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やばっ。けっこう寝ちゃったかも・・・。
どれくらい時間が経ったかわからないけれど、しばらくして目が覚める。
家、帰らなきゃ。
次の日休みなのをいいことに久々無茶して飲みすぎた。
まだ寝ぼけ眼で重い瞼を徐々に開ける。
ん?ここ美咲んとこ・・・、じゃない。
ここ、どこ・・・。
ようやく目を開いて辺りを見回すと、見覚えのない風景。
どんどん酔いが醒めて来る。
ちょっと待って・・・。
明らかにここ、知らない誰かの部屋。
美咲ん家じゃないとしたら一体どこ・・・。
あの子の家には、何度も行ってるからどんな部屋か知ってる。
だけど間違いなくここは違う。
なんで・・?
ちょっと待って、冷静になってちゃんと整理しよう。
美咲んとこでかなり飲んでて、いつの間にか酔いつぶれてしまったとこまでは記憶がある。
でも正直そこからは記憶がまったくない。
っていうか、そこから私一人ただ酔いつぶれてその場で眠ってただけでは?
なぜ見覚えのない知らない部屋に?
しかも、ちゃんとベッドで寝ている。
知らない誰かのベッドで。
!!
ちょっと待って。
急いで身なりを確認。
・・・服はそのまま着ている。
そこはとりあえず一安心。
見渡す部屋はやけにスタイリッシュでオシャレな部屋で。
シンプルだけど、所々観葉植物があったりセンスがいい。
で・・・ここ誰の部屋?
でもあまりにも記憶がなさすぎて、この場から立ち上がって状況を確認する勇気も出ない。
ここの主は誰?
女?男?
なぜ誰もいない。
なぜ私はここにいる?
ダメだ。
いくら考えてもまったく思い出せない。
あまりの状況に頭を抱えていたら、その部屋の玄関が開く音がする。
その方向に目をやって、部屋に入って来る人物を確認すると・・・。
・・・早瀬くん!?
え?え?ちょっと待って。
なんで早瀬くん??
まさかの予想もしない人物の登場に頭がパニック。
「あっ、ようやく起きた?おはよう」
すると、私の様子に気が付いて声をかける。
「えっ?なんで・・早瀬くんがいるの!?」
私はパニックになりながらも確認。
「なんでって、オレの家だし」
「・・・は? なん、で、私が早瀬くんの家にいるの?」
とりあえず一つずつ状況を確認していこう。
「えっ、なんも覚えてないの?」
「おぼ、えてない・・」
「昨日の夜、あんなに熱い夜過ごしてオレずっと求めてくれたのに・・・?」
「・・・え?」
いやいや、そもそも意味わかんない。
早瀬くんと一緒にいること自体謎すぎるし、昨日の夜一度もこの人に会ってもいない。
なのに・・・なんで?
しかもそれって何かあったってこと・・・?
「えっ・・ホントにごめん。全然覚えてなくて、ちょっと状況がわからなすぎてどう反応していいかわからない・・・」
あまりの状況に一気に顔が青ざめて不安になる。
どうする?どこまで聞いていいモノなの?
いや、でもホントに状況意味不明だし・・・。
「ふっ。アハハ。ごめん、嘘、嘘」
すると急に笑い出す早瀬くん。
・・・・は??
嘘・・ですか??
私はまたよくわからない状況に目を丸くして言葉を失っていると。
「昨日酔いつぶれてどうしようもなかったから、美咲さんに頼まれてここに連れて来た」
「そっか。なんだ、美咲か。ん?いやいやいや!それでも全然状況がわかんない。なんで美咲があなたに頼む必要が?」
「たまたまオレ店に行ったら酔いつぶれてて。で、いくら起こしても起きなくて」
「うん。で、なぜあなたの部屋に?」
「さぁ?美咲さんとこ今日は連れて帰れないからってお願いされたから」
ちょっと待って。
どういうつもりだ、美咲のやつ。
なんであんたの家に連れて帰ってくれなかったんだ。
いや、私もそこで起きないほど酔っちゃったのは反省するとこだけども。
でもなぜによく知らない早瀬くんに任せてしまうよ、美咲さん。
「それは・・ごめんなさい。迷惑かけちゃって・・」
「記憶ない?」
「・・あり・・ません・・」
あ~! 私のしたことが!
なぜ私そこまで飲んじゃう!
そしてなぜそこで起きれなくなるほど酔いつぶれた!
「全然、関係ないのに・・ごめん。たまたま来ただけなのに、面倒見てもらっちゃって」
「オレは全然。 ってか、関係なくないでしょ?オレたち」
「そりゃ、今は仕事仲間だけど・・・」
「それだけじゃないでしょ? 忘れた?オレたちの関係」
「あぁ・・微妙なもう一つの関係のことね」
まだ終わってなかったんだ。
そしてその関係はこんな時でもどんな風に表現していいかわからない。
「微妙って」
素直にそう伝えた私の言葉に早瀬くんが思わず苦笑い。
「大丈夫。さっきのは嘘だし、ホント何もしてないから」
その言葉に少しホッとする。
これで何かあったら気まずくて死にそうだ。
「今回だけね。次は同じことがあったら何もしない保障はないけど」
だけどすぐに気持ちをひっくり返される。
「も、もう絶対ないから!」
もう二度とこんな飲み方しない。
記憶飛ぶまで飲むのは一番やっちゃいけないことだ・・。
「オレはいつでもウェルカムだけど」
怪しく二コッと笑ってまた心を乱す。
「もうここまで絶対飲まないから」
「オレ記憶がない時に襲うとかそんなカッコ悪いことしないから安心して」
気持ちを察したかのようなさりげない言葉。
「あぁ、うん。あり、がとう」
ありがとう?なのか?
いや、でもこんな状況で何かあっても困るし。
でも意外と紳士的で少し印象が変わった。
「他の男のことで酔ってる時ってのも気に食わないし・・」
「それ・・は、そうだけど違くて。 ってなんで知ってんの?」
「あぁ・・・。美咲さん、から聞いた」
「美咲か・・・」
「そりゃあんな酔いつぶれてたら理由気になるでしょ」
どこまで私は酷い醜態をさらしてたのか・・・。
「全部・・聞いた・・?」
恐る恐る尋ねる。
「ん~まぁ、なんとなく・・・」
どこまで聞いたんだろ・・。
あんまり早瀬くんには昔のこと知られたくなかった・・・。
そして何気なく呟いてるだけであろうきっと意味のない”気になる”という彼の言葉に単純にドキッとしてしまう。
「そんなに・・その彼のこと、好き、だったの?」
早瀬くんに、なぜか聞かれたくない言葉。
あんな彼に捨てられた過去を知られるのも嫌だし、そんな彼を好きだったと思われるのもなんか嫌で。
どう答えていいかわからない。
「そんな酔いつぶれるほど今も忘れられないとか?」
「・・・それは、ない」
それは断じてない。
勝手に再会しに来て勝手に思い出させたあの男がムカついて飲みまくってただけだ。
「まさかヨリ戻すとかじゃないよね?」
「絶対ない!!」
そこはキッパリと否定しておきます。
もうあの人とはトラウマが残っていて、ドキドキも何もしない。
「なら良かった」
だけど早瀬くんの言葉は、きっと何気ない言葉だろうけど、その言葉一つ一つになぜか心が反応してしまう。
その言葉・・どういう意味?
気にならない素振りをしても、こんな状況でまたいつもと違う早瀬くんを前にして、現に今この瞬間もどんどん意識している自分がいる。
するとベッドの近くまでいつの間にか近付いてきてた早瀬くん。
そして私が起き上がって座っているベッドの横に腰掛けて、すぐ近くまで顔を寄せて来る。
「今はオレにドキドキしてもらわなきゃ困るし。他の男に邪魔されたくない」
目の前で見つめながらまたそんな言葉を投げつける。
すでにこの状況、この言葉で普通にドキドキしてます。
「よそ見出来ないように、今オレのモノにしてもいい?」
「・・・はぁ!?」
ちょっとこの距離でそんなこと言われるのはヤバい。
「何もしないって言ったくせに!」
とりあえずこの状況に流されないように話の方向を変える。
「それはさっき寝てた時だけであって、今は全然違う」
いや、私にはその違いがわからないです。
「今、このままどうにかしてもまったく問題ない」
いや!問題あるでしょ!
「いや!ちょっと待って!意味わかんないから!」
そのまま後ろに押し倒されそうになるのを必死で抵抗する。
ダメだ!流されるのはまだ早いってー!