思える人を好きになれる私は、きっと幸せ者だ。
ーーー
「…さん、エミさん!」
自分を呼ぶ声で意識が現実に引き戻される。
「エミさんちゃんと話聞いとらんかったやろ?ずっと呼んどんのに…」
「すみませんゾムさん、ちょっと考え事してまして…」
やはりここに来たらあの時の事を思い出してついぼーっとしてしまう。あの後、私とゾムさんはお互いに泣き続け、最終的に疲れて眠ってしまった。そしてゾムさんは驚異的なまでの回復力を見せ、1週間後にはしんぺい神さんに運動を許可されるまで回復した。
一方の私は1人で戦闘に赴くのを禁じられ、戦う時はゾムさんとペアを組む事になった。ゾムさんは私のまだまだ足りない戦闘力を補ってくれる為、学ぶことしかない。
あれ以降は大きな事件はなく、特段変わったこともない。ただ、一つだけ大きく変わった事。それは、
「なぁエミさん、明日どっか行きたいとことかないん?」
「う〜ん…前回は私の買い物に付き合ってもらいましたし、明日はゾムさんが行きたい所に付き合いますよ」
「ほんまに!?やったー!じゃあ明日はまず武器新調しに行って〜、それから飯食いに行って〜…」
私とゾムさんが交際を始めたという事。あの事件の後、いつまたこんな事があっても後悔だけはしないように、と玉砕覚悟で想いを伝えたところ、ゾムさんは一瞬目を見開いた後にものすごい勢いでこちらに飛び込んできた。
小さく「俺も…」と呟いた彼の声が震えていたのは私の聞き間違えではなかったと思う。
「あ、あとこの前ぶっ壊れたやつの代わりのジョウロとスコップ買いに行かな」
「結構派手に折れてましたもんね…?」
「あれは俺のせいとちゃうねんけどなぁ…」
あの時ゾムさんが植えた花、アネモネは当時に比べて植えられている面積こそ小さくなってしまったものの、2年経った今でもこの時期になると美しい赤色の花を咲かせる。
「今年も綺麗に咲きましたねえ」
「まあ俺が育てとるんやから当然やな!」
「…今年も花束にしてくれるんですか?」
「もちろん!今年は去年よりちょい大きくしてみよかな」
「じゃあ楽しみにしてますね?」
「おん!」
そして花が枯れる寸前になると綺麗な花束にして私にプレゼントしてくれる。ゾムさんいわく、付き合った記念の贈り物的なやつらしい。
彼がこの花に込められた意味を知っていて植えたのか、そして知っていてプレゼントしているのかは分からない。けれど…私は知っている。彼が花の手入れをする時に大切なものを慈しむような瞳を向ける事を。
「ゾムさん」
「ん?どした?」
「…私も大好きですよ」
「へ…?エミさん、今日どしたん…?」
「ふふっ、ただ思ったことを言っただけですよ?」
「え!?ほんまに何!?」
たった一言でこんなにも顔を赤く染めるこの人が、なんて愛おしい。
私の笑い声とゾムさんの焦ったような声が響く庭に、暖かな春の風が吹き抜けた。
今日もアネモネの花が風に揺れている。
<赤色のアネモネ>
花言葉:君を愛す
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はい、今までで1番長い5,000文字越えお疲れ様でした!
いやぁ、書いてる内に楽しくなっちゃって…でも最後らへんめんどくさくなっちゃって少し雑なのは内緒で…
そして皆さんにご報告がありまして、フォロワーさんが50人を超えました!というかしばらく見てないうちに超えてました…気付けなかった…!
えー、大変ありがたい限りです!
それでなんですけど、リクエストとかそういうのについては、近々主の雑談部屋を作ろうと思ってるのでそこでお話しします!
次はフォロワー100人目指して頑張るので、ぜひハート・フォロー等お願いします!
では、次のお話でお会いしましょう!
からでした!
コメント
7件
神😇
まじの神がここに存在するとは… 花言葉も考えて登場させたり最初は面白いて感じだったのに感動にもっていけるの好こ( ᵕωᵕ♡ )
天才だわ、、、、、!!!!!!!!最高だぁ( ᐛ )