どうにか屋敷の中に入ることはできた俺たち。この先に…花月が。
「こんなに大きい屋敷が残っていたなんて…アタシたちの屋敷並みよね。」
「この異空間にしか存在できないけどな。」
「そういえば、まだ話の途中でしたね。黒鬼院がマルチの彼女を欲しがるのは分かりますが、何故貴方たちや柚を仲間にしたのでしょう…?元人間の血であればあるほど支配力と服従力があがります。しかし、力を求めるのであれば純血種に近い者を味方につけたほうが賢明のはずですが……。」
「黒鬼院様は…吸血鬼協会を裏切っています。ですから、吸血鬼を味方につけることは不可能かと……。」
「裏切った…?汚職が原因ではなかったのですか?」
「先ほど6年前の話をしましたが、その話には続きがあると聞いております。表向きは代表取締役会長が自殺をしたことになっていますが、実際は黒鬼院様が代表を殺害し破門を受けたそうです。すべてを失い復讐心を胸に刻んだと聞いています。」
「なんで李仁がそんなこと……。」
「以前黒鬼院様のお酌をしたとき直接聞きました。自分はもうどこにもいることができない。だから自分の理想郷を創るのだと……。その話がどこまで真実かは分かりかねますが。」
「すべては黒鬼院が1から作った物語だと……。」
「まあ、こうなってしまってはそうとしか言えませんね。」
「キズがここに来た経緯ってわかるか?」
「俺らより先にいたみたいだから詳しく知らないけど、何かを憎んでいたようだ。それがあんたらだとは思わなかったけど。」
「そうか……。」
「キズさんは……私が見る限りでは黒鬼院様に、常に洗脳されていました。」
「洗脳…?」
「黒鬼院様は闇を深く持っているものがいるとき……その心を利用しようとします。闇と快楽を与え忠実な下僕にする。目的を刷り込みどんな悪事もこなしていく。黒鬼院様はそういうお方です。」
李仁の話を聞いていた時、俺の中でとんでもない考えが1つ浮かんだ。
「劉磨、どうしたの?」
「今、闇を深く持ってるものがいるとき心を利用するって言ったよな…?」
「ええ。」
「だとしたら……その逆もあるんじゃないか…?」
「逆ってどういうこと…?」
「優しさ……つまり光の心を持っている奴が出てきたときも、そいつの心を使用しようとするってことだ。」
「光ってまさか……。」
「ああ。きっと花月は俺らが危険にさらされると分かれば、自分の身を簡単に差し出す。その心を黒鬼院は利用しようとするんじゃないかって……そんな気がするんだ。」
「もしそうだとしたら…花月はどうなるの…?」
「わからねえ。でも柚の様子を考えれば、相当のことをされるはずだ。」
「なら、直接聞いてみるしかないね。」
気づけば長い廊下を歩き終わっていて、奥の間に向かっていた。
本当にここに黒鬼院がいるのか……?
「おやおや皆さん…ようこそ我が屋敷にお越しくださいました。そして私の可愛い僕たち。」
「黒鬼院様……。」
「堅苦しい挨拶なんかいらない。白梨花月と……立花柚を返してほしい。」
「まったく、最近の若造は気が早いのう。せっかくだから面白いものを見せてあげよう。」
「面白いもの…?」
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