「出てきなさい、キズ。」
「はい……。」
影からキズ…いや柚が出てきた。しかし今までの雰囲気とは違い、顔も体も傷だらけだった。
「キズに何をしたんですか…?」
「何、大したことはしとらん。本来の命令を教えただけじゃ。人間の心をとり戻しかけていたのでな。」
「てめえ。」
「劉磨クン、やめて。」
泰揮が俺の体を抑える。大事な柚にそんなことされて、なんで平気でいられるんだよ。
「お主たちに見せたいのはこれだけじゃないんだ。今日から新しい僕が増えた。紹介しよう……炎帝の姫、棗(なつめ)だ。」
棗と呼ばれる少女が出てくる。俺らは目を疑いながらも、その少女が誰なのかすぐに分かった。
「花月…。」
「お呼びですか…?黒鬼院様。」
「お前はわしの中で最も素晴らしい作品だよ。お前さえいればこの世のすべてが手に入る。」
「花月、目を醒まして。一緒に帰ろう。」
「突き飛ばせ、棗。」
「かしこまりました。」
棗が奏の体を吹き飛ばす。その力は、はかりしえない。
「う……何、今の力…。まさか吸血鬼になったんじゃ……。」
「ほっほっほ。安心せい。その女子の体には牙1つたてたりはしておらん。吸血鬼化してしまっては、せっかくの血も台無しになってしまうからのう。」
「奏、大丈夫ですか?」
「平気……少し肩を痛めただけだから。」
「さて…それではそろそろはじめようか。」
そういうと黒鬼院の手に炎が浮かび上がる。それと同時にうずくまり唸り始める輝石と李仁と琉生。
「ぐ……なんだ……なんで…紋章が光って…。」
「体が灼けそう…ですね……。」
「痛いよ……。」
「さあ、お前たち。あの5人から私を守る騎士となっておくれ。これがお前らへの最期の命令だ。」
「ぐあ……。」
「まずいですね……。」
「わしがなぜお前らをすぐに始末しなかったのか分かるか…?この時のためじゃ。裏切った駒でも、最後まで使い捨てるのが好きでね。これで互いに数は同じ。さあ、始めようか……殺し合いを。」
黒鬼院の言葉と共に3人とキズ、棗が一斉に襲い掛かってくる。いつもの…女とは思えないほどの力で武器を振り上げている。
「お前らにはこやつらを殺すことはできまい。すべてはもう私の手の上なんじゃよ。」
たしかに、黒鬼院の言う通り俺らは手を出すことはおろか、下手に動くこともできない。
柚は吸血鬼のDNAが入っているとはいえ、俺らが力を使ったら死んでしまう。3人は黒鬼院が操っていて全く行動が読めないし、黒鬼院のことだからあいつらを殺す直前までの力を出させているはず。
吸血鬼のDNAがない花月には尚更何もできない。自分の力も制御できていないような状態で暴走したら……花月を殺すことになる。
「さあ、どうする?1つを選び2つを捨てるか、すべてを捨てて失うのか。」
俺らは…どうしたらいいんだ……。
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